「有孔ボードを壁一面に」メリット・デメリットと材料選びのポイント
住宅や公共施設で壁や天井一面に有孔ボードを採用する事例が増えています。
しかし、有孔ボードの種類や用途、メリット・デメリットを知らない方は少なくないはずです。
そこで今回は、有孔ボードの種類や用途、メリットとデメリット・注意点、材料選定のポイントを詳しく解説します。
おすすめの内装建材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
● 有孔ボードを選定する際は、開口率や裏面の処理、不燃性能、デザイン性に関するポイントを押さえましょう。
● 恩加島木材は国内外から産地にこだわった良質な突板を仕入れ、有孔ボードをはじめとした高品質で多彩な木質内装建材を製造販売しています。
Contents
有孔ボードとは|種類・用途
有孔ボードとは有孔パネルとも呼ばれ、板材に小さな孔が等間隔に開けられている内装材です。
主に壁や天井の仕上げ材として採用されます。
基材の種類
有孔パネルの性能や用途は基材(きざい)によって分類されます。
合板
木質合板を基材とする有孔ボードは、厚さのレパートリーが豊富でDIY用としてホームセンターなどでも安価に購入できます。
ただし、薄いものは保存中や施工後に反りやすいため注意しましょう。
ランバーコア(※)
ランバーコアの有孔ボードは安価な点がメリットですが、表面の板材が薄く中が空洞なので防音性はほとんどありません。
MDF(※)
MDFは合板と比べると表面強度が高くさらに安価な点がメリットです。
ただし水分に弱いため、湿度の高い場所や結露が発生する場所には適しません。
不燃パネル
内装制限(※)の対象となる範囲に有孔ボードを施工する場合は、防火材料として認定を受けたものを選定する必要があります。
※ランバーコア:シナやラワンなどの小角材を芯材として組み、その両側に薄い板材を張り合わせた合板材です。内部に空洞があるため安価に厚みを出せます。
※MDF:Medium Density Fiberboardの略称で、和訳すると「中質繊維板」や「中密度繊維板」という意味です。木粉と接着剤を混ぜ合わせて高温で加圧成型したパネル材で、合板や無垢板よりも強度が安定し変形しにくい特長を持ちます。
※内装制限:不特定多数の人が利用する公共的な建築物において、内装壁や天井の下地材及び仕上げ材を防火材料にしなくてはいけない規定です。詳しくは「内装制限の範囲はどこまで?対象となる部分・ならない部分を徹底解説」をご覧ください。
表面材の種類
有孔ボードはそのまま仕上げ材として施工するため、表面の風合いに種類があります。
基材である合板やランバーコアの素地をそのまま生かすタイプと、表面にポリエステル化粧板や突板(※)を貼り合わせるタイプがあるため、材料選定の際には表面材も必ず確認しましょう。
※突板(つきいた):木材を厚さ0.2〜0.3mmに薄くスライスした素材で、化粧板などの表面材に用いられる
用途
有孔ボードは音を反響させないため吸音・防音性能があります。
そのため、主に音楽室やホール、体育館、会議室、スタジオなどの壁や天井へ施工されます。
その他にもボードの穴に専用フックや棚を取り付けられるため、壁面収納のアイテムや店舗の什器として活用されるケースも少なくありません。
収納用の簡易的な有孔ボードは、ペグボードやハンバーボード、パンチングボードなどの名称で販売されていますが、建築工事で用いられる有孔ボードとは厚みや性質は異なります。
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そのため、体育館や学校、その他公共的な建築物へ多数ご採用いただいております。
有孔ボードを壁・天井一面に採用するメリット
有孔ボードを体育館や音楽室以外の場所にも壁や天井一面に施工する事例が増えています。
主なメリットは以下の2点です。
- 有孔ボードの吸音・防音性能によって、話し声や足音などを軽減できる
- 規則的に並んだ孔がシンプルでモダンな印象をつくりだす
これらの利点から教育施設や福祉施設のプランへ多く取り入れられています。
有孔ボードを壁・天井一面に採用するデメリット・注意点
有孔ボードは吸音・防音性とシンプルなデザイン性が魅力ですが、設計プランへ採用する前に知っておいていただきたいデメリットや注意点もあります。
解決策とあわせて詳細を押さえておきましょう。
開口率によって吸音効果が変わる
有孔ボードの吸音・防音性能は、開口率、つまり孔径や間隔によって異なります。
吸音率は開口率の高いボード(孔径が大きいもしくは孔の間隔が狭い)ほど高い実験結果が出ているため、音響室など防音性を重視する場所に有孔ボードを施工する場合は材料選定に注意が必要です。(参考:国立研究開発法人 科学技術振興機構|J stage|音響材質の性質と使い方)
