集成材のメリット・デメリット|家具材・内装材選びを後悔しないためのポイント
住宅から中規模以上の建築物まで、様々な部位に活用される「集成材」について、その特徴とメリット・デメリットを詳しく解説します。
あわせて、無垢材・合板との違いや、家具材・内装材を選ぶ際のポイントについてもお話ししますので、ウッドインテリアの材料をご検討中の方は、是非参考にしてください。
● 内装へ木を取り入れたい場合には、品質安定性・寸法安定性が高くコストパフォーマンスの高い「突板化粧板」がおすすめです。
● 恩加島木材は、国内外から産地にこだわった良質な突板を仕入れ、高品質で多彩な突板製品を製造しています。
Contents
集成材とは|用途とメリット
「集成材」とは、原木を2〜4cmの厚さにスライスした単板(ひき板・ラミナ)や小角材を繊維方向が平行になるように重ねて接着した建築材料です。
主に構造用と造作用に分かれ、さらにそのまま仕上げ材として使えるものとそうでないものに分類されます。
集成材の種類 | 特徴と用途 |
---|---|
構造用集成材 | 木造建築物における柱・梁・桁などの構造部材へ用いられ、国土交通省告示によって材料強度を決められている。 |
化粧張り構造用集成柱 | 構造用集成材へ化粧板が仕上げ材として接着されており、和室の柱などに用いられる。 |
造作用集成材 | 家具や建具、枠材などの造作部材へ使われ、主な用途は以下の通り。 ・テーブル天板やカウンター材 ・家具の材料 ・ドアの材料 ・室内階段 ・敷居や鴨居 ・窓枠など |
化粧張り造作用集成材 | 造作用集成材へ化粧板が仕上げ材として接着されており、主に和室・洋室の内装材へ使われる。 |
このように、集成材にはいくつかの種類に分けられ、これらには共通したメリットがあります。
調湿性がある
木材には、細胞内の空隙(くうげき)に、空気中の水分を抱え込んだり放出する性能があります。
集成材は単板もしくは小角材の集合体であるため、木の持つ調湿性はそのまま残り、広範囲に取り入れると室内が快適な湿度に保てます。
形状・寸法のレパートリーが豊富
集成材は工場生産品なので、無垢材よりも幅・厚さ・長さを自由に変えやすく、長尺材や湾曲材の製造も可能です。
そのため、自由な設計デザインを実現できる建築材料として重宝されています。
強度のばらつきが少なく品質安定性が高い
集成材の原料である単板や小角材は、重ねて接着する前に強度を左右する大きな節や割れた部分を取り除かれます。
そのため、材料ごとの強度差が少なく、品質安定性が比較的高い木質建材とされています。
このことから、日本農林規格(JAS規格)も計画に定められており、建築基準法施行令や関連告示でも、構造部材については基準が明確化されています。(参考:建築基準法施行令第46条第2項第1号のイ、国土交通省告示第821号)
変形リスクが少なく加工しやすい
集成材は、木目の異なる持つ単板・小角材を重ねて接着するため、無垢材よりも反り・伸縮・ねじれなどの変形リスクは少なめです。
そのため、保管しやすく加工しやすい点はメリットと言えるでしょう。
価格がリーズナブル
一般的には、無垢材よりも集成材の方が価格は安いとされています。
特に希少価値の高い樹種や産地の場合はその差が大きく、同じサイズの材料を比べると10〜20%程度の差が出るケースは少なくありません。(参考:農林水産省|木材価格統計調査)
ただし、ルーバーや床材、回り縁など断面の小さい部材は、集成材を使った方が無垢材から作られたものより高くなります。
耐火性能が高い
木材は“火に弱い”というイメージが強いですが、実は断面が大きくなると燃焼時に表面が炭化して酸素の供給が途絶えるため、中心部まで燃えつきることはありません。
木造住宅が火事にあっても、完全に倒壊せずに柱や梁だけ燃え残っているのを見たことがある方もいらっしゃるでしょう。
つまり、大きな断面を確保しやすい集成材は、耐火性能に優れているのです。
ただし、建築基準法で定められた耐火性を確保するためには燃えしろ設計(※)を踏まえた断面寸法の材料を選ばなくてはならず、材料を太くするしかありません。
※燃えしろ設計:構造材へさらに燃えた時に損失されるであろう部分を上乗せして、火災時でも基準以上の耐久性を確保できるように材料の断面サイズを決める手法
間伐材・小径材・端材も活用できて環境に優しい
無垢材を作るためには、ある程度成長し幹が太い樹木が必要ですが、集成材は間伐材やまだ若くい小径材、製材時に出た端材を原料とできます。
そのため、無駄がなくこれまで収益を生み出しづらかった間伐作業の利益化にもつながるため、サステナブルな建築材料としても注目されています。
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集成材のデメリット・注意点|無垢材との違い
集成材には施工面やコスト面、環境面においてメリットがありますが、一方で材料選定する際に知っておくべきデメリットや注意点もあります。
耐用年数(寿命)は短め
木材自体は周囲環境によって数百年もつとされています。
ところが、集成材の製造に用いられる接着剤はそこまでの寿命はなく、50〜100年程度で性能が失われると言われています。
接着剤から劣化して単板や小角材同士の密着性が失われるため、無垢材よりも耐用年数(寿命)は短いとされているのです。
構造用集成材には、高耐久なレゾルシノール系樹脂接着剤、造作用集成材には低汚染型のユリア樹脂接着剤が使われますが、どちらも風雨や日射、温度・湿度環境によって寿命は左右されます。
●テーブル天板やカウンター材など頻繁に水拭きする部位
●雨・風・太陽光(日射)などに直接さらされる部位
●温湿度の変化によって木材の含水率が変動しやすい部位
●空調機の温風が直接当たる部位
これらの場所へ集成材を取り入れると、20〜30年後と短いスパンで劣化する可能性があります。
