【日本における木材の輸入状況】種類や割合をグラフと表で解説

【日本における木材の輸入状況】種類や割合をグラフで解説

日本は国土の2/3を森林が占めていますが、実は木材の多くを輸入材に依存しています。

最近は政府や企業の取り組みによって、国産材利用が進んでいるものの、建築業界に至っては半分以上が海外で生育・加工される木材を使っているのです。

しかし、この現状はあまり知られていません。

そこで、今回は「輸入木材」の現状について、数量や種類などを詳しく解説します。

これまでの木材自給率推移や、これから重要視すべき取り組みも紹介しますので、「エコな建築を建てたい」「ずっと愛され続けられるサスティナブルな建物を目指したい」という方は、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
● 日本の木材自給率は徐々に上昇しているものの、未だ多くの木材を輸入しているのが現状です。

● 日本の木材自給率を上げて環境面・経済面のメリットを得るためには、輸入材から国産材へ移行する方法が有効です。

● 恩加島木材は、国内外から産地にこだわった良質な突板を仕入れ、高品質で多彩な突板製品を製造販売しています。



【2024年最新版】日本で使われる木材はどこから輸入される?割合と種類

日本で使われる木材はどこから輸入される?割合と種類

日本では、毎年何百万㎥もの木材を海外から輸入しています。

加工された木材から丸太などの原木まで、品目は様々です。

2024年1月〜2月のたった2ヶ月間で、以下の木材が輸入されました。

(輸入品目)(輸入量)
丸太26.5万㎥
(前年比−27%)
製材56.7万㎥
(前年比+10%)
合板26.6万㎥
(前年比+15%)
集成材10.6万㎥
(前年比−3%)
木質ペレット100.2万㎥
(前年比+14%)

(参考:林野庁|木材輸入の状況について(2024年2月実績)
品目別木材輸入量の推移(2022~2024年における1月~2月累計)
(引用:林野庁|木材輸入の状況について(2024年2月実績)


これだけ見ると、木材の輸入量は2023年から増えているように見えますが、実際の木材輸入累計は2023年同時期と比べて「−3%」と微減しています。

日本が木材を多く輸入する相手国ランキングと主な品目

多くの木材を海外から輸入している日本ですが、輸入相手国の数はそれほど多くありません。

ではここで、2023年の木材輸入相手国ランキングを紹介します。

(国名・地域名)(輸入量)(主な品目)
第1位
ベトナム
38.3万㎥
(輸入額12%相当)
・木材チップ
・木質ペレット
・熱帯木材合板
第2位
中国
30.2万㎥
(輸入額12%相当)
・合板
・集成材
・木工品
・LVL
・食卓・台所用品
第3位
アメリカ
21.5万㎥
(輸入額8%相当)
・広葉樹丸太
・広葉樹製材
・木材チップ
・針葉樹合板
・SPF製材
第4位
インドネシア
21.4万㎥
(輸入額9%相当)
・広葉樹丸太
・広葉樹製材
・熱帯木材合板
・広葉樹合板
第5位
EU
(フィンランドなど)
21.3万㎥
(輸入額18%相当)
・広葉樹・針葉樹製材
・OSB・パーティクルボード・SPF製材
第6位
フィリピン
20.4万㎥
(輸入額8%相当)
・建築用木工品
第7位
カナダ
16.6万㎥
(輸入額10%相当)
・針葉樹合板
・OSB・パーティクルボード・SPF製材
第8位
マレーシア
13.9万㎥
(輸入額6%相当)
・熱帯木材合板
・広葉樹合板
・パーティクルボード
・木材チップ
第9位
オーストラリア
9万㎥
(輸入額3%相当)
・丸太
・パーティクルボード

