栗の木材|特徴や経年変化、価格からおすすめ建材まで詳しく解説

栗の木

家具の材料から内装材、構造材まで幅広い用途で活用されている栗(クリ)材について、産地や特徴(木目・色・強度・重さ)、価格の傾向を“木材のプロ”が詳しく解説します。

おすすめの内装建材も紹介しますので、ウッドインテリアの材料をご検討中の方は是非最後までご覧ください。

このコラムのポイント
● 栗(クリ)材は、特徴的な色味と木目をもち、比較的硬くて重い特性があります。

● 栗(クリ)材のデメリットを解消できる内装材が「突板化粧板」です。

● 恩加島木材は、国内外から産地にこだわった良質な突板を仕入れ、高品質で多彩な突板製品を製造販売しています。


栗(クリ)木材の特徴|産地・用途・木目・色・強度・重さ

クリ
クリ(板目)

栗(クリ・英:chestnutチェスナット)はブナ科クリ属の落葉高木樹で、主な生育地はアジア・ヨーロッパ・北米など、北半球の温帯地域を中心に広く分布しています。

樹高が15m、幹の太さが1m近く育つものも少なくありません。

有名な原生地は以下の通りです。

  • 北米(カナダ・アメリカ北部)
  • 朝鮮半島
  • 日本(北海道南部、本州〜九州)

栗と聞くと食用のイメージが強いですが、林産物である実の部分だけではなく木材(原木・製材など)も輸入されています。

では、栗(クリ)材の特徴を紹介します。

用途

  • 構造材(土台・柱など)
  • 枕木や土木用木材
  • 家具の材料
  • 装飾材や造作部材
  • 内装材(フローリング材、カウンター材など)
  • 突板・挽板化粧板の表面材


栗(クリ)材は、一般住宅だけではなく神社仏閣や公共的な建築物の内装まで広く活用されています。

色味・質感・木目

栗(クリ)は、年輪の境目に特に太い道管※が並列しており、年輪は直通ではっきりしていて木肌の質感はやや粗めです。

※道管:植物の縦方向に通る管状の細胞で、水や無機養分を全体に行き届かせるパイプの役割を持つ。

タンニンが含まれているため心材※は褐色で、辺材※はグレーがかった淡い褐色をしており、色の差が大きく切り出す部位によって色違いが明確な点も魅力とされています。

※心材:丸太方向の中心に近い部分
※辺材:丸太方向で樹皮に近い外側の部分

樹齢の長いものは、縮杢(チジミモク)やたくり杢、玉杢(タマモク)瘤杢(コブモク)など、個性的な木目が現れ、その希少性から高値で取引されるケースは珍しくありません。

比重・硬さ・強度

【気乾比重※】0.55程度(0.44~0.78)
※産地や生育環境によって異なる
【平均収縮率(柾目方向)】0.14~0.17%
【平均収縮率(板目方向)】0.27~0.32%
【曲げ強さ】58.9~82.4MPa
【圧縮強さ】30.5~43.1MPa
【せん断強さ】9.4~11.8MPa

※気乾比重:木材を含水率15%程度まで乾燥させた時の重さと水の体積を比べた値で、数値が大きいほど重くて硬く、小さいほど軽くて柔らかいことを表す。針葉樹は「0.3〜0.5」、広葉樹は「0.5〜0.9」程度が標準。

