インテリアに使われる“チェリー材”の特徴|メリット・デメリットや色・経年変化を解説

高級家具材やフローリング材の材料として知られる「チェリー材」。

その魅力は見た目だけではありません。

今回は、内装材として使われる「チェリー材」の特徴や、色・木目・経年変化、メリット・デメリットについて“木材のプロ”が詳しく解説します。

ウッドインテリアの材料をご検討中の方は、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
● チェリー材は、家具の材料や内装材へ用いられます。

● 材料のコストダウンや施工性アップを目指す方には、天然木の魅力を持つ「突板化粧板」がおすすめです。

● 恩加島木材は、国内外から産地にこだわった良質な突板を仕入れ、高品質で多彩な突板製品を製造販売しています。



チェリー材の特徴やメリットは?

チェリー柾
チェリー(柾目)

チェリー材は、ブラックチェリー材やアメリカンチェリー材と呼ばれる北米産の樹種です。

バラ科サクラ属の落葉広葉樹で、数品種のサクラを総称してチェリー材と呼びます。

アメリカ・ペンシルベニア州で育ったチェリー材は、ガムスポットと呼ばれるヤニによる黒い斑点が少なく、特に銘木として取引されています。

ウォールナット材と並び、内装建材に用いられる樹種として人気が高い樹種です。

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では、項目別に特徴を紹介します。

用途

チェリー材は、主に以下の用途に使われます。

  • 高級家具の材料
  • 無垢フローリング材の材料
  • 突板・挽板化粧板の表面材
  • 内装仕上げ材(天井・壁など)
  • 屋内用ルーバーや格子の材料
  • 楽器の材料


色味・質感・木目

チェリー材は、少し赤みがかった淡い色をしており、それが段々と濃い飴色へ変色していきます。

散孔材(※)なので、道管による凹凸は感触で分かるものの、角がなく全体的に滑らかです。

製材された状態ですと触り心地がすべすべしているため、内装仕上げ材へ採用される事例も珍しくありません。

※散孔材:水分や養分を運ぶ道管(どうかん)が太く、全体に渡り不規則に張り巡らされている樹種。

そして、チェリー材の魅力は多彩で個性的な木目にもあります。

一般的には、年輪が淡く目立たない木目ですが、樹木によっては「さざ波紋(リップルマーク)」と呼ばれる特殊な杢目が現れます。

波のようなうねり模様が特徴です。

また、ガムポケット(※)やピンノット(※)も、チェリー材ならではの現象で、まさに“個性”と呼べるでしょう。

※ガムポケット:樹脂が木の細胞の隙間に蓄積し、点や筋のように部分変色する現象で、樹脂痕とも呼ばれる。

※ピンノット:木が若いうちにできた枝の分かれ目が成長の過程で幹に包み込まれ、部分的に節となって出る現象で、葉節や針節とも呼ばれる。


比重・硬さ・強度

チェリー材の気乾比重(※)は「0.56」で、主な樹種の中では少々重め、広葉樹に限定すると軽めな部類に属します。

※気乾比重:木材を含水率15%程度まで乾燥させた時の重さと水の体積を比べた値で、数値が大きいほど重くて硬く、小さいほど軽くて柔らかいことを表す。針葉樹は「0.3〜0.5」、広葉樹は「0.5〜0.9」程度が標準。

広葉樹の中では比較的軽くて柔らかいため、加工しやすい点が魅力です。

また、比重がそれほど大きくない割に、湿度による変形が小さい点も大きなメリットと言えるでしょう。

樹種気乾比重平均収縮率(%)
柾目方向
平均収縮率(%)
板目方向
チェリー0.560.130.26
ウォールナット0.630.14~0.170.23
バーチ0.710.18~0.210.27~0.32


価格

チェリー材は木材の中ではやや高めですが、高価な樹種として知られているウォールナットの70〜80%程度の価格で取引されています。

チェリー材と似た特色を持つヤマザクラ(国産材)の方がリーズナブルなので、価格面でそちらを採用するケースは珍しくありません。

※市場の状況により変動する可能性があります。


経年変化

内装へ用いられる樹種の中でも、チェリーはトップクラスに経年変化が大きい樹種です。

新しい木材は赤みを帯びた淡い褐色ですが、それが一年も経つとオレンジが強い飴色へ変化します。

この経年変化こそ、チェリー材の大きな特徴と言えるでしょう。

経年とともに褪色したというよりも、深みが増して趣ある雰囲気になります。


チェリー材のデメリットと解決方法

チェリー(板目)