※有孔ボードの吸音率は、裏面の仕上げや壁面の納まり(空洞の有無、直貼りなど)によっても異なります。
(孔の総面積/ボードの面積)×100=有孔ボードの開口率(%)
孔径:φ5mm/6mm/8mm/9mm
孔ピッチ:P=25mm/30mm
吸音効果を高めるためには寒冷紗貼りが必要
ホームセンターなどで手軽に購入できる有孔ボードはあまり吸音・防音効果がない可能性もあるため注意しましょう。
有孔ボードの吸音性をさらに高めるためには、裏面に寒冷紗(※)の貼っているタイプがおすすめです。
※寒冷紗(かんれいしゃ):化学繊維や綿・麻などの糸を織った薄い布地
寒冷紗とボード表面の間に薄い空気層ができ、音がさらに分散されて吸音効果が高まります。
公共的な建築物には不燃性能が必須
特殊建築物の壁・天井に有孔ボードを採用する場合は、「内装制限(建築基準法第35条の2「特殊建築物等の内装」)」に基づき国土交通大臣より防火材料(不燃・準不燃・難燃)として認定を受けたものを選ばなくてはいけません。
※防火材料については「建築基準法における“不燃材料”の定義|設計で欠かせないルールと材料選定のコツ」をご覧ください。
特殊建築物は以下の建物が該当し、居室及び通路・階段などの壁・天井が内装制限の対象となります。
建築基準法第2条(用語の定義)
2.特殊建築物
学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。(引用:建築基準法)
重要な点は、パネル材として防火材料の認定を受けている製品でも、工場や現場で孔開け加工すると認定が無効となる点です。
そのため内装制限の範囲に有孔ボードを採用する場合は、必ず「孔が開いた状態で国土交通大臣から認定を受けている」製品を選びましょう。
周囲とのトータルコーディネートも重要
有孔パネルは吸音・防音材として採用されますが、内装仕上げ材としての側面もあるため、デザイン性も重要です。
有孔パネルが周囲のインテリアから浮いてしまわないように注意しましょう。
恩加島木材の有孔ボードには天然木の質感や木目が生きる突板を用いています。
有孔ボードと化粧板で同じ突板を使用するため、壁・天井に加えて造作家具や建具までトータルコーディネートできる点が強みです。
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〈国内初・不燃認定〉恩加島木材の“天然木練付有孔化粧板”
“恩加島木材工業”は1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら国内に限らず世界中の銘木を使って良質でバラエティに富んだ突板化粧板を作り続けてきました。
良質な突板を用いて以下の内装材を製造しております。
- 化粧板
- 有孔パネル(孔の開いた状態で不燃認定取得済み)
- リブパネル(組み立てた状態で準不燃認定取得済み)
- 不燃・難燃ボード
- ルーバー
- フローリング・パネリング
どれも40以上の樹種から表面材をお選びいただけるため、「有孔ボードと造作家具・ドアの面材」「有孔ボードと板張り壁・板張り天井」で木目を揃えられる点がポイントです。
● 材料の軽量化を実現でき、施工効率性アップにつながる。
● 無垢材よりも温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。
● 希少価値があり高価な樹種でも、無垢材よりコストを抑えられてまとまった量の材料を入手しやすい。
● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる変色も抑えられる。
● 基材によって防火材料の認定を取得できるため、内装制限の対象範囲とそうでない部分の仕上げを揃えられる。
恩加島木材は突板化粧板製品の製造だけではなく、着色塗装や特殊塗装も全て自社工場で対応しております。
デザインイメージや施工場所に合わせた建材をお探しの方はぜひ恩加島木材へご相談ください。
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まとめ
有孔ボードを壁や天井一面に採用するメリットは、主に吸音・防音性にあります。
ただし、材料選定の際には開口率や裏面の処理、不燃性能に関する注意点があります。
恩加島木材では、孔の開いた状態で国土交通大臣から不燃材料として認定されているため、内装制限の対象となる特殊建築物の壁や天井にもご採用いただけます。
「天然木の魅力を生かした設計デザインにしたい」「天井・壁と家具やドアをトータルコーディネイトしたい」という方は、ぜひ恩加島木材の突板製品をご検討ください。