メープル(メイプル)材の特徴や種類から色味・経年変化について詳しく解説
日本では紅葉を楽しむ木として知られているメープル(カエデ)ですが、北米産木材を中心に、内装材や家具の材料として多くの事例へ採用されています。
しかし、種類や色、経年変化などの特徴は、それほど広く知られていません。
そこで、今回は「メープル(メイプル)」の木材としての特徴や、メリット・デメリット、その他、おすすめの内装建材について“木材のプロ”が詳しく解説します。
ウッドインテリアの材料をご検討中の方は、是非参考にしてください。
●「メープル(メイプル)材」は、比重が大きく硬くて重いため、部位によっては施工性が落ちる可能性があります。
● 重くて硬い樹種や高価な樹種を採用する場合は、天然木の風合いを残しつつも軽量化・コストダウンを実現できる「突板化粧板」がおすすめです。
● 恩加島木材は、産地にこだわった良質な突板を用いて、高品質で多彩な突板製品を製造販売しています。
Contents
メープルの木材としての特徴|色・硬さ・経年変化・価格
「メープル(メイプル)」とは、カエデ科の広葉樹全般を指す総称です。
主な産地はアメリカ北部やカナダで、特にアメリカ産メープル材は日本へ大量に輸入されています。
(メープル材の種類) | (2022年・年間輸入量) |
---|---|
丸太 | 1,393㎥ |
製材 | 4,874㎥ |
では、メープル材の特徴を詳しく紹介します。
種類・用途
メープル材は広葉樹に分類され、高い強度と耐久性を持ちます。
なぜなら、針葉樹と比べると、細胞内の空隙率(くうげきりつ:空気の隙間が占める割合)が低く、密度が高いためです。
密度が高いということは、重量があり、さらに温度や湿度の変化による変形リスクが低いことも意味します。
メープル材は、樹種によってさらに「ハードメープル」と「ソフトメープル」に分けられる点もポイントです。
ハードメープルはメープル材の中でも硬い樹種、ソフトメープルは柔らかい樹種を指します。
ソフトメープル | レッドメープル ボックスエルダー ビッグリーフメープル 等 |
ハードメープル | シュガーメープル ブラックメープル ロックメープル シルバーメープル 等 |
ただし、ハードメープルは乾燥しにくいため、伐採してから十分な強度になるまでに時間がかかります。
硬さ・重量
メープル材は針葉樹と比べると密度が高いため、硬く重い点が特徴です。
このことから、表面にキズが付きにくいことから、床材や家具の材料、その他壁材などへも多く採用されています。
(樹種) | (空乾比重) |
---|---|
ソフトメープル | 0.53〜0.61 ※樹種により異なる |
ハードメープル | 0.71 |
ブラックウォルナット (広葉樹) |
0.63 |
チーク (広葉樹) |
0.63 |
スギ (針葉樹) |
0.38 |
上記表からも分かる通り、ソフトメープルでも針葉樹より高い耐久性を持ち、ハードメープルに至っては、広葉樹の中でも硬い部類に入ります。
ただし、比重が大きいほど重くなるため、大きな無垢材カウンター材などを施工する場合は、施工効率性が懸念される可能性もあるため、注意しましょう。
用途
ソフトメープルとハードメープルでは、比重(硬さ・重さ)が異なるため、用途にも違いがあります。
ソフトメープル | 家具材 箱の材料 壁材 天井材 楽器用材 等 |
ハードメープル | 製材品 単板 床板 家具材 等 |
耐傷性・耐摩耗性が特に求められる場所へハードメープル材が採用されます。
逆に、キズが付きにくい壁材や天井材には、メープル材の中でも比重が少なく軽量なソフトメープル材が用いられます。
色・木目
色味もソフトメープルとハードメープルでは少々違いがあります。
ソフトメープル | ・心材と辺材の境が曖昧 ・心材は淡い褐色で、灰色・銀白色がかっているものもある ・辺材は心材よりも褐色が強いが、他の樹種と比べるとそれでも白っぽい ・木目は基本的に真っ直ぐだが、生育環境によっては曲がる場合もある |
ハードメープル | ・心材と辺材の境が曖昧 ・ソフトフッドよりも全体的に赤みがかっているが、他の樹種と比べると白っぽい ・木目は基本的に真っ直ぐで均等だが、生育環境によっては曲がったり不規則になる場合もある ・樹種によっては、独特な杢目(カーリー杢・縮杢)が現れ、高値で取引されている |
メープルは全体的に淡い色の樹種が多く、明るいウッドインテリアと相性が良い点が特徴です。
経年変化
メープル材は、木材の中でも経年変化が現れやすい樹種です。
多く含まれるカテキンが紫外線によって酸化してタンニンへと変質するため、白っぽい色から飴色へと変色していきます。
また、メープル材は油分を多く含むため、使い込んでいくうちに艶感が増し、触り心地が滑らかになる点も特徴です。
ただし、日光が当たりやすい場所と家具の下など紫外線を受けない場所とでは色違いが起こりやすい点には注意しましょう。
価格
メープル材はほぼ100%輸入材であり、人気の高い樹種であるため、価格は高めです。
製材の種類によっては、国産杉材の1.5〜2倍程度になる場合もあります。
ただし、その他の輸入広葉樹(ホワイトオーク・ブラックチェリー・タモ・ウォルナット・チーク等)よりはリーズナブルな点も事実です。
そのため、高強度な点を踏まえると、コストパフォーマンスの高い樹種と言えるでしょう。
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メープル材の用途や採用する際の注意点
メープル材のデメリットとしてよく挙げられるのが、冬に触ると冷たく感じる点です。
そのため、無垢フローリング材を採用する場合は注意しましょう。