チェリー材は柔らかい印象の木目や滑らかな質感、そして特徴的な経年変色が魅力ですが、一方で採用する前に知っておいた方が良いデメリットもあります。

  • 部分的な変色が目立ちやすい
  • 表面耐久性はそれほど高くないため、キズが付きやすい
  • 高価な輸入材なので、世界情勢(原油高や円安など)によって価格が変動しやすい


ポイント
日焼け防止や表面強化は、塗装加工によって解決できます。

コスト面のリスクは、無垢材の量を少なくすることで影響を最小限に抑えられるでしょう。

この2点を備えた内装建材が、「突板化粧板」です。


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チェリー材とサクラ材の違い

チェリー材は、ブラックチェリーやアメリカンチェリーから製材されたもので、主な原産エリアは北米です。

しかし、国産材の中にも同じバラ科サクラ属の樹種があります。

それが「ヤマザクラ」です。

「サクラ材」と呼ばれており、主な産地は東北南部や北陸地方です。

スギやヒノキなどの針葉樹と比べると生育面積は狭いですが、国内の原木市場へ出回っています。

近年は、政府による国産材利用の推進に伴って、公共施設の床材や内装仕上げ材に活用されている事例もあります。(参考:国土交通省|第4章 – 建築部位の設計

ポイント
チェリー材とサクラ材は木目や色合い、質感が似ていますが、サクラ材の方が全体的に淡い色をしており、心材と辺材の色の違いがはっきりしています。


ちなみに、国産材の中には“サクラ”と名がつく「カバザクラ」もありますが、こちらはカバノキ科に属するバーチ材の仲間です。

そのため、チェリー材やサクラ材とは風合いが異なります。


内装材におすすめの“天然木突板化粧合板”

内装材におすすめの“天然木突板化粧合板”

突板化粧板とは、天然木を0.2~0.3mm程度のシート状にスライスした“突板”を合板などに接着した内装建材です。

「突板化粧板」のメリット
● 表面は天然木なので、無垢材と同様にナチュラルな見た目になる。

● 材料の軽量化を実現でき、施工効率性アップにつながる。

● 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。

● 希少価値があり高価な材料でも、無垢材より木材量を減らせるため、安価な上に、安定して材料を入手しやすい。

● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。

● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる変色も抑えられる。

● 貼り合わせる基材種類によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。


無垢材の風合いを活かしながらも、コスト面・性能面のメリットをプラスした内装材こそ「突板化粧板」です。

チェリー材のように高価な木材でも、突板化粧板は無垢材よりもコストを抑えられ、施工性やムラのない品質も担保されます。

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チェリー突板化粧板のラインナップ|板目・柾目

バーチ突板化粧板のラインナップ|板目・柾目

恩加島木材では、常時40種以上の樹種から作られた突板を取り揃えており、チェリー材は、板目と柾目の2種類をご用意しています。

では、弊社製品の特徴をご紹介します。

PANESSE(パネッセ)

こちらは、天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップをご用意しています。

産出地を限定した地産材のご注文も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

▶︎「PANESSE」の詳細はこちらから



リブパネル・ルーバー

弊社では、PANESSEと同じ樹種ラインナップで、最近トレンドのリブパネルやルーバーもご用意しています。

リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

ルーバーも同様で、高意匠ルーバーとして多くの現場でご好評いただいています。

基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物へもご採用いただけます。

▶︎「リブパネル・ルーバー」の詳細はこちらから

▶︎「リブパネル」の規格図ダウンロードはこちらから


天然木突板シート

木口や細かい部分、曲部には、突板化粧板と同様に天然木突板を用いた「突板シート」をご採用ください。

こちらも、PANESSEの化粧板と同じ樹種をご用意しています。

特殊複合紙の表面に0.2mm厚さの突板を貼り合わせた総厚0.4mmの化粧シートで、板状の材料では対応しきれない部分の施工におすすめです。

国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材料であるため、内装制限のある施設にもお使いいただけます。

ポイント
世界的に著名な建築家・隈研吾氏の設計による「和歌山県・有和中学校新校舎」をはじめ、様々な建築物へ当社製品が採用されています。
詳しくは、納入実績・施工実績・最新トピックスをご覧ください。





まとめ

チェリー材は、淡い色合いと深みの増す経年変色が魅力の樹種ですが、コスト面などで採用が難しいケースは少なくないでしょう。

そこでおすすめなのが、「突板化粧板」です。

天然木の風合いを表現できる上に、無垢材よりもリーズナブルで、表面に細かいキズがついたり、温度や湿度によって反りや歪みが発生したりするリスクを抑えられます。

「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。


当社では、建築現場の効率性アップと地球環境保全を目的に、以下の取り組みを行っています。