公共施設・商業施設に欠かせない不燃材料。
防火性能や突板練付不燃板について解説
大型施設等のデザイン・設計を行う際に、切っても切り離せないキーワードが「内装制限」です。人がたくさん集まる公共施設・商業施設においては、イメージに合った素材を見つけても、内装制限をクリアしていなければ使えません。「天然木の風合いを公共施設でも活かしたい」そのような場合におすすめなのが「突板練付不燃板」です。そこで、今回は内装制限がある場所で仕上げ材として必要となる「防火材料」ついて詳しく解説します。天然木を活かした不燃材料・突板練付不燃板についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
・天然木を使った建材でも防火材料として使用できるものもある。
・公共施設に国産材を使うことは、森林を守るためにも意義がある。
Contents
防火材料の「不燃」「準不燃」「難燃」とは?それぞれの違いは?
不燃材料・準不燃材料・難燃材料とは、建築基準法で定められた「防火材料」のことです。公共施設や商業施設においては、火災時の被害を最小限に食い止めるために、これら「防火材料」の使用が義務付けられています。
では、防火材料とはそもそもどのようなものを指すのでしょうか?防火材料の概念は、建築基準法内では以下のように定義されています。
〈防火材料の条件〉「建築基準法施行令第108条2」より
第一号 燃焼しないものであること
第二号 防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること
第三号 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること
※建築物の外部の仕上げに用いる場合にあっては、第1号、第2号に掲げる要件を満たしているもの
防火材料の条件に当てはまっている建築材料のうち、国土交通大臣からの認定を受けたものもしくは建築基準法の告示で定められたものが不燃材料・準不燃材料・難燃材料に細分化されます。では、どのような違いがあるのでしょうか?
不燃材料・準不燃材料・難燃材料はそれぞれ加熱時の発熱量と有害ガス量によって定められています。下記表内の「時間」部分を見比べてください。この決められた時間内で基準量を超えていないことが判断基準となります。
材料の種類 | 時間 |
不燃材料(建築基準法施行令第108条の2より) | 20分間 |
準不燃材料(建築基準法施行令第1条より) | 10分間 |
難燃材料(建築基準法施行令第1条より) | 5分間 |
つまり、「燃焼時に発熱量・有毒ガス量が少ない=燃えにくい・燃えない」ということになります。
実験データによって上記要件を証明できた材料のみ、不燃材料・準不燃材料・難燃材料として認定され、公共施設や商業施設での使用が可能となります。
建築基準法で防火材料の使用が義務付けられている建物は?
公共施設や商業施設(特殊建築物等)は、壁や天井などの仕上げについて、防火性を得るために建築基準法で使用できる材料が制限されています。これを「内装制限(建築基準法 第35条2など)」と言います。内装制限が定められている主な特殊建築物等は以下の通りです。
- 劇場
- 病院
- ホテルなどの宿泊施設
- デパートなどの商業施設
- マンションなどの集合住宅
- レストラン
これらの施設においては、準不燃材料以上もしくは難燃材料以上の防火性能を持つ内装材を使用しなくてはいけません。また、施設の用途によって内装制限の対象となる規模や、細かい規定が異なるため、設計・デザインの際にはとても重要なポイントとなります。
〈関連ページ〉
建築基準法施行令各条文で定められた内装制限については、下記サイトで要約をご覧いただけます。合わせてご確認ください。
一般社団法人 日本壁装協会|内装制限について
天然木の魅力を活かせる不燃材料は?