(参考:林野庁|木材貿易の現状

上の表を見ても分かる通り、取引国によって輸入品目は異なります。

輸入量上位国の取り扱う品目は、合板や集成材、その他木工品などの加工品が多く、丸太や製材は、国産材では量を確保しにくい広葉樹が中心です。

ポイント
日本の人工林に生息する樹木は、およそ70%が「杉・ヒノキ」です。

それ以外の人工林も、カラマツなどの針葉樹がほとんどで、木材などに加工される広葉樹の育つ森林面積は、全体のたった3%程度と言われています。

そのため、広葉樹の丸太や製材は、輸入材に頼らざるを得ないのが現状なのです。

(参考:林野庁|森林の適正な整備・保全の推進(1)

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日本における木材輸入自由化以降の「木材自給率」変遷

日本における木材輸入自由化以降の「木材自給率」変遷

林野庁が公表している最新の木材自給率は、「40.7%(2022年)」、建築用材に限定すると「49.5%」です。

木材自給率の変遷
(引用:林野庁|木材供給量及び木材自給率の推移

上のグラフを見ると、1955年の木材自給率はほぼ100%であったのに対して、1960(昭和35)年頃から、一気に下降していることが分かります。

これは、1960(昭和35)年に制定された「木材輸入の自由化」が大きく関係します。

木材の輸入が正式に開始されたことで、1970(昭和45)年頃には木材自給率が50%を下回り、輸入材依存の時代が始まりました。

1945〜1973年頃

【木材需要拡大期】

戦後復興や高度成長期に伴う建設ラッシュによって、木材利用量が一気に増加しました。

1965(昭和40)年には、戸建住宅の木造率が95%程度まで上昇し、1973(昭和48)年以降は、新築住宅着工戸数が過去最高の191万戸にまで達したのです。

ところが、国内の森林資源は、1930年代に軍需物資として、終戦後は復興資材として大量に伐採され、その後植林された木々も、まだ伐採できる時期ではありませんでした。

そのため、国産材の供給不足を補うために、輸入材の占める割合が増えていきました。

1973年頃~1996年頃

【木材需要停滞期】

この頃になると、戦後復興が落ち着き、徐々に新築住宅着工戸数が減少し始めました。

それに伴い、製材用材の需要も、1973(昭和48)(1973)年の6,747万㎥からピークアウトし、1996(平成8)年には、4,976万㎥まで減少したのです。

それによって、林業・製材業もこれまでと比べると経済規模が縮小されました。

1996年頃以降

【木材需要減少期】

1991(平成3)年にバブルが崩壊しましたが、その後1993(平成5)年頃までは、公共建築投資が継続されたこともあり、一定数の木材需要が見込まれました。

ところが、1997(平成7)年以降は、新築住宅着工戸数が減り始め、製材用材の需要も2009(平成21)年に2,351万㎥(ピーク時の約35%)まで減少しました。

その後も、新築住宅着工戸数は減少し続け、2009(平成21)年のリーマンショックなど、度重なる経済危機により、その傾向は現在まで続いています。

2010年以降

【国産材利用促進期】=【輸入木材からの脱却】

新築住宅着工戸数が減少し続けている中、それでも輸入材に依存している状況を打破すべく、2010(平成22)年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が制定されました。

この法律の趣旨は、地球温暖化対策や国内経済成長策を達成するための「国産材利用促進」です。

その後、法の対象を公共建築物から民間建築物まで拡大した「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(通称:都市の木造化推進法)」へ変更されました。

この流れによって、現在に至るまで、官民の国産材利用に向けた動きが一層加速し続けています。

(引用:林野庁|木材需給の変遷と木材産業の対応


ポイント
政府の取り組みが身を結び、ここ数年は多少上下しているものの、木材自給率は上昇傾向にあります。

ゼネコンによる大型プロジェクトはもちろん、その他の中小規模建築物においても、国産材やさらに産地を限定した地産材を利用する事例が増えており、「国産材利用」は今注目のトピックスと言っても過言ではありません。



