“鉛筆硬度”は表面強度を示す基準|試験方法からおすすめ建材まで解説

“鉛筆硬度”は表面強度を示す基準|定義からおすすめ建材まで解説

鉛筆硬度とは、物の表面強度を評価する指標のうちの1つです。

今回は、鉛筆硬度・鉛筆硬度試験の詳細から、モース硬度との違い、建築材料との関係性について詳しく解説します。

おすすめの高耐久内装建材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

このコラムのポイント
● 鉛筆硬度(鉛筆硬度試験)は、建築材料などの表面強度を評価する指標です。

● 硬度が高いほど耐傷性・耐摩耗性に優れていることを意味します。

● 恩加島木材は国内外から良質な突板を仕入れ、高耐久・高品質かつ環境に配慮した突板内装建材を製造販売しています。


鉛筆硬度(鉛筆硬度試験)とは|硬さの順番

鉛筆硬度(鉛筆硬度試験)とは|硬さの順番

鉛筆硬度とは、鉛筆芯の硬さを基準として塗膜やコーティング層の硬度を評価する指標です。

鉛筆硬度を測定する方法が鉛筆硬度試験で、JIS(日本産業規格)によってその方法や基準が決められており、以下の性能評価に用いられます。

  • 自動車の外装塗装
  • 家電製品・医療機器・電子機器の表面コーティング
  • 建築材料の表面塗装


硬さの順番

鉛筆硬度における硬さの順番は以下の通りです。

【軟】6B < 5B < 4B < 3B < 2B < B < HB < F < H < 2H < 3H < 4H < 5H < 6H(< 7H < 8H < 9H)【硬】

JIS・K5600-5-4塗料一般試験方法/引っかき硬度(鉛筆法)」では、鉛筆芯硬度6B〜6Hの14段階で評価します。

※2008年まで使用されていた旧JIS(JIS K5400)では6B〜9Hの17段階で評価され、その名残で今でも7H・8H・9H表記を用いる場合もあります。

鉛筆硬度の基準を身の回りの塗装に当てはめると以下のようになります。

塗装仕上げの種類鉛筆硬度
一般的な焼付塗装2H〜3H程度
焼付によるセラミック塗装4H以上
電着塗装※2H〜3H程度
樹脂系塗装F~H程度

※電着塗装:水溶性の塗料に直流電気を流して塗膜を形成する方法

ポイント
鉛筆硬度の評価は、あくまでも「ひっかき傷」に対するダメージのみであり、塗膜の密着性・耐久性・表面保護能力を判断するものでなく、1つの性能評価基準にしかすぎません。

建築で多く用いられる樹脂系塗装(ウレタン塗装など)は硬度が低いですが、剥がれやすいということではないので注意しましょう。

鉛筆硬度試験の方法

鉛筆硬度試験は、JISの定めた試験条件と試験方法によって公正に実施されます。

【試験条件】

  • 温度環境:温度及び湿度:23±2°C
  • 湿度環境:相対湿度50±5%
  • 試験回数:2回実施し、結果に1ランク以上差がある時は再試験を行う
  • 使用する鉛筆:認定を受けているもの(例:三菱鉛筆株式会社・uni)
  • 鉛筆の芯を削る研磨紙:#400
  • 鉛筆と塗膜層の角度:45±1°
  • 鉛筆先端から塗膜層にかかる荷重:750±10g

【試験の手順】

①鉛筆の芯を円柱状に削って周りの木部から芯を5mm程度出し、指定の研磨紙にあてて先端を平らにする。

②評価する塗膜層を平らな台に置き、鉛筆の先端が塗膜層に対して水平になるように試験装置に設置する。

③鉛筆の先端が塗膜表面に触れたら、試験装置を0.5〜1mm/sの速度で7mm以上押す。

④肉眼で塗膜表面を検査し、傷跡の有無や種類を調べる。

⑤長さ3mm以上の傷跡が生じるまで、鉛筆芯の硬度を上げて調査を繰り返す。(1回目の試験で傷跡が生じた場合は、傷跡がつかなくなるまで鉛筆芯の硬度を下げて調査を繰り返す。)

