【木材塗装】現場・工場の違い|メリット・デメリット、方法を決めるポイントを解説

木材を着色や表面保護の目的で塗装する事例は多いですが、シチュエーションによって現場・工場どちらで塗装した方がいいかは異なります。
そこで今回は、木材塗装について現場・工場それぞれで仕上げるメリットとデメリットを解説します。
おすすめの木質建材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
●現場塗装・工場塗装ではそれぞれにメリットとデメリットがあるため、工期・予算・プラン内容に応じて、最適な塗装方法を選びましょう。
●恩加島木材は国内外より良質な突板を仕入れて高品質な突板内装建材を製造販売しており、塗装工程も全て自社工場にて行っております。
Contents
木材塗装の工程

現場塗装・工場塗装についてお話しする前に、まずは木材の塗装工程を紹介します。
美しい仕上がりに加えて長期間耐久性を保つためには、以下の作業が必要です。
素地ごしらえ
- ①表面の汚れや付着物除去(油分は溶剤等で拭き取る)
- ②ヤニ処理(削り取り、溶剤などで拭き取る)
- ③研磨・サンディング【1回目】
- ④節止め※(節やその周囲に速乾不透過系塗料を塗る)
- ⑤穴埋め(割れや穴、凹みをパテで埋めて平滑にする)
- ⑥研磨・サンディング【2回目】(表面を滑らかにする)

合成樹調合ペイント塗り
- ①下塗り【1回目】(塗料を素地によくなじませる)
- ②下塗り【2回目】
- ③パテ処理(下地の不陸をパテで平滑にする)
- ④研磨・サンディング
- ⑤中塗り
- ⑥上塗り
ウレタン樹脂ワニス塗り※
- ①着色
- ②下塗り
- ③研磨・サンディング【1回目】
- ④中塗り
- ⑤研磨・サンディング【2回目】
- ⑥上塗り
※節どめ:樹脂が表面にしみ出すことによる塗膜層の軟化や膨れを防止する処理
※ワニス:天然樹脂や合成樹脂を溶剤に溶かした塗料(ニスと同意)
このように、木材塗装の品質を高めるためには、数々の工程を経る必要があります。
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「現場塗装」のメリット・デメリット

現場塗装とは、建設現場で既に組み立てられた状態もしくは施工前の木材に直接塗装を施す方法です。
メリット
- 少量の塗装範囲に対応しやすい
- 工程や仕様、プラン変更へ臨機応変に対応できる
- 木材を現場で加工してから塗装仕上げできる
- 現場でカラー打ち合わせや調色作業できる
「現場塗装はコストを抑えられる」と思われがちですが、それは現場塗装で扱える塗料が工場で使用する塗料よりも安価なケースが多いためです。
工場塗装による材料のコストアップと現場塗装による人件費アップを比較すると、あまり変わらないケースが大半です。
デメリット
- 塗装部位によっては、周囲の養生作業や仮設工事(足場掛け払いなど)が必要
- 安全性の観点から、有毒性の高い塗料や保管・取り扱いが難しい塗料は使用できない(高耐久な防腐塗料や不燃塗料など)
- 大掛かりな設備を要する塗料は使用できない(UV塗料など)
- 天候によって作業できないため、工程に影響が出る
- 乾燥期間が必要(適切な温度・湿度環境でないと、仕上がりが悪くなる)
- 防腐・防虫性のある塗料が木材の深部まで浸透しない(耐用年数が短い)
- 再塗装が必要となる期間(間隔)が短い
- 施工者の技術によって、仕上がりにムラが出やすい
- 下塗り後に天候が悪くなると、表面保護能力が低い状態で長期間放置することになる
- 現場で塗装作業用や材料一時保管用のスペースが必要
現場塗装はフレキシブルに現場の状況へ対応できる反面、性能面や工程管理の面でデメリットがあるので注意が必要です。
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「工場塗装」のメリット・デメリット