そして、重く硬い点がデメリットになるケースもあります。
例えば、メープルの無垢材を天井や壁の板張り材や大きなテーブルの天板に採用すると、材料の搬入や施工の際に扱いづらくなる可能性も想定できるでしょう。
重さを少しでも軽くするためにソフトメープルの無垢材を採用しても、摩擦によって表面に細かいキズがつくことは避けられません。
不特定多数が出入りする公共施設では、使用方法やメンテナンスの管理が難しいため注意しましょう。
自然な色味と木目を生かしながらも、施工性アップやコストダウンを実現できます。
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メープル材のデメリットを解決するのが「天然木突板化粧板」
耐久性が高く明るく美しい木目を持つメープル材は、木材の中でも人気の高い樹種です。
ただし、高密度であるが故に、重くて硬いため、細かい加工が難しい点は否めません。
また、無垢材は高価で、輸入材であることから世界情勢によって価格が変動しやすい点にも注意する必要があるでしょう。
そこでおすすめなのが、「天然木突板化粧板」です。
突板化粧板とは、天然木を0.2~0.3mm程度のシート状にスライスした“突板”を合板などに接着した内装建材です。
● 材料の軽量化が実現でき、施工効率性アップにつながる。
● 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。
● メープル材のように比較的高価な輸入材でも、無垢材より木材量を減らせるため、コストを抑えられ、価格変動のリスクも低い。
● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。
● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる材料の変色も抑えられる。
● 貼り合わせる基材種類によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。
無垢材の風合いを活かしながらも、コスト面・性能面のメリットをプラスした内装材こそ「突板化粧板」なのです。
木口・細かい部分・曲面などにはメープル材の「天然木突板シート」を
木口や細かい部分、曲部には、突板化粧板と同様に天然木突板を用いた「突板シート」をご採用ください。
特殊複合紙の表面に0.2mm厚さの突板を貼り合わせた総厚0.4mmの化粧シートで、板状の材料では対応しきれない部分の施工におすすめです。
もちろん、化粧板と同じ突板を用いているため、インテリアのトータルコーディネイトにも適しています。
国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材料であるため、内装制限のある施設にもお使いいただけます。
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メープル突板化粧板のラインナップ|板目・杢目
恩加島木材では、高品質なだけではなく、様々な建物や納まり、デザインを実現できる多彩な商品を取り揃えています。
メープル材を含めた常時40種以上の樹種を取り揃え、さらにそれぞれ複数の木目模様をご用意していますので、設計デザインのイメージに合わせてお選びください。
では、弊社製品の特徴と合わせて、メープル材の木目ラインナップをご紹介します。
PANESSE(パネッセ)
こちらは、天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップをご用意しています。
樹種は40種類以上からお選びいただけて、さらに、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。
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KDパネル
KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、当社が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。
0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板。
天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。
メープル材(カーリー杢)を用いたKDパネルは、以下の2種類です。
リブパネル・ルーバー
最近トレンドのリブパネルやルーバーも、PANESSEの化粧板と同じ樹種で製造しております。
リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。
ルーバーも同様で、高意匠ルーバーとして多くの現場でご好評いただいています。
基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物へもご採用いただけますので、ぜひご検討ください。
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詳しくは、納入実績・施工実績・最新トピックスをご覧ください。
メープル突板化粧板に関するよくあるQ&A|厚さ・お手入れ方法
メープル材は耐久性・意匠性が高く、内装材として人気の高い樹種です。
ただし、材料の種類や施工後の取り扱い方を知らずに採用すると、後で思わぬトラブルに発展しかねません。
ここでは、多くの方からいただく質問を紹介します。
メープル材の突板化粧板厚さはどのくらい?