気乾比重が0.55程度であることから、広葉樹の中では軽量であるものの木材に加工される樹種の中では「やや重くて硬い」部類に含まれます。

軽くて柔らかい木に比べると伸縮率や変形リスクが低い点もポイントです。

また、タンニンが含まれているため防虫・防腐性が比較的高く、多少の耐水性もあります。

ただし、重くて硬いことから切削などの加工はしにくく、運搬効率もあまり高くありません。

経年変化

栗(クリ)材にはタンニンが他の樹種よりも多く含まれているため、経年とともに濃い色に変色します。

濃色化することで深みが増して趣ある雰囲気に仕上がるため、主に洋風デザインのインテリアと組み合わせるケースが多いです。

よく人の手に触れる場所に採用すると、経年によって木目の輪郭や模様がはっきりしてくる点も人気のポイントと言えるでしょう。


栗(クリ)木材の価格傾向

栗(クリ)木材の価格傾向

栗(クリ)材は国産材と輸入材があり、国内産は多量に流通する杉・桧などの針葉樹だけではなく、国産広葉樹よりも価格は高めです。

同じ国産広葉樹であるコナラやクヌギの価格と比べると、1.2〜1.5倍程度で売られています。(参考:林野庁|広葉樹市で出品された里山材(一部)岩手県林業技術センター|広葉樹丸太の市場価格の現状

プロ用の材木店だけではなく一般の方向けにホームセンターでも稀に販売されていますが、カウンター材など小さな材料だけで大きな材料は滅多に見かけません。

これらのことから、建築資材として利用される栗(クリ)材は、国産材よりも安価で流注量の多い輸入材が主流です。


栗(クリ)材を採用する際のデメリット・注意点

栗(クリ)材を採用する際のデメリット・注意点

栗(クリ)材は、特長的なグレーがかった淡褐色とはっきりした木目が特徴で重くて硬いため、針葉樹よりも表面強度や耐久性が高い点が魅力です。

ただし一方で、建築材料として採用する際には、事前に知っておいていただきたいデメリットもあります。

  • 材料のサイズが大きく厚くなるほど重量があり施工効率が落ちる
  • 硬いため細かいカット加工が難しい
  • 輸入材が中心なので、世界情勢(原油高や円安など)によって価格が変動しやすい


ポイント
材料の軽量化やコストダウンを重視する方におすすめなのが、突板化粧板です。

恩加島木材工業は1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして国内外より銘木から作られた突板を仕入れ、良質でバラエティに富んだ内装建材を製造しています。


〈おすすめコラム〉
突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは?どれがおすすめ?特性から選び方まで徹底解説
天然木にこだわるなら突板練付化粧板。メラミン化粧板・オレフィン化粧板・プリント化粧板との違いは?





内装材におすすめの「天然木突板化粧合板」

1947年創業恩加島木材の多彩な突板製品シリーズ

突板は天然原木を厚さ0.2〜0.3mmと薄いシート状にスライスした素材で、合板や不燃パネルなどへ突板を接着したものが「突板化粧板(突板化粧合板)」です。

突板化粧板には、品質面・施工面・コスト面においてメリットがあります。

  • 温度や湿度の変化による変形リスクが低い(天然木部分が薄いため)
  • 材料を軽量化できて無垢材よりも品質安定性が高いため、施工効率が上がる
  • 希少な樹種や高価な樹種でもリーズナブルな価格で採用できる
  • 広い面積の材料が必要な場合でも木目や色味を揃えやすい(1本の原木から採取できる表面積が広いため)
  • コストを抑えて産地を限定しやすい(国産材や地産材など)
  • 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる変色を抑えられる
  • 基材の種類によっては不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい

突板の常備在庫は40以上の樹種、およそ1000束に上り、その豊富なストックから仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しております。

また、塗装も自社工場で行うため、UV塗装などの特殊塗装やオリジナル色での着色塗装などデザインイメージや施工場所に合わせた加工が可能です。

国産材・地域材など産地を限定した突板もございますので、ぜひ設計デザインへご採用ください。


〈おすすめコラム〉
突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介
突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは?どれがおすすめ?特性から選び方まで徹底解説
木目を活かす木材の表面仕上げとは?塗装や加工の種類を紹介





まとめ

栗(クリ)材は、硬くて重く比較的強度の高い樹種で、特徴的な色味とはっきりした木目が人気です。

ただし硬いが故に加工が難しく、国産材は価格が高い傾向が見られます。

また、輸入材は様々な世界情勢によって価格や流通量が変動するリスクがあります。

そこでおすすめするのが突板化粧板です。

「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。