【針葉樹の建築木材】日本と海外の主な種類とその特徴を写真付きで解説

【針葉樹の建築木材】日本と海外の主な種類とその特徴を“木のプロ”が解説

日本は国土の2/3を森林が占めており、そのうちおよそ40%は人の手によって管理されている人工林です。

実は、人工林のほどんどに植えられているのが「針葉樹」で、製紙用パルプへ木質ペレット、そして建築資材へ加工されています。

しかし、針葉樹の特徴や種類について詳しく知らない方も少なくないはずです。

そこで、今回は「針葉樹」の特徴や広葉樹との違い、日本と海外それぞれに分布している種類を紹介します。

木の魅力を生かした設計デザインを検討中の方は、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
● 針葉樹はソフトウッドとも呼ばれ、広葉樹と比べると柔らかくて軽く、加工しやすい特徴があります。

● 針葉樹は日本の固有種から海外の樹種までレパートリーが豊富で、木目や色味も多種多様です。

● 変形しやすい針葉樹を内装材として使う場合は、寸法安定性・施工効率性の高い「突板化粧板」がおすすめです。

● 恩加島木材は、国内外から産地にこだわった良質な突板を仕入れ、高品質で多彩な突板製品を製造販売しています。



針葉樹の見分け方と特徴|広葉樹との違いは?

針葉樹の見分け方と特徴|広葉樹との違いは?

針葉樹とは、名前の通り細く針のような形をした葉が特徴の木を指します。

杉(スギ)や桧(ヒノキ)のように、まっすぐ空に向かって育つ点も特徴です。

針葉樹とよく比較されるのが、広葉樹ですが、こちらは、平らで丸みを帯びた葉をもつ木を指します。

日本では楢(ナラ)や桜(サクラ)が身近な樹種で、幹が曲がっていて、枝が他方に太く分かれている点が特徴です。

針葉樹と広葉樹とでは、見た目以外にも違いがあります。

【針葉樹】・葉が針のように細長い
・幹が真っ直ぐで枝は細い
・細い仮道管(※1)が整然と密に通っているため、木肌が滑らかで年輪幅が密な上に均等
・空隙率(※2)が高いため、柔らかく軽い(ソフトウッドと呼ばれる)
・反りや伸縮など変形しやすい
・建物の構造材や内装材、製紙パルプ、木質ペレットに加工される
【広葉樹】・葉が平たく大きい
・幹が曲がっていて、枝葉は大きく横に広がる
・太い道管(※3)がランダムに通っているため、木肌は比較的粗く、年輪幅が広くてランダム
・空隙率(※2)が低いため、全体的に硬くて重い(ハードウッドと呼ばれる)
・針葉樹よりも変形しにくい
・建物の内装材や家具の材料、その他木工品の材料として加工される
※一部、上記特徴に当てはまらない樹種もあります。

※1 仮道管:細胞同士を仕切る細胞壁を持つパイプで、仮道管から仮道管へと細胞壁を透過して水分や栄養分を広く行き渡らせることができる。
※2 空隙率(くうげきりつ):細胞における空気を含んだ隙間が占める割合。
※3 道管:細胞壁を持たない筒状のパイプで、上下に水分や栄養分を伝える役割を果たす。

このように、針葉樹と広葉樹は“真逆”と言ってもよいほど特徴が異なります。

そのため、用途によって使い分けることが重要です。

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常緑針葉樹と落葉針葉樹

常緑樹とは、通年を通して緑の葉がついたままの樹種で、落葉樹は秋から冬にかけて葉が落ちて春にはまた新しい葉が生える樹種です。

針葉樹はほどんどが常緑樹に分類され、落葉針葉樹はほとんどありません。

【常緑針葉樹】スギ
ヒノキ
アカマツ
クロマツ
ヒバ
モミ
ツガ 等
【落葉針葉樹】カラマツ
イチョウ
メタセコイア 等



日本に多く生育している針葉樹の名前・用途|固有品種は?

日本に多く生育している針葉樹の名前・用途|固有品種はある?

