プリント合板とは?その他化粧合板との違いや材料選びのコツを徹底解説
プリント合板は家具の材料や内装仕上げ材として建物用途問わず様々な場所へ施工されています。
しかし、その特徴や他の化粧合板との違いについてはそれほど知られていません。
そこで、今回は「プリント合板」のメリット・デメリットや他の化粧合板との違いについて詳しく解説します。
ナチュラルな木目や質感にこだわりたい方におすすめの内装材も紹介しますので、家具やインテリアの設計デザインを検討している方はぜひ最後までご覧ください。
● プリント合板とその他化粧合板にはメリットとデメリットの両方があるため、施工部位やデザインコンセプトに合わせて適切な材料を選びましょう。
● 恩加島木材は、国内外から産地にこだわった良質な突板を仕入れ、高品質で多彩な「突板化粧合板製品」を製造販売しています。
Contents
プリント合板とは|メリット・デメリット
プリント合板は、基材(きざい)と表面材から構成されている建築内装用パネル材です。
基材(きざい) | 合板やパーティクルボード、MDFなど |
表面材 | オレフィンシートや塩化ビニルシート、強化紙へ色柄をプリントしたもの |
基材と表面材を接着剤によって貼り合わせたものを総称して「化粧合板」と呼びます。
プリント合板は昭和30〜40年代から徐々に普及し始め、当初は表面が平坦ですぐに表面材が削れてしまうものが大半でしたが、近年は印刷加工技術が発展し、表面の耐久性が高いタイプやエンボス加工によってよりリアルなテクスチャーを持つタイプも増えています。
用途は以下の通りです。
- 家具の材料(表面材)
- 扉の面材
- 造作部材(巾木や枠材、ルーバー材など)
- 内装仕上げ材(天井材や壁材など)
メリット
「コストがリーズナブル」
木材や石材は天然素材なのでコストが割高になりますが、プリントされたシート材であればコストを大幅に抑えられます。
リーズナブルな価格で希少な樹種の木目をインテリアに取り入れられるということです。
「軽量」
無垢材や石材、タイル材は材料が重量で分厚いため、細かい納まりが難しかったり施工効率が落ちてしまったりする可能性は否めません。
対してプリント化粧板は基材を薄くしても品質や形状を保てるため、材料を軽量化できて運搬・施工の効率を高められます。
「大量生産できる」
自然由来の材料は同じ色柄の材料を大量に揃えるのは難しく、中規模以上の建築物においてはインテリアの統一性を保つために無垢材などを採用できないケースもあります。
プリント合板は、生産ロットの違いによる微妙な色違いはあっても、基本的に同じ色柄のパネル材を大量生産できます。
「多種多様なデザインを製造できる」
プリント合板は、印刷で表現できる色柄であればどんなものでも再現できます。
そのため、よりデザインの幅が広がり個性的なインテリアを実現しやすい点は大きなメリットと言えるでしょう。
「環境にやさしい」
プリント合板の中でもオレフィンシートを用いたものは環境配慮型建材として注目されています。
オレフィンシートは塩ビシートと比較して製造過程で排出されるCO2量を削減でき、原料に塩素を含まないため焼却しても有害ガスが出ません。
デメリット
「表面にキズがつきやすい」
プリント合板の表面材はとても薄いため、摩耗しやすくキズがつきやすい点がデメリットです。
鋭利なものでキズがつくと、基材が見えて目立ってしまいます。
「表面を補修できない」
プリント合板の表面にキズやシミがついても、基本的には補修できません。
美しさを長持ちさせたい方は、表面コーティングされた材料を選びましょう。
「表面材の剥離」
プリント合板のクオリティはどんどん高まっているため、表面材がすぐに剥離する心配は減りましたが、粘着テープなどを貼ると、表面紙だけ剥がれてしまう可能性があります。
「オリジナルの色柄は作れない」
印刷技術によって多種多様な色柄を表現できますが、オリジナルの色柄が欲しくてもかなりまとまった量を発注しないと実現できません。
「“本物”ではない」
エンボス加工によってリアリティの高いプリント合板は増えましたが、本物の木や石などと比べると、見た目・質感・触り心地は劣ります。
プリント合板とその他化粧合板の違い|特殊加工化粧合板・天然木化粧合板
プリント合板は「特殊加工化粧合板」に含まれますが、その中にはプリント合板とは全く異なる特性を持つものがあります。
また、表面に天然木を使用する「天然木化粧合板」も人気です。
ではそれぞれの違いについて紹介します。
プリント合板以外の特殊加工化粧合板
特殊加工化粧合板は、プリント合板を含め、表面や表裏面にプリントや塗装加工を施した仕上げ用パネル材の総称です。(参考:農林水産省|合板の日本農林規格)
表面材が天然素材ではない化粧合板は全て特殊加工化粧合板に分類されます。
プリント合板以外の特殊加工化粧合板には「メラミン化粧合板」と「ポリエステル化粧合板」があり、それぞれ特徴が異なるため、材料を選ぶ際は注意してください。
「メラミン化粧合板」
用途 | 〈高圧メラミン化粧板〉 ・トイレなどのパーテーション ・キッチンの壁パネル ・水廻りのカウンター材 〈低圧メラミン化粧板〉 ・家具の材料 ・扉の面材 ・水廻り以外のカウンター材 |