海外諸国の木材自給率

木材自給率が徐々に上昇している日本ですが、諸外国と比べると、まだまだ十分とは言えません。

ここで、主な木材産出国の木材自給率と自国森林率を見てみましょう。

(国名)(木材自給率)(自国森林率)
マレーシア341%53.7%
カナダ303%35%
ロシア189%47.2%
スウェーデン139%68.7%
フィンランド126%73.3%
オーストラリア94%17%
アメリカ86%33%
中国69%24%
日本40.7%66%
(参考:農林水産省|木材需給表Food and Agriculture Organization of the United Nationsの資料一般財団法人国土技術研究センター|国土を知る / 意外と知らない日本の国土


上記表からも分かる通り、日本は森林率がマレーシアやカナダ、ロシアを上回っているにもかかわらず、木材自給率は50%にも達していません。

国土が狭い割に人口が過密しているため、国内における木材の需要と供給が合っていないことも一因ですが、そのほかにも、林業や製材業の人手不足や国産材の魅力が広まっていないことも、木材自給率が急上昇しない要因と言えるでしょう。

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輸入材から国産材へ移行するメリット

輸入材依存から国産材利用へ移行するメリット

これまで、建築業界において輸入木材を使うことは“当たり前”とされてきました。

ところが、2021年に起こった第三次ウッドショックによって、木材価格が急騰し、納期遅延などのトラブルが多発し、建築現場へ大きな混乱をもたらしたことは記憶に新しいでしょう。

そこで今進められているのが、「輸入材から国産材への移行」です。

国産材利用には、以下のメリットがあります。

  • 輸入材と比べて、運輸に使うエネルギー量が少なく、CO2など地球温暖化効果ガスの排出量も大幅に減らせる
  • 日本は季節によって大きな気温変動があるため、国産材は年輪がはっきりしていて美しく、強度も高い
  • 国をまたぐ運搬がないため、強い防腐・防虫処理をする必要がなく、手に触れる部分へ施工しても安心
  • 日本の気候(温度・湿度)に馴染んでいるため、施工後の変形リスクが輸入材よりも少ない
  • 林業・製材業が稼働することで、地方経済、ひいては日本経済の発展が期待できる
  • 定期的に木々を伐採・植林し続けることで、森林が活性化して土壌が強固になり、地滑りや土石流などの自然災害を防げる
  • 木々の落ち葉が土壌の栄養価を高め、微生物が活性化すると、地下水の水質浄化などにつながる
  • 国内や同じ地域で育った樹木を資材として使うと、地元の人から愛着を持たれる建築物となる


このように、建築へ国産材を積極的に取り入れることで、環境面・経済面などにおけるメリットを得られます。

また、国や自治体では国産材や地産材を取り入れる建築プロジェクトに対して、助成金や補助金を支給している点も重要なポイントです。

企業のSDGsや環境問題解決へ向けた取り組みをアピールするために、木材の産地にまでこだわるケースも珍しくありません。

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国産材利用は“恩加島木材”にお任せを

SDGs実現につながる“恩加島木材”の突板化粧板製品

私たち“恩加島木材工業”は、1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使い、良質でバラエティに富んだ内装材を作り続けてきました。

突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しています。

恩加島木材が高品質な突板製品を作り出すことと同じくらい積極的に行っているのが、地球環境を守るための「4つの取り組み」です。

国産材・地域材の利用

産地を限定した国産材・地域材を積極的に用いて、日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るために取り組んでいます。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
金沢サッカー場内装(石川県産材利用)
鳥取県立美術館(鳥取県産材利用)



