ホルムアルデヒドは何に含まれる?健康的な空間づくりに欠かせない“内装材選び”のポイント

シックハウス症候群を引き起こす物質のうち、私たちの生活で身近なものに含まれているのが「ホルムアルデヒド」です。
1980年代にはシックハウス症候群が社会問題になったことで今では厳しく使用量が規制されていますが、全く使われなくなった訳ではありません。
今回は、「ホルムアルデヒド」の特性や含まれているものについて詳しく解説します。
シックハウス症候群やその発症を抑えるための方法、健康的な空間づくりに欠かせない内装建材選びのポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
● 建物利用者が健康かつ快適に過ごせる空間づくりを実現するために、安全性が高くホルムアルデヒドの放散が少ないエフフォースターの認定を受けた建築材料を選びましょう。
● 恩加島木材は国内外から良質な突板を仕入れ、人の生活環境と地球環境の両方に配慮した高品質な突板化粧板を製造販売しております。
Contents
ホルムアルデヒドとは|含まれる身近なもの

ホルムアルデヒド(CH₂O)とは、水素H・炭素C・酸素Oなどで構成される揮発性物質です。
- 気体状態=無色透明で刺激臭あり
- 液体状態=水溶性で水溶液はホルマリンとも呼ばれる
気体・液体どちらの状態でも他のものに吸収されやすい特性を持ちます。
ホルムアルデヒドは主に以下のものに含まれ、私たちの生活に欠かせません。
- 合成樹脂(硬化防止のため)
- 樹脂系塗料
- 合板やパーティクルボードなど木質建材の接着剤(家具の材料や内装仕上げ材)
- 壁紙のデンプン系接着剤
- 衣類などの繊維製品(防しわ・防縮のため)
- 殺虫剤や防蟻剤、防カビ材
- 医薬品(ホルマリンとして防腐剤・消毒剤などに含まれる)
- 電子タバコから発せられる水蒸気
このように、ホルムアルデヒドは私たちの生活と密接に関わっており、全てを取り除くことは難しいとされています。
しかし一方で、ホルムアルデヒドのもたらす健康被害は大きく、様々な産業でホルムアルデヒドの放散量を減らす取り組みが実施されています。
ホルムアルデヒドがもたらす健康被害|シックハウス症候群とは

