木材の欠点“反り”が起こる原因|防止できる?直せる?おすすめ内装建材についても

木材の欠点“反り”が起こる原因|防止・直すことはできる?おすすめ内装建材についても

木材と切っても切り離せないのが「反り」です。

いくら慎重に扱っても、保存環境によって木材は変形してしまいます。

今回は、「木材の反り」について、原因や防止・直す方法、材料選びのポイントなどを解説します。

高品質な木質内装材をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。

このコラムのポイント
● 木材は樹種や部位によって差はあるものの、温度や湿度の変化に伴い、反りなどの変形が起こってしまいます。

● 無垢材の反りを完全に抑えることは難しいため、内装仕上げ材には変形しにくい「突板化粧板」がおすすめです。

● 恩加島木材は、産地にこだわった良質な突板を用いて、内装制限の対象部位にもご採用いただける高品質で多彩な突板製品を製造しています。



無垢材の“反り”はなぜ起こる?

無垢材の“反り”はなぜ起こる?

木材の反りを引き起こす原因は、主に「熱・水分・経年劣化・荷重」の4つです。

これらの外的要因によって、いくら高品質な木材でも、時間と共に反り始めてしまいます。

特に、熱(温度)と水分(湿度)の影響は大きく、温湿環境の変化に伴い、木材の含水率が繊維飽和点を下回ると木材は収縮を始めます。

収縮率は部位や繊維方向によって異なるため、不均等に変形して反りを引き起こすのです。

ポイント
木材の反りを最小限に抑えるためには、保管場所の温度・湿度管理が欠かせません。

また、施工後であってもエアコンの直風や直射日光が当たる場所も注意が必要です。


※木材の含水率については、「木材の含水率が建築にもたらす影響は?強度・仕上がりとの関係について」をご覧ください。


木材の繊維方向で変形度合いは違う?集成材は変形しないって本当?