間伐材の利用

森を豊かにするためには、適切な間伐が必要不可欠です。

弊社では、杉・桧の小径間伐材からスライスされた突板をバランスよく配置して美しい突板化粧板を製造。

森の活性化・林業の利益化向上・廃棄物の削減などの観点から、SDGs実現に向けた取り組みとして間伐材の積極的利用を行っています。

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人工突板の開発・製造

原木 ロータリー

「人工突板」と聞くと、どうしても自然由来の素材を連想しにくいかもしれませんが、こちらも天然木材から作られた建材です。

間伐材や短期間で成長する植林樹木などの小径材を活用します。

森林の木々をこまめに伐採・植林するサイクルは、森を健康に保つためにも非常に重要なポイントです。

ポイント
“恩加島木材”は、国内で数少ない人工突板製品の開発・製造を行っている会社です。
サスティナビリティの高い建築物を目指す方は、ぜひ“豊かな森を守る”人工突板のご採用をご検討ください。


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自社工場での自然エネルギー活用

2023年10月より、自社工場へ太陽光発電システム(141kW)および蓄電池を導入し、再生可能エネルギーの創出や脱炭素化への貢献を目指します。


恩加島木材の“天然木突板化粧板”

突板のメリット・デメリット

突板化粧板とは、天然木を0.2~0.3mm程度のシート状にスライスした“突板”を合板などに接着した内装建材です。

「突板化粧板」のメリット
● 表面は天然木なので、無垢材と同様にナチュラルな見た目になる。

● 材料の軽量化が実現でき、施工効率性アップにつながる。

● 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。

● 高価な樹種や希少な樹種でも、無垢材より木材量を減らせるため、コストを抑えられ、価格変動のリスクも低い。

● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。

● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる材料の変色も抑えられる。

● 貼り合わせる基材種類によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。


無垢材の風合いを活かしながらも、コスト面・性能面のメリットをプラスした内装材こそ「突板化粧板」なのです。


PANESSE(パネッセ)

こちらは、天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを取り揃えています。

樹種は40種類以上からお選びいただけて、さらに、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。

▶︎「PANESSE」の詳細はこちらから


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KDパネル

K6101PU

KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、当社が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。

0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板。

天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。

▶︎「KDパネル」の詳細はこちらから


天然木突板シート

突板シート

木口や細かい部分、曲部には、突板化粧板と同様に天然木突板を用いた「突板シート」をご採用ください。

特殊複合紙の表面に0.2mm厚さの突板を貼り合わせた総厚0.4mmの化粧シートで、板状の材料では対応しきれない部分の施工におすすめです。

もちろん、化粧板と同じ突板を用いているため、インテリアのトータルコーディネイトにも適しています。

国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材料であるため、内装制限のある施設にもお使いいただけます。

リブパネル・ルーバー

リブパネル・ルーバー

最近トレンドのリブパネルやルーバーも、PANESSEの化粧板と同じ樹種で製造しております。

リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

ルーバーも同様で、高意匠ルーバーとして多くの現場でご好評いただいています。

基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物へもご採用いただけますので、ぜひご検討ください。

▶︎「リブパネル・ルーバー」の詳細はこちらから

▶︎「リブパネル」の規格図ダウンロードはこちらから


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ポイント
世界的に著名な建築家・隈研吾氏の設計による「和歌山県・有和中学校新校舎」をはじめ、様々な建築物へ当社製品が採用されています。
詳しくは、納入実績・施工実績・最新トピックスをご覧ください。




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まとめ|ずっと愛され続ける建築プロジェクトには国産材利用がおすすめ

恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

日本の木材自給率は徐々に上昇しているものの、まだまだ多くの木材を輸入材に頼っています。

しかし、世界情勢によって価格や納期が大きく変動するリスクは避けられません。

また、遠距離の運輸によって、多くのエネルギーを消費してしまいます。

そこで近年、官民で協力して取り組んでいるのが「国産材利用の促進」です。

今まで輸入材を使っていたほんの一部を国産材へ移行するだけで、環境面や経済面におけるメリットを得られる可能性があります。

また、SDGsの観点からも注目されているため、その建築物の価値を高める上でも、効果的と言えるでしょう。

恩加島木材は、国内各地から良質な突板を仕入れ、最先端技術と熟練した職人技を使って、高品質な突板化粧板を製造販売しております。

製品は、化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっていますので、「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。

木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。