【人気のバーチ木材】特徴や性質・価格・強度について徹底解説

【人気のバーチ木材】特徴や性質・価格・強度について徹底解説

フローリング材としてよく用いられる「バーチ材」ですが、その特徴をあまり知らない方も少なくないはずです。

そこで、今回は「バーチ」の木材としての特徴や、メリット・デメリット、その他、おすすめの内装建材について“木材のプロ”が詳しく解説します。

ウッドインテリアの材料をご検討中の方は、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
● バーチ材は、明るい色味と滑らかな質感が魅力ですが、一方で重いという欠点があります。

● 材料の軽量化や施工性アップ、コストダウンを目指す方には、天然木の魅力を持つ「突板化粧板」がおすすめです。

● 恩加島木材は、国内外から産地にこだわった良質な突板を仕入れ、高品質で多彩な突板製品を製造販売しています。



バーチ材の特徴やメリットは?比重・硬さ・強度・価格

バーチ材の特徴やメリットは?比重・硬さ・強度・価格
バーチ(板目)

「バーチ」とは、カバノキ科に属する落葉広葉樹で、主な原産地は北アメリカとヨーロッパです。

産地によって名称が異なり、北アメリカ産は「イエローバーチ」、ヨーロッパ産は「ヨーロピアンバーチ」と呼ばれています。

ちなみに、産地問わず総称して「カバ材」と呼称されている場合もあります。

日本国内に生育する主なバーチ材は別名「カバザクラ」として知られており、サクラ材の代用として使われるケースも珍しくありません。

最近は、政府による国産材推進に伴う需要拡大によって、北海道産の「メジロカバ」も国内市場に多く流通しています。

では、バーチ材の特徴を紹介します。

性質

適切な含水率に保てば狂いが少なく寸法安定性の高い樹種です。

また、表面へ塗装・接着しやすい点もメリットです。

色味・質感

木目は、全体的に明るめですが、心材は少し赤みを帯びており、樹皮に近い辺材は黄白褐色をしています。

そのため、辺材を切り出した木材はホワイトバーチとも呼ばれます。

肌触りはきめ細かく、触り心地は滑らかです。

比重

気乾比重(※)は「0.69」と比較的重く、ケヤキやホワイトアッシュと同等です。

※気乾比重:木材の自由水が乾燥して含水率が15%程度の状態における比重で、針葉樹は「0.3〜0.5」、広葉樹は「0.5〜0.9」程度が標準

硬さ・強度

縦圧縮強度は56N/m㎡、曲げ強度は114N/m㎡と、木材として加工される樹種の中では中級です。

硬さは、針葉樹よりも硬めですが、広葉樹の中では柔らかめです。

曲げ強度が高いため、曲げ加工しやすい点も重要な特徴と言えるでしょう。

価格

産地が寒い地域に限られることから、輸入材・国産材ともに価格は高めです。

市場の素材価格は200〜300万円/㎥とホワイトオークやメープルと同等で、高価なチーク材の50〜75%程度、安価な杉材の150〜200%程度で取引されています。

用途

見た目が美しく触り心地が滑らかなことから、主な用途は家具や内装材(フローリング材)、楽器の原料などが主な用途です。耐久性も高いため、体育館の床材にも多く採用されています。


ビーチ材との違い

ビーチ材はバーチ材とよく似た名前であることから混同されることもありますが、性質は全く異なります。

ビーチ材はブナ科ブナ属の落葉広葉樹で、ビーチ材よりも少しピンクがかっており、木目が目立たない点が特徴です。

バーチ材
バーチ材
ビーチ材
ビーチ材
ポイント
私たち“恩加島木材”は、1947年に木材工業所として創業して以来培ったネットワークを活かして、良質なバーチ材を国内外から入手し、美しい木目の突板化粧板を製造・販売しています。