ホルムアルデヒドは様々な分野のものに含まれていますが、私たちの健康に悪影響をもたらす側面もあります。
ホルムアルデヒドのもたらす健康被害
厚生労働省ではホルムアルデヒドの危険有害性情報として以下の危険性を公的に公表しています。
- 飲み込むと有害である
- 吸入すると生命に危険をもたらす
- 皮膚などに接触すると、重篤な皮膚の薬傷をもたらす
- 眼に入ると損傷や強い刺激をもたらす
- 吸入するとアレルギー・喘息・呼吸困難を起こす恐れがある
- アレルギー性皮膚反応を起こす恐れがある
- 遺伝性疾患を引き起こす恐れがある
- がん(鼻咽頭がんなど)や白血病の発症リスクがある
- 長期間もしくは繰り返し吸入すると、中枢神経系や呼吸器の障害を引き起こす恐れがある
参考:厚生労働省|職場のあんぜんガイド|安全データシート(JIS Z7253:2019準拠)|ホルムアルデヒド
ただし、これらはあくまでも高濃度のホルムアルデヒドを含む気体やホルマリン原液に触れた場合のリスクであり、樹脂や接着剤などに含まれるホルムアルデヒドで発症する可能性は低いとされています。
しかしここで重要な点は、ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因物質であるVOC(揮発性有機化合物)のうちのひとつであるという点です。
VOCはシックハウス症候群の発症原因となるだけではなく、大気汚染にも影響を及ぼすとされている“厄介”な物質です。
VOCであるホルムアルデヒドは、タンパク質や核酸に反応するため、口腔など最初に接触した部分に沈着して成分が吸収されてしまいます。
参考:環境省|化学物質の環境リスク初期評価 評価書一覧(第22巻まで)|ホルムアルデヒド
そのため、少量でも人の粘膜を刺激したり、呼吸器に影響を及ぼす可能性があることから、放散量を法律で厳しく制限しています。
シックハウス症候群とは
シックハウス症候群とは、眼・鼻・喉・皮膚の刺激症状や、頭痛、倦怠感、呼吸不全などの健康被害を総称したもので、化学物質過敏症の一種です。
1970年代に欧米で問題視され、その後1980〜1990年代にかけて日本でも住宅やビルなどで症状を訴える人が急増しました。
この現象を踏まえて2003年に建築基準法が改正され、ホルムアルデヒドを含むVOCの放散速度に関する制限や、換気を義務化する措置が講じられたのです。
現行(2025年3月時点)の建築基準法では、シックハウス症候群防止のために以下の条文が明記されています。
- 建築基準法(第28条の2「居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置」)
- 建築基準法施行令(第20条の5「居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがある物質」)
- 建築基準法施行令(第20条の7「居室を有する建築物の建築材料についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準」)
- 建築基準法施行令(第20条の8「居室を有する建築物の換気設備についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準」)
- 建築基準法施行令(第20条の9「居室を有する建築物のホルムアルデヒドに関する技術的基準の特例」)
- 平成14年国土交通省告示第1113号「第一種ホルムアルデヒド発散建築材料を定める件」
- 平成14年国土交通省告示第1114号「第二種ホルムアルデヒド発散建築材料を定める件」
- 平成14年国土交通省告示第1115号「第三種ホルムアルデヒド発散建築材料を定める件」
- 平成15年国土交通省告示第273号「ホルムアルデヒドの発散による衛生上の支障がないようにするために必要な換気を確保することができる居室の構造方法を定める件」
- 平成15年国土交通省告示第274号「ホルムアルデヒドの発散による衛生上の支障がないようにするために必要な換気を確保することができる換気設備の構造方法を定める件」
これらの法令では、主に室内の換気量とホルムアルデヒドの放散(発散)速度に関する最低基準を規定しています。
併せて、JIS(日本工業規格)とJAS(日本農林規格)では、にてホルムアルデヒドの放散速度量によるFスター※の等級分けが義務化されたことで、シックハウス症候群の発症リスクが低い建築材料の選定が可能となりました。
※Fスターの制度についてはF☆☆☆☆(エフフォースター)の基準とは? 安心・快適な空間づくりに必要な訳をずばり解説をご覧ください。
JIS・JAS表示 | 放散速度基準 | 使用面積制限の有無 |
---|---|---|
F☆☆☆☆ (エフフォースター) | 0.005mg/㎡h以下 | 制限なし |
F☆☆☆ (エフスリースター) 「第三種ホルムアルデヒド発散建築材料」 | 0.005mg/㎡h以上0.02mg/㎡h以下 (夏季において) | 制限あり (換気量によって使用可能量が異なる) |
F☆☆ (エフツースター) 「第二種ホルムアルデヒド発散建築材料」 | 0.02mg/㎡h以上0.12mg/㎡h以下 (夏季において) | 制限あり (換気量によって使用可能量が異なる) |
表示なし 「第一種ホルムアルデヒド発散建築材料」 | 0.12mg/㎡h以上 (夏季において) | 使用禁止 |
ちなみに、厚生労働省では「室内空気中化学物質の室内濃度指針値について」を策定し、その中でホルムアルデヒドの室内濃度は100μg/㎥(0.08ppm)以下にすることとしています。
参考:厚生労働省|室内空気中化学物質の室内濃度指針値について
ホルムアルデヒドの室内濃度を100μg/㎥(0.08ppm)以下に抑えると人の嗅覚ではほぼ認識できませんが、シックハウス症候群を発症しないとは限らないので注意が必要です。
ホルムアルデヒド以外の要注意物質も
シックハウス症候群の原因物質で最も広く知られているのがホルムアルデヒドですが、生活にかかわるものにはそれ以外の要注意物質も含まれます。
- ホルムアルデヒド
- トルエン
- アセトアルデヒド
- キシレン
- クロルピリホス
これらの物質は、全てホルムアルデヒドと同様に、接着剤や防虫・防カビ剤、塗料などに含まれるため、やはり注意が必要です。
ただし、これらの物質量にもFスターの認定基準が設けられているため、エフフォースターの認定はどの成分についても含有量が少ないことを意味します。
健康的な空間づくりのポイント|空気中のホルムアルデヒドを減らす方法