突板練付不燃板がおすすめ
「内装制限がある = 天然木は使えない」と考える方は少なくないかもしれません。実は、本物の木材を使用した内装材でも不燃認定を取得している防火材料があります。日本国内で一般的なものは、主に下の二種類です。
- 不燃木材
- 突板練付不燃板
不燃木材(不燃液含有木材)とは、切り出した木材に不燃液を染み込ませた建材です。条件が合えば構造材にも使えるため、近年大きな注目を受けています。ただし、白華現象(※)が起きたり、不燃液が十分染み込む杉や檜などの針葉樹に限定されてしまうという欠点もあるため、デザインや場所によっては採用しづらい可能性もあるでしょう。
※白華(はっか)現象:含有した不燃液が空気中の水分と反応して表面に滲み出てくる現象のこと。
一方、突板練付不燃板は、不燃基材に突板(薄くスライスした木材)を貼り合わせた建材です。不燃木材とは異なり、不燃液は染み込ませていませんが、0.2mmというとても薄い木材なので、万が一燃えてしまったとしても発熱量が規定値以下になるように設計されています。また、不燃液を染み込ませていないため、”100%”白華現象は起こらずメンテナンスが容易で、さらに対応樹種が豊富なのも特徴です。
〈関連ページ〉
下記ページでは、当社の突板練付不燃板について詳細を掲載しています。合わせてご覧ください。
恩加島木材工業株式会社|PANESSE(パネッセ)
大型公共施設の木材利用が増えている訳とは?
世界有数の森林大国でもある日本において、残念ながら今までは建築用木材の大半を輸入材に頼っていました。
しかし、輸入材に頼り国産材が使われないと林業や森林自体はどんどん衰退していってしまいます。そこで、国では国産材利用を促進するために様々な取り組みを行っています。そのため、年々防火材料の使用が義務付けられている施設についても、構造体や仕上材に木材が豊富に使われるケースが増えています。
平成22年の「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」制定以降、農林水産省及び国土交通省では、同法に基づき、基本方針を策定し、公共建築物における木材の利用に取り組んできました。公共建築物の床面積ベースの木造率は、法制定時の8.3%から令和元年度には13.8%に上昇しています。
引用元:林野庁|脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(改正前:公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律)
森林を健全に保って山村部の過疎化を防ぎ、さらには脱炭素化を推し進めるためにも、国産材の使用は注目されているのです。
また、大型公共施設においても不燃突板練付不燃板や不燃木材の使用量が増えています。自治体によっては国産材の使用や、建物の木質化に対して補助金を設けている自治体もありますので、国産材を使った建材を使用する場合は、ぜひ都道府県庁などに問い合わせてみましょう。
〈関連ページ〉
木材を使った施設について詳しく知りたい方は、ぜひこちらも合わせてご覧ください
木材利用促進中央協議会|優良木造事例表彰
防火性・意匠性・耐久性を兼ね備えた恩加島木材工業の不燃材料
私たち恩加島木材では、天然木をスライスした突板を熟練の技術で貼り合わせた不燃・難燃材料を製造しています。これらは、厳正な発熱性試験などを経て国土交通大臣からの認定を受けている独自の不燃材料です。また、ボード材に貼られている突板は様々な樹種の天然木から作られているため、無垢材のような風合いとデザイン性が実現できます。そして、無垢材に起こりがちな反りや伸縮も少ないため、割れの心配がなく耐久性も確保できます。内装制限のある施設の設計・デザインをする際は、ぜひ当社の突板練付不燃板をご検討ください。
不燃認定番号 | PANESSE(パネッセ) ・フネンボード t6・t9【NM-1272】 ・フネンボード t12~t36【NM-1368】 ・フネンシート 法定不燃材下地【NM-5336】 ・フネンシート FGボード下地【NM-5337】 |
難燃認定番号 | PANESSE(パネッセ) ・難燃ボード【RM0060】 |
〈関連ページ〉
下記ページでは当社製品については、各種認定について紹介しています。合わせてご確認ください。
恩加島木材工業株式会社|製品案内
恩加島木材工業株式会社|各種認定
まとめ|デザイン性にこだわるなら突板練付不燃板がおすすめ
今回は、公共施設のデザイン・設計とは切り離せない「不燃材料」や「難燃材料」について詳しくお話ししました。近年は国が推奨している点や環境問題への意識が高まっている点から、防火材料の使用が義務化している建築物においても木材を意匠的に使うケースが増えています。当社の突板練付不燃板は、不燃木材のように白華現象が起きず、杉や檜はもちろん、ウォールナットやオークなど様々な材種に対応しているため、デザイナー様や設計士様の要望にお応えできるはずです。床・壁や家具などにこだわりたい場合は、ぜひ一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
〈関連ページ〉
当社の納入実績は下記ページをご覧ください。
恩加島木材工業株式会社|納入実績
恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします
「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様・設計士様の疑問や要望にお応えします。随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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