バーチ材のデメリットと解決方法

バーチ材のデメリットと解決方法

バーチ材は、明るい木目と滑らかな質感、硬さや強度が魅力ですが、一方で懸念されるデメリットもあります。

  • 表面にキズがつきやすい
  • 塗装メンテナンスが必要
  • 重くて硬いため加工や施工が大変


バーチ材は木材としての強度は高めですが、表面にキズがつきやすいというデメリットがあります。

そのため、表面の保護塗装が欠かせません。

しかし、含水率が変動して変形するリスクがあることから、バーチ無垢材の表面に施せるコーティングは限られます。

また、保護塗装は5〜10年で劣化し始めるため、その後の定期メンテナンスが必要です。

比重が大きいため、無垢材は重く、施工効率があまりよくない点にも要注意です。

ポイント
おすすめなのが、「突板化粧板」です。

表面材に天然木を薄くスライスした突板を用いるため、変形リスクが少なく、軽量化できます。

さらに表面へ摩耗キズ防止に効果的なUV塗装を施せば、擦りキズが防げるため、店舗や学校、その他公共施設へも多く採用されています。


〈おすすめコラム〉
突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは?どれがおすすめ?特性から選び方まで徹底解説
天然木にこだわるなら突板練付化粧板。メラミン化粧板・オレフィン化粧板・プリント化粧板との違いは?




内装材におすすめの“天然木突板化粧合板”

内装材におすすめの“天然木突板化粧合板”

突板化粧板とは、天然木を0.2~0.3mm程度のシート状にスライスした“突板”を合板などに接着した内装建材です。

「突板化粧板」のメリット
● 表面は天然木なので、無垢材と同様にナチュラルな見た目になる。

● 材料の軽量化が実現でき、施工効率性アップにつながる。

● 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。

● 希少価値があり高価な材料でも、無垢材より木材量を減らせるため、安価な上に、安定して材料を入手しやすい。

● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。

● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる材料の変色も抑えられる。

● 貼り合わせる基材種類によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。


無垢材の風合いを活かしながらも、コスト面・性能面のメリットをプラスした内装材こそ「突板化粧板」です。

バーチ材のようにキズが付きやすく重くて硬い樹種においても、長く美しさをキープでき、施工効率性を向上できます。

〈おすすめコラム〉
突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介





バーチ突板化粧板のラインナップ|板目・柾目

バーチ突板化粧板のラインナップ|板目・柾目

恩加島木材では、バーチ材を含めた常時40種以上の樹種を取り揃えています。

そのため、豊富な樹種から設計デザインのイメージに合う木目やカラーをお選びいただける点が、私たちの強みです。

では、弊社製品の特徴をご紹介します。

PANESSE(パネッセ)

こちらは、天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップをご用意しています。

樹種は40種類以上から選定可能で、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。

バーチ材は、「柾目」「板目」「杢目」「集成柄」をご用意しています。

▶︎「PANESSE」の詳細はこちらから

ポイント
恩加島木材では、高品質な木材として知られている「北海道産メジロカバ」を使い、「突板化粧板」へ加工しています。

その他国産材や地域材(地産材)のご指定も承っていますので、お気軽にご相談ください。




リブパネル・ルーバー

リブパネル・ルーバー

弊社では、PANESSEと同じ樹種ラインナップで、最近トレンドのリブパネルやルーバーもご用意しています。

リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

ルーバーも同様で、高意匠ルーバーとして多くの現場でご好評いただいています。

基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物へもご採用いただけます。

▶︎「リブパネル・ルーバー」の詳細はこちらから

▶︎「リブパネル」の規格図ダウンロードはこちらから


天然木突板シート

突板シート

木口や細かい部分、曲部には、突板化粧板と同様に天然木突板を用いた「突板シート」をご採用ください。

こちらも、PANESSEの化粧板と同じ樹種をご用意しています。

特殊複合紙の表面に0.2mm厚さの突板を貼り合わせた総厚0.4mmの化粧シートで、板状の材料では対応しきれない部分の施工におすすめです。

国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材料であるため、内装制限のある施設にもお使いいただけます。

ポイント
世界的に著名な建築家・隈研吾氏の設計による「和歌山県・有和中学校新校舎」をはじめ、様々な建築物へ当社製品が採用されています。
詳しくは、納入実績・施工実績・最新トピックスをご覧ください。



〈おすすめコラム〉
樹種別の特徴や木目のトレンドは?恩加島木材の人気樹種や選び方のポイントを解説
天然木の風合いを生かした“ルーバー”と“リブパネル” 特徴や不燃対応について徹底解説
公共施設・商業施設に欠かせない不燃材料。防火性能や突板練付不燃板について解説



バーチ突板化粧板に関するよくあるQ&A|経年変化やお手入れ方法

バーチ突板化粧板に関するよくあるQ&A|経年変化やお手入れ方法
施工事例:札の辻スクエア

バーチ材は、美しい木目と触り心地から、内装材として人気の高い樹種です。

日頃目につきやすい場所へ施工するからこそ、経年変化やお手入れ方法まで知っておくことが重要です。

では、多くの方からいただく質問を紹介します。


バーチ突板化粧板の経年変化は?