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化学物質を使っている
1980年代頃から建築資材の接着剤に含まれるホルムアルデヒドなどの有機溶剤によって、シックハウス症候群と呼ばれる体調不良を訴える人が急増しました。
そのことから、今でも「接着剤を用いる集成材は人体に有害」と思われています。
しかし、2003年の改正建築基準法によって、それ以後は建築資材に対して指定化学物質の含有量が厳しく制限されたため、シックハウス症候群の発症数は減少しています。
つまり、集成材=健康に悪いとは言い切れないのです。
ただし、化学物質過敏症の方は稀に体調不良を感じる場合もあるため、個人住宅へ採用する際は注意しましょう。
これらの安全性を評価する指標が、エフフォースター(F☆☆☆☆)制度で、星の数によってホルムアルデヒドなどの放散速度量を確認できます。
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木材の継ぎ目が現れる
集成材を内装仕上げ材へ使う場合、単板などの継ぎ目が現れる点には注意しましょう。
ただし、この継ぎ目は必ずしもデメリットになるとは限りません。
モダンでシャープなデザインを表現したい場合には、むしろ直線的な印象の集成材を敢えて選ぶケースもあります。
触り心地は硬め
集成材は細かい材料を重ねていて接着面が複数あるため、無垢材よりも触り心地は硬めです。
そのため、床材や階段の踏み板へ採用する際は、事前に踏み心地を確認しましょう。
触り心地が硬く感じるからと言って、表面強度が高い訳ではありません。
鋭利なものや硬いものがぶつかれば、引っ掻きキズや凹みはついてしまいます。
樹種が限定される
無垢材は国内外と産地を限定しなければ、多種多様な樹種から材料を選べます。
対して、集成材は樹種が限られる点は否めません。
(集成材の種類) | (樹種と産地) |
---|---|
構造用集成材 | カラマツ(国産材) スギ(国産材) ヒノキ(国産材) ベイマツ(輸入材) スプルース(輸入材) 欧州アカマツ(輸入材) |
造作用集成材 | 桐(国産材) スギ(国産材) ヒノキ(国産材) アカシア(輸入材) パイン(輸入材) タモ(輸入材) ゴム(輸入材) ナラ(輸入材) ウォルナット(輸入材) メープル(輸入材) 竹(輸入材) |
材料を薄く軽くできない
集成材は、テーブル天板やカウンターへ使われるものでも厚さ15〜30mmあり、性質的にそれ以上薄くすると強度や耐久性を維持できません。
そのため、仕上げ材として使いにくく細工しづらい点はデメリットです。
また、薄くできないため、重量が重く、天井や壁など広い面積へ施工する場合は、施工効率が下がることも懸念されます。
全く変形しない訳ではない
集成材は全く変形しない訳ではありません。
集成材のメリットは「変形リスクが低い」点ですが、これはあくまでも無垢材と比較した場合に限ります。
湿度の変化によって反りや伸縮する可能性は十分あるため、保管環境や施工環境には注意しましょう。
表面材に天然木を、基材には変形リスクの少ない合板などを用いた建築材料です。
合板は原木を3mmほどにスライスした単板を“繊維が直行するように”積層して接着した板材で、繊維が平行な集成材よりも変形リスクをさらに抑えられます。
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家具材や内装材は「突板化粧板」がおすすめ
私たち“恩加島木材工業”は、1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使い、良質でバラエティに富んだ内装建材を作り続けてきました。
突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しております。
● 材料の軽量化を実現でき、施工効率性アップにつながる。
● 温度や湿度環境変化による変形リスクが無垢材や集成材よりも少ない。
● 希少価値があり高価な樹種でも、無垢材より木材量を減らせるため、安価な上に、安定して材料を入手しやすい。
● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。
● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる変色も抑えられる。
● 貼り合わせる基材によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。
● 間伐材や小径材を突板へ加工して活用できるため、環境に優しくSDGsにつながる。
無垢材の風合いを活かしながらも、コスト面・性能面のメリットをプラスした恩加島木材の突板化粧板は、世界的に著名な建築家・隈研吾氏の設計による「和歌山県・有和中学校新校舎」をはじめ、様々な建築物へ採用されています。
内装デザインの材料選定で迷っている方は、ぜひ私たちまでご相談ください。
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まとめ
集成材は、無垢材よりも変形リスクが少なく大きな断面の材料を入手しやすい点がメリットです。
ただし、一方で寿命には少々不安があります。
また、インテリアの細かいデザインを実現しにくい点も否めません。
そこでおすすめするのが、天然木の風合いを生かし、コストパフォーマンスの良い「突板化粧板」です。
無垢材よりもリーズナブルで、表面に細かいキズがついたり、温度や湿度によって反りや歪みが発生したりするリスクを抑えられます。
「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
当社では、建築現場の効率性アップと地球環境保全を目的に、以下の取り組みを行っています。