日本は森林が国土の2/3を占める森林大国ですが、そのおよそ4割が林業を目的とした人工林です。

1,020万ヘクタールもあるとされている人工林のうち、針葉樹の育つ面積は95%ほどとも言われています。

人工林の主要樹種の面積構成比は、スギが44%、ヒノキが25%、カラマツが10%、マツ類(アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ)が8%、トドマツが8%、広葉樹が3%となっている。

(参考:林野庁|森林の適正な整備・保全の推進(1)


針葉樹の成長には、適度な寒さと日射が必要なため、北半球で冬に気温が下がる地域にて多く植林されています。

実際、日本で最も多く育つスギは、沖縄地方を除き、全国に分布しており、特に東北地方が産地として有名です。(参考:林野庁|スギ・ヒノキ林に関するデータ

針葉樹の成長に適した環境である日本には、固有種も含み、以下の樹種が植林されています。

【日本で育つ針葉樹】
スギ
ヒノキ
カラマツ
ヒバ
イチイ
イチョウ(葉は丸いが針葉樹に分類される)
カヤ
コウヤマキ
サワラ
ツガ
モミ


杉(スギ)

すぎ
スギ

あまり知られていませんが、スギは日本の固有種で、最も多く植林されている樹種です。

北海道から九州まで広く分布していますが、特に東北地方・甲信越地方が産地として有名で、秋田杉や吉野杉は銘木として海外へも出荷されています。

最近は、成長が早く良質な木材を生み出すエリートツリーの開発も進められている点もポイントです。

※詳しくは「林業・森林資源を守る“エリートツリー”。基礎知識からメリット・デメリットについて解説」をご覧ください。

スギ材は柔らかくて軽いため、加工性が高い点がメリットです。

そのため、建築資材(構造材・内装材)や、樽・桶・箱の材料として活用されています。

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桧(ヒノキ)

桧
ヒノキ

ヒノキもスギ同様に日本固有の針葉樹で、分布エリアは福島県以南の本州や、四国、九州です。

木目や色合いはスギとよく似ていますが、強度や見た目においてヒノキの方が良質とされており、吉野桧や木曽桧をはじめとしたブランド樹種は、高値で取引されています。

主に、建築資材(構造材・内装材)や家具の材料として活用されています。

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唐松(カラマツ)

カラマツ

日本で育つ数少ないの落葉針葉樹として知られているカラマツも、日本固有の樹種で、有名な産地は北海道・青森県・長野県です。

強度があるものの、木割れしやすいという特徴から、昔は使い道のない木とされていました。

しかし近年は、乾燥技術・製材技術が進歩したこともあって、合板や集成材、LVLの材料や、内装材などへ活用されています。

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ヒバ

ヒバは日本固有の常緑針葉樹で、ヒノキ科に属している樹種です。

北海道から栃木県までが主な分布エリアで、国産ヒバの80%以上が青森県に生育し、青森ヒバは銘木として知られています。

耐久性が高いため、主に建築資材(構造材・内装材)や建具の材料、その他、輪島塗りの素地としても活用されています。

ヒノキと木目の雰囲気が似ていて安価なことから、ヒノキの代替えとして利用されることも珍しくありません。

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海外に多く生育している針葉樹の名前・用途

海外に多く生育している針葉樹の名前・用途

日本には固有種である針葉樹が多く生育していますが、北米やロシア、中国、欧州なども、針葉樹の分布エリアです。

【海外で育つ針葉樹】
イエローパイン
ベイマツ
アカマツ(レッドウッド)
ベイスギ
ベイツガ
アガチス
カリビアマツ
スプルース
ベイヒ
ベイヒバ
ベイモミ
メタセコイア

特に、イエローパイン・ベイマツ・アカマツは日本へも多く輸入されています。

イエローパイン

イエローパイン

北米が主な産地であるイエローパインは、黄色味がかった淡褐色で、木目がはっきりしている点が特徴です。

柔らかくて軽く加工しやすい反面、反りなど変形しやすい特徴を持つため、主に内装材や家具・建具の材料として活用されています。

和風建築・洋風建築どちらにも合うため、幅広い建物の内装材におすすめです。


米松(ベイマツ)

ベイマツ

ベイマツは北米西部が主な分布エリアで、強度が高く加工性が良いため、建築資材(構造材・合板・集成材・内装材)の材料として使われるのが一般的です。

“マツ”という名前ですが、日本の松とは同族ではなく、トガサワラ属に分類されます。

木目が真っ直ぐな点も特徴です。


赤松(アカマツ)

アカマツは日本でも岩手県を中心に分布していますが、ロシアや欧州産が有名です。

赤みがかった色味から、レッドウッドとも呼ばれています。

ヤニが出やすく木肌が粗いため、主に建築用構造材に活用されていますが、研磨によって艶感のある風合いになるため、近年では内装材や家具・建具の材料としても使われ始めています。