淡い色の木材は、ほとんどの場合、年月が経つにつれて濃色化していきますが、バーチは経年変色が比較的少ない樹種です。

変色は少ないものの、段々と深みが増して落ち着いた印象になる点が人気の理由と言えるでしょう。

そのため、明るい白褐色を長くキープしたい現場におすすめです。



バーチ突板化粧板はどうやってお手入れする?

バーチ突板化粧板は、無塗装の状態では無垢材と同じく水拭きするのには適していません。

日常的な軽い汚れは、硬く絞った布巾で拭き取る程度に留めましょう。

しつこい汚れが付いてしまった場合は、水で薄めた中性洗剤を使うこともできますが、変色する可能性もあるため、まずは目立たないところで試してください。

水気が残らないようにすぐ乾拭きする点がポイントです。

汚れをこまめに拭き取りたいテーブル天板やカウンター材には、ウレタン塗装やUV塗装を施した製品をご選定ください。

紫外線を多く受ける場所は、表面が乾燥しやすいため、定期的にオイル塗装するのもおすすめです。


〈おすすめコラム〉
木目を活かす木材の表面仕上げとは?塗装や加工の種類を紹介
化粧板が剥がれたり傷がついたらどうする?種類別の補修方法やメンテナンス方法を詳しく解説



まとめ|重くて高価なバーチ材は突板化粧板がおすすめ

バーチ材は、明るく爽やかな色味と滑らかな質感が魅力ですが、無垢材はキズがつきやすく重くて施工効率があまりよくない点は否めません。

そこでおすすめなのが、「突板化粧板」です。

天然木の風合いを表現できる上に、表面に細かいキズがついたり、温度や湿度によって反りや歪みが発生したりするリスクを抑えられます。

「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。



恩加島木材の取り組み

SDGs実現につながる“恩加島木材”の突板化粧板製品

私たち“恩加島木材工業”は、1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使い、良質でバラエティに富んだ内装材を作り続けてきました。

突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定。

木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。

当社では、地球環境を守るために、以下の取り組みを行っています。

国産材・地域材の利用

産地を限定した国産材・地域材を積極的に用いて、日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るために取り組んでいます。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
金沢サッカー場内装(石川県産材利用)
鳥取県立美術館(鳥取県産材利用)


〈関連コラム〉

今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説


間伐材の利用

森を豊かにするためには、適切な間伐が必要不可欠です。

弊社では、杉・桧の小径間伐材からスライスされた突板をバランスよく配置して美しい突板化粧板を製造。

森の活性化・林業の利益化向上・廃棄物の削減などの観点から、SDGs実現に向けた取り組みとして間伐材の積極的利用を行っています。

〈関連コラム〉

“間伐材の利用”がSDGsのカギを握る?現状の問題点やメリット・デメリットについて解説


人工突板の開発・製造

原木 ロータリー

「人工突板」と聞くと、どうしても自然由来の素材を連想しにくいかもしれませんが、こちらも天然木材から作られた建材です。

間伐材や短期間で成長する植林樹木などの小径材を活用します。

森林の木々をこまめに伐採・植林するサイクルは、森を健康に保つためにも非常に重要なポイントです。

ポイント
“恩加島木材”は、国内で数少ない人工突板製品の開発・製造を行っている会社です。
サスティナビリティの高い建築物を目指す方は、ぜひ“豊かな森を守る”人工突板のご採用をご検討ください。


〈関連コラム〉

“人工突板”は天然木由来の建材。基礎知識やウッドショックとの関連性について解説


自社工場での自然エネルギー活用

2023年10月より、自社工場へ太陽光発電システム(141kW)および蓄電池を導入し、再生可能エネルギーの創出や脱炭素化への貢献を目指します。



日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。