ホルムアルデヒドをはじめとしたシックハウス症候群の原因物質空気濃度を下げる方法は、主に2つあります。
計画的かつ確実に換気できる設備を整える
室内のホルムアルデヒド濃度を下げる最も効果的な方法は、ずばり「換気の徹底」です。
計画的かつ確実に空気を入れ替えられる設備を整えましょう。
建築基準法では、すべての建築物(居室)には以下の換気設備が義務付けられています。
- 窓等の換気に有効な開口部(居室の床面積の1/20以上)
- 自然換気設備(給排気グリルなど)
- 機械換気設備(換気扇・ファンなど)
- 中央管理方式の空気調和設備(全館空調システムなど)
近年はエフフォースターの建築材料が増えて内装材や家具からのホルムアルデヒド放散量は減りましたが、それでも正しく換気されず室内の空気が汚染されるとシックハウス症候群を引き起こします。
そのため、建築基準法では原則として換気回数※を定めており、住宅の居室は「換気回数0.5回/h以上」、その他建築物の居室は「換気回数0.3回/h以上」を確保できる換気設備を設置しなくてはいけません。
※換気回数:換気係数とも呼ばれ、室内の空気が1時間あたりに何回入れ替わるかを表す値。換気回数0.5回/hとは、2時間で部屋の空気が全て入れ替わることを意味する。
既存建築物には吸着剤を使う
既存建築物において、現在の技術では、ホルムアルデヒドの発生源を特定することはできません。
しかし、使用されている内装材を確認することで「発生源である可能性が高い部分」を予測できます。
その部分に塗布するタイプのホルムアルデヒド吸着剤を用いると、発散量を抑えられたりゼロにできたりするため、シックハウス症候群対策として効果的です。
置き型のホルムアルデヒド吸着剤もありますが、塗布するタイプと比べると効果は小さいので注意しましょう。
ノンホル・低ホルの建築材料を選ぶ
ノンホルとはノンホルムアルデヒドの略称で、「ホルムアルデヒドをほとんど含まないか放散しない材料」を指します。
低ホルとは低ホルムアルデヒドを意味し、「通常よりもホルムアルデヒドの含有量を抑えた材料」です。
ノンホル・低ホルの建築材料を積極的に用いることで、放散量を減らして健康リスクを抑えられます。
人にも環境にも優しい恩加島木材の「突板化粧合板」

家具や天井・壁の仕上げなど、様々な部位に施工される「化粧合板」は、製造過程で接着剤や塗料を用いるため、シックハウス症候群への影響が大きい建築材料です。
私たち恩加島木材の「突板化粧合板」では、基材(きざい)となる合板やMDFから接着剤、塗料に至るまで、全てF☆☆☆☆(エフフォースター)認定品を使用しており、それ以外のものは一切用いておりません。
また、弊社工場はフローリングと合板部門でJASの認定を受けているため、毎月の報告や年一度のJAS機構による立入監査、一定ロット毎のF☆☆☆☆(エフフォースター)試験の実施を徹底しています。
天然木化粧合板や特殊加工化粧合板の製造工場でJAS認定を受けているところはまだまだ少ないため、安全性の高い化粧合板をお探しの方は弊社にお任せください。
突板化粧合板の魅力は以下の点です。
- 無垢材と同様のナチュラルな見た目と質感に仕上がる。
- 工業製品なので品質安定性が高い。
- 軽量化を実現でき、施工効率性アップにつながる。
- 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。
- 希少性があり高価な樹種でも、無垢材より安価で安定して材料を入手しやすい。
- 原木1本から取れる突板面積は無垢板材よりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。
- 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる変色も抑えられる。
- 基材によっては防火材料認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすく、対象範囲とそうでない部分の仕上げを揃えられる。
さらに弊社では、国産材や地域材、間伐材、成長の早い小径材を積極的に活用し、森林活性やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも行っています。
● 豊富な樹種・木目とUV塗装も選べる「突板化粧板」
● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板」
● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル」
● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード」
内装制限の対象となる建築物へご採用いただける製品を取り揃えておりますので、建物の設計デザインに木目を取り入れたい方はお気軽に弊社までご相談ください。
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まとめ
ホルムアルデヒドは人の健康に被害をもたらす可能性があるものの、建築材料の品質を保つためには最低限必要となる物質であるのも事実です。
建物利用者が健康かつ快適に過ごせる空間づくりを目指す方は、安全性が高くホルムアルデヒドの放散が少ないエフフォースターの認定を受けた建築材料を選びましょう。
恩加島木材では、人の生活環境と地球環境の両方に配慮した高品質な突板化粧板を製造しております。
「思い通りのデザインを実現したい」「環境に配慮した建物にしたい」という方は、レパートリー豊富な恩加島木材の突板製品をご検討ください。