早材と晩材の違い|密度・硬さ・仮道管・経年変化

木材の反りを理解する上で重要となるキーワードが「収縮率」です。

収縮率は、木のどの部分が表面になっているかで異なります。

  • 垂直方向(木の繊維に平行)
  • 接線方向(木の年輪に平行)
  • 放射方向(木の年輪と垂直)
木材収縮率の違い


ポイント
樹種によって収縮率は異なりますが、平均的に「軸方向:接線方向:放射方向」それぞれの収縮率は「1:10:5」程度です。

つまり、板材の中では「板目」が最も収縮率が高くなり、反りやすくなります。


※板材(木目)の種類については、「木目の違いでイメージが大きく変わる。板目・柾目・杢目の違いや突板の貼り方まで徹底解説」をご覧ください。

「板目材」は、木表と木裏の収縮率が不均等なので、その違いによって反りが発生しやすいのです。

一方、「柾目材」は、木表・木裏と樹心の距離がほとんど等しく収縮率があまり変わらないため、互いに引っ張りを相殺しあって反りにくい特徴を持ちます。

木表と木裏


ちなみに、どの樹種も垂直方向(繊維方向)への収縮はほとんどありません。

木の持つ「収縮率の異方性」による反りを軽減するために作られているのが、集成材です。

面の向きが異なる材料を積層することで、それぞれの引っ張り力を打ち消し合います。

そのため、無垢材よりは反りにくいのは事実です。

ただし、全く反らないという訳ではないので注意してください。


反りやすい樹種・反りにくい樹種

反りやすい樹種・反りにくい樹種

収縮率は樹種によって異なります。

つまり、「反りやすい樹種」「反りにくい樹種」があるということです。

一般的には、針葉樹よりも広葉樹の方が反りにくいとされています。

なぜなら、広葉樹の方が比重が重く高密度で硬いものが多いからです。

反りやすい樹種杉・パイン・桧・アカマツなど
反りにくい樹種樺・オーク・ナラ・メープル・ウォールナットなど


ポイント
反りにくい樹種の方がいいと思われがちですが、「反りにくい樹種=硬くて重い」特徴を持つため、施工や加工が難しい可能性もあるので注意しましょう。



反りを防止・矯正する方法

反り・収縮を防止・矯正する方法

どんなにきちんと保管していても、反りが起こる可能性は十分あります。

また、施工してから変形を起こすケースも多く、木材の表面を保護塗装して反りを軽減する方法もありますが、それも完全とは言えません。

そのため、事前に直し方を知っておくことが重要です。

反ってしまった木材を直す方法としてよく用いられるのが、一度濡らすやり方です。

板材の一面に水を吹きつけて、クランプなどで挟んで固定したまま乾燥させると、多少反りは改善されます。

ただし、この方法は施工済みの材料には応用できませんし、大規模建築物など大量の板材を使う場合は、あまり現実味がありませんよね。

比較的反りにくい分厚い材料を選ぶ方法もありますが、予算や納まりによっては、必ずしも取り入れられるとも限りません。

適切な含水率まで乾燥させた木材を選べば、温湿環境の変化があっても変形リスクは低いですが、保存状態や施工後の環境次第で木材の含水率は変動するため、これも確実な方法ではないでしょう。

このように、無垢材を使う場合、完全に反りのリスクを避けることはかなり難しいと言えます。

ポイント
反りなどのリスクが高い無垢材と比べて、品質や寸法が安定しているのが「突板化粧板」です。

天然木を薄くスライスした突板を表面材とするため、無垢材と同様の見た目・質感がありつつも、施工性・安定性に優れています。


※突板化粧板については「突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは?どれがおすすめ?特性から選び方まで徹底解説」をご覧ください。


「木材の反りは完全に防げない」品質安定性の高い“突板化粧板”がおすすめ

突板のメリット・デメリット

恩加島木材は、昭和22年創業以来、国内外から良質な突板を仕入れ、高品質な突板製品を作り続けてきました。

突板化粧板は、天然木部分の厚さが薄いため、無垢材と比べると変形しにくく、品質安定性が高いという特徴があります。

施工面でも扱いやすいため、多くの建築物へ内装建材として採用されています。

「突板化粧板」のメリット
● 表面は天然木なので、無垢材と同様にナチュラルな見た目になる。

● 材料の軽量化が実現でき、施工効率性アップにつながる。

● 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。

● 希少価値があり高価な材料でも、無垢材より木材量を減らせるため、安価な上に、安定して材料を入手しやすい。

● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。

● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる材料の変色も抑えられる。

● 貼り合わせる基材種類によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。


〈おすすめコラム〉突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介


PANESSE(パネッセ)

突板練付化粧板

弊社オリジナルの天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップをご用意しています。

樹種は40種類以上から選定可能で、国産材・地産材のご注文も承っておりますので、産地にまでこだわりたい方におすすめです。

▶︎「PANESSE」の詳細はこちらから


リブパネル・ルーバー

リブパネル・ルーバー

弊社では、PANESSEと同じ樹種ラインナップで、最近トレンドのリブパネルやルーバーもご用意しています。

リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

基材は不燃(ダイライト、エースライトなど)やアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)からお選びいただけますので、内装制限のある建物へもご採用いただけます。

▶︎「リブパネル・ルーバー」の詳細はこちらから

▶︎「リブパネル」の規格図ダウンロードはこちらから


天然木突板シート

突板シート

木口や細かい部分、曲部には、突板化粧板と同様に天然木突板を用いた「突板シート」をご採用ください。

こちらも、PANESSEの化粧板と同じ樹種をご用意しています。

特殊複合紙の表面に0.2mm厚さの突板を貼り合わせた総厚0.4mmの化粧シートで、板状の材料では対応しきれない曲線部分などの施工におすすめです。

国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材料であるため、内装制限のある施設にもお使いいただけます。

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公共施設・商業施設に欠かせない不燃材料。防火性能や突板練付不燃板について解説



まとめ|反りのリスクが低いのは突板化粧板

木材は天然素材ゆえに温度や湿度の変化に伴い、どうしても反ってしまいます。

樹種や部位によっては反りにくいものもありますが、それでも100%変形を抑えることはできません。

そこでおすすめなのが、「突板化粧板」です。

無垢材ならではの質感や木目を持ちつつ、施工性が高く変形リスクを抑えられます。

内装制限の対象部分にも使える不燃・難燃認定商品もありますので、「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひ恩加島木材の突板製品をご検討ください。

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。