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針葉樹の内装材は“突板化粧板”がおすすめ

突板のメリット・デメリット

針葉樹はソフトウッドとも呼ばれ、柔らかい点が特徴です。

また、反りや伸縮などの変形リスクも避けられません。

そのため、針葉樹の無垢材を内装材として使うと、隙間などが空いたり、すぐに擦り傷がついて目立ったりする可能性は否めません。

そこでおすすめなのが、「突板化粧板」です。

突板化粧板とは、天然木を0.2~0.3mm程度のシート状にスライスした“突板”を合板などに接着した内装建材です。

「突板化粧板」のメリット
● 表面は天然木なので、無垢材と同様にナチュラルな見た目になる。

● 材料の軽量化が実現でき、施工効率性アップにつながる。

● 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。

● 高価な樹種や希少な樹種でも、無垢材より木材量を減らせるため、コストを抑えられ、価格変動のリスクも低い。

● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。

● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる材料の変色も抑えられる。

● 貼り合わせる基材種類によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。


無垢材の風合いを活かしながらも、コスト面・性能面のメリットをプラスした内装材こそ「突板化粧板」なのです。

恩加島木材では、国内外から良質な突板を仕入れ、長年培った職人技と最先端技術を用いて、突板化粧板を製造しています。


PANESSE(パネッセ)

こちらは、天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを取り揃えております。

樹種は40種類以上からお選びいただけて、さらに、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。

▶︎「PANESSE」の詳細はこちらから


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KDパネル

KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、当社が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。

0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板。

天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。

▶︎「KDパネル」の詳細はこちらから


天然木突板シート

突板シート

木口や細かい部分、曲部には、突板化粧板と同様に天然木突板を用いた「突板シート」をご採用ください。

特殊複合紙の表面に0.2mm厚さの突板を貼り合わせた総厚0.4mmの化粧シートで、板状の材料では対応しきれない部分の施工におすすめです。

もちろん、化粧板と同じ突板を用いているため、インテリアのトータルコーディネイトにも適しています。

国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材料であるため、内装制限のある施設にもお使いいただけます。

リブパネル・ルーバー

リブパネル・ルーバー

最近トレンドのリブパネルやルーバーも、PANESSEの化粧板と同じ樹種で製造しております。

リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

ルーバーも同様で、高意匠ルーバーとして多くの現場でご好評いただいています。

基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物へもご採用いただけますので、ぜひご検討ください。

▶︎「リブパネル・ルーバー」の詳細はこちらから

▶︎「リブパネル」の規格図ダウンロードはこちらから


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ポイント
世界的に著名な建築家・隈研吾氏の設計による「和歌山県・有和中学校新校舎」をはじめ、様々な建築物へ当社製品が採用されています。
詳しくは、納入実績・施工実績・最新トピックスをご覧ください。




まとめ

恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

針葉樹は柔らかく軽くて加工性が高い点が強みです。

そのため、様々な建築資材へ加工されています。

ただし、樹種によって木目や風合いが異なります。

また、変形しやすいため、無垢材を使う場合は要注意です。

恩加島木材は、無垢材よりも寸法安定性・施工性の高い「突板化粧板」を製造販売しています。

産地を国内・海外に限定せず、様々な樹種の突板を仕入れ、最先端技術と熟練した職人技を使って、高品質な突板化粧板を製造販売しております。

製品は、化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっていますので、「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。

木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。



“恩加島木材”の取り組み

SDGs実現につながる“恩加島木材”の突板化粧板製品

私たち“恩加島木材工業”は、1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使い、良質でバラエティに富んだ内装材を作り続けてきました。

突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しています。

恩加島木材が高品質な突板製品を作り出すことと同じくらい積極的に行っているのが、地球環境を守るための「4つの取り組み」です。

国産材・地域材の利用

産地を限定した国産材・地域材を積極的に用いて、日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るために取り組んでいます。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
金沢サッカー場内装(石川県産材利用)
鳥取県立美術館(鳥取県産材利用)



間伐材の利用

森を豊かにするためには、適切な間伐が必要不可欠です。

弊社では、杉・桧の小径間伐材からスライスされた突板をバランスよく配置して美しい突板化粧板を製造。

森の活性化・林業の利益化向上・廃棄物の削減などの観点から、SDGs実現に向けた取り組みとして間伐材の積極的利用を行っています。

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人工突板の開発・製造

原木 ロータリー

「人工突板」と聞くと、どうしても自然由来の素材を連想しにくいかもしれませんが、こちらも天然木材から作られた建材です。

間伐材や短期間で成長する植林樹木などの小径材を活用します。

森林の木々をこまめに伐採・植林するサイクルは、森を健康に保つためにも非常に重要なポイントです。

ポイント
“恩加島木材”は、国内で数少ない人工突板製品の開発・製造を行っている会社です。
サスティナビリティの高い建築物を目指す方は、ぜひ“豊かな森を守る”人工突板のご採用をご検討ください。


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自社工場での自然エネルギー活用

2023年10月より、自社工場へ太陽光発電システム(141kW)および蓄電池を導入し、再生可能エネルギーの創出や脱炭素化への貢献を目指します。