木材の工場塗装とは、工場で人の手や機械設備によって仕上げる方法です。
メリット
- 現場での塗装用養生作業や足場は不要(工事費削減)
- 現場では取り扱えない高耐久塗料に対応できる
- 天候に左右されないため、工程管理しやすい
- 最適な乾燥時間や温度に合う最適な環境で塗装できる
- 防腐・防虫性塗料を加圧注入※できるため、耐用年数が長い
- 均一な塗膜厚さを確保できるため、耐用年数が長い
- 機械設備による塗装なので、品質安定性が高い
- 納品後すぐに施工できる
- 現場での塗装作業スペースは不要
※加圧注入:木材に高圧力をかけ、薬剤を深部まで浸透させる技術
工場塗装のメリットは、安定している高い品質です。
天候や温度・湿度の影響を受けないため、工程やコストのずれが生じにくい点も魅力とされています。
デメリット
- 少量の材料では、オリジナル色や特注塗装に対応できない可能性がある
- オリジナル色や特注塗装は納期が長くなりがち
- 急な工程や仕様、プラン変更へ対応できない
- 木材を現場で加工すると、タッチアップ塗装が必要
工場塗装は天候の影響による工期遅延を避けられるものの、急なプラン変更に対応するのが難しい点は否めません。
木材を「現場塗装・工場塗装」判断するポイント

木材を現場塗装にするか工場塗装にするか迷った際は、以下のポイントを確認しましょう。
現場塗装の方が良い場合 | 「安価な塗料を使い、とにかくコストを抑えたい」 「塗装する面積が小さい」 「工期に余裕があり、天候不良による遅延が許容される」 「現地での微調整や加工が生じる可能性がある」 「プランや仕様が不確定である」 |
工場塗装の方が良い場合 | 「木材の表面耐久性を長く維持したい」 「高耐久な特殊塗装を取り入れたい」 「大量の塗装済み木材が必要」 「工期が厳しく、遅延できない」 「工事を雨天が多い時期や気温が低くなる時期に行う」 「現場で木材の保管や塗装作業に必要なスペースを確保できない」 |
塗装まで自社工場で管理「恩加島木材の突板化粧板」

“恩加島木材工業株式会社”は、1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使って良質でバラエティに富んだ突板化粧板を作り続けてきました。
※突板化粧板については、突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介、突板化粧板のデメリットや注意点は?メーカーだから分かる解決方法を紹介をご覧ください。
突板化粧板の魅力は以下の点です。
- 無垢材と同様のナチュラルな見た目と質感に仕上がる。
- 工業製品なので品質安定性が高い。
- 軽量化を実現でき、施工効率性アップにつながる。
- 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。
- 希少性があり高価な樹種でも、無垢材より安価で安定して材料を入手しやすい。
- 原木1本から取れる突板面積は無垢板材よりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。
- 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる変色も抑えられる。
- 基材によっては防火材料認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすく、対象範囲とそうでない部分の仕上げを揃えられる。
恩加島木材では、創業初期から培った技術を用いて、ウレタン塗装からオリジナル色での着色塗装、UV塗装・抗ウイルス塗装などの特殊塗装を全て自社工場にて行なっております。
オリジナリティを表現できる木質建材をお探しの方は、ぜひ恩加島木材までご相談ください。
● 豊富な樹種・木目とUV塗装も選べる「突板化粧板」
● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板」
● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル」
● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード」
内装制限の対象となる建築物へご採用いただける製品を取り揃えておりますので、建物の設計デザインに木目を取り入れたい方はお気軽に弊社までご相談ください。
まとめ
木材塗装はたくさんの工程を経る必要があり、現場塗装・工場塗装ではそれぞれにメリットとデメリットがあります。
そのため、工期・予算・プラン内容に応じて、最適な塗装方法を選ぶ必要があります。
恩加島木材では、高品質の塗装済み突板化粧板を製造し、皆様のプラン実現をサポートしております。
オリジナル着色や高耐久やUV塗装、抗ウイルス塗装を全て自社工場にて行なっておりますので、「思い通りのデザインを実現したい」「既製品ではイメージ通りの施工が難しい」という方は、レパートリー豊富な恩加島木材の突板製品をご検討ください。