恩加島木材のメープル突板化粧板は、基材の種類によって厚さが異なります。
(基材の種類) | (厚さ) |
---|---|
不燃材 | 6/9/12/15/18/21/24 mm |
難燃材 | 15 mm |
MDF | 2.5/4/5.5/6/7/9/12/15/18/21/24/30 mm |
合板 | 2.5/4/5.5/6/9/12/15/18/21/24/30 mm |
シート材 | 0.4〜1.2 mm |
現場の納まりや仕様に合わせて、適切なものをお選びください。
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メープル突板化粧板の経年変化を抑える方法はある?
メープル材は突板化粧板に加工しても、無垢材同様に経年による変色は避けられません。
そのため、部位ごとに色が変わることを懸念される方も多いでしょう。
恩加島木材では、化粧板への「日焼け防止塗装」も自社工場にて承っています。
「ザ・ファインタワー大手前」では、実際に日焼け防止塗装を施した材料をご採用いただきました。
※日焼け防止塗装は、日焼けによる変色を100%防ぐものではなく、色ムラを目立たなくさせることが目的です。また、自社製品であるPANESSE(パネッセ)のみ対応可能です。あらかじめご了承ください。
その他、表面の耐摩耗性をアップさせるUV塗装も、自社工場で自社スタッフにより責任もって施工しておりますので、特殊加工についてもお気軽にご相談ください。
メープル突板化粧板はどうやってお手入れするの?
メープル突板化粧板は、無塗装の状態では無垢材同様に水拭きはおすすめできません。
日常的な軽い汚れは、硬く絞った布巾で拭き取る方法がおすすめです。
しつこい汚れが付いてしまった場合は、水で薄めた中性洗剤を使うこともできますが、変色する可能性もあるため、まずは目立たないところで試してみましょう。
また、濡れたコップを置くと、水ジミが付く可能性もあるので注意してください。
お手入れする点で重要なポイントは、ずばり水気が残らないようにすぐ乾拭きする点です。
土足歩行のフローリング材や直射日光が当たり乾燥しやすい部分は、定期的にオイル塗装すると長持ちします。
耐汚性・耐摩耗性を高めたい箇所には、ウレタン塗装やUV塗装がおすすめです。
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恩加島木材の取り組み
私たち“恩加島木材工業”は、1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使い、良質でバラエティに富んだ内装材を作り続けてきました。
突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しています。
木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。
内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせません。
当社では、地球環境を守るために、以下の取り組みを行っています。
国産材・地域材の利用
産地を限定した国産材・地域材を積極的に用いて、日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るために取り組んでいます。
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
金沢サッカー場内装(石川県産材利用)
鳥取県立美術館(鳥取県産材利用)
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間伐材の利用
森を豊かにするためには、適切な間伐が必要不可欠です。
弊社では、杉・桧の小径間伐材からスライスされた突板をバランスよく配置して美しい突板化粧板を製造。
森の活性化・林業の利益化向上・廃棄物の削減などの観点から、SDGs実現に向けた取り組みとして間伐材の積極的利用を行っています。
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人工突板の開発・製造
「人工突板」と聞くと、どうしても自然由来の素材を連想しにくいかもしれませんが、こちらも天然木材から作られた建材です。
間伐材や短期間で成長する植林樹木などの小径材を活用します。
森林の木々をこまめに伐採・植林するサイクルは、森を健康に保つためにも非常に重要なポイントです。
サスティナビリティの高い建築物を目指す方は、ぜひ“豊かな森を守る”人工突板のご採用をご検討ください。
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自社工場での自然エネルギー活用
2023年10月より、自社工場へ太陽光発電システム(141kW)および蓄電池を導入し、再生可能エネルギーの創出や脱炭素化への貢献を目指します。
まとめ|重くて硬いメープル材は突板化粧板がおすすめ
メープル材は、その耐久性と明るい色味が人気の樹種ですが、国産材はほとんどなく、大半が輸入材であることから、価格は高めです。
また、比重が大きく重くて硬い点は、メリットである反面、施工性においてはデメリットになる場合もあります。
そこでおすすめなのが、「突板化粧板」です。
天然木の風合いを表現できる上に、材料コスト削減や軽量化を実現できます。
恩加島木材では、板目に加えて独特な印象を持つ“カーリー杢”柄も取り揃えています。
製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっていますので、「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
〈日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”
建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。
天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。
しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。
-
- 重い
-
- 割れやすい
-
- 高コスト
-
- ビスが効かない
それらの問題を解決したのが、「恩加島木材の不燃突板複合板」です。
天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。
日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。
恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします
「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。
随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。