傷跡(塑性変形※や凝集破壊※など)のつかなかった最も硬い鉛筆芯の硬さを、その塗膜層の「鉛筆硬度」とする。

※塑性変形:凹みがついて永久的に戻らない状態
※凝集破壊:表面の塗膜が剥がれたり傷ついたりしている状態や、素地まで見えてしまう状態

ちなみに、塗膜などの強度を評価する方法は「引っかき硬度(荷重針法)」もあり、こちらは試験用針を塗膜表面に当てて荷重を増やしながら傷の有無を確認します。

鉛筆硬度とモース硬度の違い

鉛筆硬度とモース硬度との比較

物体の強度を評価する指標として鉛筆硬度と併せて用いられるのが「モース硬度」です。

モース硬度とは、宝石など鉱物の硬さを基準とし、10段階に分けられています。

モース硬度物質の例同等の鉛筆硬度特徴
1タルク(滑石)2B〜F人間の爪で「簡単に」傷つく
2ジプサム(石膏)F〜H人間の爪で傷つく
3カルサイト(方解石)3H〜4H10円玉で傷つく
(アルミニウム程度の強度)
4フローライト(蛍石)6H〜8Hナイフで「簡単に」傷つく
(プラチナ・鉄程度の強度)
5アパタイト(黒曜石)9Hナイフで傷つく
(ニッケル)
6オーソクレース(正長石)ナイフでは傷つきにくい
(人の歯やガラス程度の強度)
7クォーツ(石英)鋼製ヤスリで傷つく
(水晶程度の強度)
8トパーズ(黄玉)鋼製ヤスリでは傷つきにくい
9コランダム(鋼玉)ダイヤモンド以外の鉱石で傷つく
(サファイヤ程度の強度)
10ダイヤモンド(金剛石)鉱物の中で最も硬度が高い

モース硬度は主に鉱石や鋼材など「物体そのもの」の強度を評価するため、塗膜など表面のみの強度評価には用いられません。

鉛筆硬度と建築材料の関係|硬度が高いほどいいのか

鉛筆硬度と建築材料の関係|硬度が高いほどいいのか

建築材料の表面塗膜において、鉛筆硬度レベルが高いほど耐傷性・耐摩耗性が高いことを意味します。

建材表面の種類鉛筆硬度
メラミン化粧板6H〜9H程度
ポリエチレン6B程度
エポキシ塗装2H程度
アクリル樹脂塗装H〜2H程度
ウレタン樹脂塗装F程度
無塗装のスギ材(早材※)6B〜4B程度
無塗装のスギ材(晩材※)HB〜2H程度

※早材・晩材については“早材”と“晩材”の違い|年輪・木目が生まれるメカニズムを木材のプロが解説をご覧ください。

鉛筆硬度の高い建築材料は、傷がつきにくい点がメリットです。

ただし、塗膜の鉛筆硬度が高くなるほど、木の自然な風合いが損なわれ、触り心地も硬く冷たく感じます。

ポイント
建築においては、全ての部位に「鉛筆硬度の高い材料を採用すべき」とは限りません。

人が足で踏むフローリングには硬度の低い無垢材を採用し、家具やドアなど傷つきやすい部位には硬度の高い材料を選ぶなどの使い分けが必要です。


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4Hの塗膜耐久性と抗菌性能を付与した「KDパネル」

4Hの塗膜耐久性と抗菌性能を付与した「KDパネル」
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まとめ

鉛筆硬度(鉛筆硬度試験)は、建築材料などの表面強度を評価する指標です。

硬度が高いほど耐傷性・耐摩耗性が高いことを意味します。

ただし、硬度の高い材料は触り心地が硬く冷たく感じるため、部位ごとに硬度の異なる材料を選ぶことが重要です。

恩加島木材では、鉛筆硬度4Hの高耐久な突板化粧板をはじめ、木の魅力を活かせる品質の良い内装建材を製造しております。

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