メリット | ・耐火性と耐水性が高い ・表面の硬度が高いためキズが付きにくい |
デメリット | ・表面にキズがついても補修できない ・触り心地は硬くて冷たい |
【ポリエステル化粧合板】
用途 | ・安価な家具の材料 ・安価な建具の面材 ・安価な造作部材 ※耐久性はあまりないため、標準以上の仕様にはあまり用いられない |
メリット | ・価格がリーズナブル ・多少の水はねなどに耐えられるほどの耐水性がある |
デメリット | ・耐火性と耐摩耗性はほとんどない ・表面にキズがついても補修できない ・触り心地は硬くて冷たい |
ただしコストが高くなるため、ご予算に合うか事前に確認しましょう。
天然木化粧合板
天然木化粧合板とは、表面材に木を薄くスライス加工した「突板(厚さ0.2〜0.3mm)」や「挽板(厚さ2〜3mm)」を用いた材料で、基本的な構造はプリント合板と変わりません。
用途 | ・家具の表面材 ・扉の面材 ・カウンター材 ・壁や天井の仕上げ材 |
メリット | ・表面材が天然木由来なので、木目や質感は“木そのもの” ・表面材である天然木部分が極薄なので、無垢材よりも湿度変化による変形リスク(伸縮・歪み・反りなど)が少ない ・1本の原木から多量の表面材を確保できるため、無垢材よりも木目や色合いが同じ材料を多量に確保しやすい |
デメリット | ・触り心地は硬め ・表面のキズが目立ちやすい(浅いキズでも基材が見えてしまう) ・表面にUV塗装などを施さないと水分には弱い(変色など) ・木目しか表現できない |
見た目はもちろん、質感や触り心地も無垢材に近づけられます。
〈おすすめコラム〉
突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは?どれがおすすめ?特性から選び方まで徹底解説
化粧合板を選ぶ際は“内装制限”に注意|不燃化粧合板
内装制限とは公共性の高い建築物において、火災時の延焼を防ぐために指定部位に不燃材・準不燃材・難燃材を使わなくてはいけないという規定です。
※内装制限については「内装制限の範囲はどこまで?対象となる部分・ならない部分を徹底解説」をご覧ください。
内装制限の対象は室内の壁・天井なので、化粧合板を仕上げ材として使うケースは少なくありません。
そのため、建物規模や用途に応じて、内装制限に対応できる不燃・準不燃・難燃認定を受けている材料を選びましょう。
〈おすすめコラム〉
公共施設・商業施設に欠かせない不燃材料。防火性能や突板練付不燃板について解説
突板不燃化粧板|特徴やメラミン化粧板・化粧ケイカル板との違いを解説
“本物”の木目・質感にこだわるなら「天然木化粧合板」がおすすめ
「恩加島木材工業」は1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使い、良質でバラエティに富んだ「突板化粧板」を作り続けてきました。
突板の常備在庫は40樹種以上およそ1000束に上り、その豊富なストックから仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しております。
● 材料の軽量化を実現でき、施工効率性アップにつながる。
● 温度や湿度環境変化による変形リスクが無垢材や集成材よりも少ない。
● 希少価値があり高価な材料でも、無垢材より木材量を減らせるため、安価な上に、安定して材料を入手しやすい。
● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。
● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる変色も抑えられる。
● 貼り合わせる基材種類によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。
● 間伐材や小径材を突板へ加工して活用できるため、環境に優しくSDGsにつながる。
恩加島木材では、化粧合板と同じ突板で以下の製品も取り揃えていますので、空間のトータルコーディネイトが可能です。
- 認定を受けた「不燃・難燃ボード」
- 湾曲した部分にも施工できる「突板シート」
- 音楽室や体育館、ホールなどの壁材・天井材に適している「有孔ボード」
- 個性的な表情の「テクスチャーボード」
恩加島木材の突板化粧板は、世界的に著名な建築家・隈研吾氏の設計による「和歌山県・有和中学校新校舎」をはじめ、様々な建築物へ採用されています。
内装デザインの材料選定で迷っている方は、ぜひ私たちまでご相談ください。
〈おすすめコラム〉
突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介
まとめ
プリント合板は低コストな点と印刷技術によって表現された多彩な色柄が魅力ですが、天然木と比べると木目や触り心地はどこか人工的です。
しかし、天然木化粧合板は表面強度の弱さなどデメリットがあります。
そこでおすすめするのが、恩加島木材の「突板化粧合板」です。
表面材に天然木を使用し、無垢材よりもリーズナブルで表面塗装で高い耐摩耗性を実現しています。
「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。