木材の強度はどのくらい?樹種・含水率・繊維方向の違いや材料選びのポイントを徹底解説
古くから木材は建築へ使われてきましたが、近年はサスティナブルな素材として注目されています。
しかし、設計デザインへ取り入れる際、「施工後どのくらいもつのか」「強度はどのくらいなのか」と気になりますよね。
そこで今回は、「木材の強度」について、樹種・含水率・繊維方向での違いや材料選びのコツを、木材のプロが詳しく解説します。
設計デザインのイメージに合う木質内装材をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
● 強度の高い木材ほど重くて硬い性質を持つものが多く、施工面・加工面においてデメリットとなる可能性があります。
● 恩加島木材は、産地にこだわった良質な突板を用いて、内装制限の対象部位にもご採用いただける高品質で多彩な突板製品を提供しています。
Contents
木材の強度とは?
木材の強度と言っても、加わる力の向きによって抵抗力は異なります。
【引張強度】
繊維方向へ引張った場合の「縦引張強度」と、丸太の半径方向に引張った場合の「横引張強度」があり、縦引張強度は木材に加わる力に対して、最も抵抗できます。
ただし、少しの傷などでその力が一気に失われるため、加工技術や保存環境によって左右されます。
【圧縮強度】
木材に加わる圧縮力に抵抗する強度です。
繊維方向に力が加わった場合の「縦圧縮強度」と、繊維方向に直交する形で力が加わった場合の「横圧縮強度」があります。
縦圧縮強度の方が高いのが一般的です。
【曲げ強度】
圧縮力と引張力が同時に加わると、木材はねじれて曲がります。
曲がりに対する抵抗力が曲げ強度で、実際に建物へ使用される場合の耐荷重を評価する上で、最も重要になります。
曲げ強度は、節の有無や割れなどで低下します。
ちなみに、ヤング係数とは「たわみにくさ」を表す指標で、数値が高いほど曲げ強度が高いということになります。
【せん断強度】
長方形の材料の両端上下から力を加えた際に、平行四辺形に変形させる力への抵抗力を指します。
板目か柾目かによってせん断強度は異なります。
上から荷重がかかる場合、曲げによる破壊よりもせん断の方が先に発生するケースも少なくありません。
その木材が、木のどの部分から切り出されたかによって、それぞれ強度が異なります。
また、上からの荷重のかかる梁には、せん断強度や曲げ強度の高い材料を選ぶなど、用途によって適した木材を選ばなくてはいけません。
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【木材強度を決める要素】比重・含水率・繊維の縦横方向・品質・形状
木材の強度は、どの樹種・どの部位でも同じという訳ではありません。
また、伐採した後の乾燥方法や保存環境によって変化します。
では、木材の強度を左右する要素を詳しく見てみましょう。
樹種ごとの比重(密度)
樹種によって空隙率(隙間の割合)が異なるため、密度(比重)にも差があります。
同じ含水率で比較すると、密度の高い木材ほど強度が高く、建築材料として重宝されているのです。
ちなみに、木材は金属やコンクリートなどその他建材と比べると、比強度(※)が高いため、軽い割に丈夫な優れた素材です。
※比強度(kN·m/kg):密度(g/1㎤)あたりの引張強さ(N/m㎡)で、数値が大きいほど軽くて強度が高い
含水率・温度・湿度
木材の強度は、同じ樹種でも含まれる水分量(含水率)によって変わります。
木材に含まれる水分は、「自由水」と「結合水」に分けられます。
【自由水】
木材の細胞内や細胞と細胞の間に含まれる水分で、乾燥しても重量が軽くなるだけで、強度は高まりません。
空気が乾燥すると、まず自由水から乾燥し始めます。
【結合水】
木材の細胞壁と結合している水分で、乾燥して含水率が下がると、細胞組織が凝縮して締め固まり強度が増します。
強度だけではなく、木材の伸縮や変形にも影響を及ぼすため、結合水がどれほど乾燥するかはとても重要です。
含水率が木材の繊維飽和点である30%程度を下回ると、強度アップにつながります。
含水率を左右するのが、温度と湿度です。
乾燥した環境下では含水率が低下し、湿潤環境では含水率は上昇します。
そして、空気の温度が急激に高くなれば、木材に含まれるリグニンの可塑性が発現して、強度が低下する点も否めません。
逆に、木材が極端に寒い環境へさらされると、水分が凍って膨張し、木割れを引き起こす可能性もあります。
木割れが起これば、そこから木材が破断するリスクが急激に高まるため注意が必要です。
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木材の含水率が建築にもたらす影響は?強度・仕上がりとの関係について
繊維の縦横方向
同じ樹種、同じ含水率であっても、繊維方向に対して平行な部材か直行している部材かによっても強度に差が出ます。
木材の中で最も強度が高いのは、繊維方向への引張強度です。
そのため、どの樹種においても、繊維に沿って切り出された木材が最も高い強度を発揮します。
圧縮強度においても、繊維方向と同じ方向で加圧された場合の方が、直行方向よりも強度が高いのが一般的です。
ただし、引張強度と圧縮強度どちらにおいても、小さな欠損や節があると、本来破断しないはずの小さな力でも部材が壊れる可能性もあります。
品質
節や亀裂のある材木は、本来の引張強度から大幅に性能が低下します。
節は剛性が低く、小さな力が加わっても、そこから割れてしまう可能性があるのです。
特に丸太の中心に近い節は強度が低いため、注意しましょう。
木材は、節の有無や数、大きさによって、以下の等級に分類されます。
無節 (むふし) | 節が全くない木材で、強度は高いが高価。 |
上小節 (じょうこぶし) | 直径6mm程度までの小さな節が少数入る木材。 節は木本体としっかり結合している“生き節”なので、強度はそれほど低下しない。 無節よりも価格を抑えられる。 |
小節 (こぶし) | 直径20mm程度の節が入っている木材。 節は、木本体と肌別れしている“死に節”も含まれるため、上小節よりも、強度は低い。 |
節あり | 大小異なる節が入っている木材。 生き節・死に節に加え、埋木で欠損した節を補修した“詰め節”もあるため、強度は最も低い。 |
形状・サイズ
一般的には、断面方向に太い材料ほど強度は高いです。
そして、円柱状の木材よりも角柱状の木材の方が、荷重などの外圧を均等に分散できるため、圧縮強度が高いとされています。
曲げ強度は、厚みのある材料ほど高いため、平板材よりも角材の方がねじれにくいのが通常です。
「一番丈夫な木材は?」樹種別強度ランキング一覧
木材の強度は、温度や湿度、品質、形状など、伐採後に加わる要素によって変化しますが、“強い木材”を選びたい場合は、樹種のチェックも重要です。
では、建材として用いられる木材の引張強度・圧縮強度・比重を見てみましょう。
樹種 | 引張強度 (kgf/㎠) ※繊維方向 | 圧縮強度 (kgf/㎠) ※繊維方向 | 比重 |
---|---|---|---|
「ケヤキ」 | 1200 | 560 | 0.69 |
「ブナ」 | 1100 | 490 | 0.50〜0.70 |
「アカマツ」 | 1300 | 410 | 0.53 |
「ミズナラ」 | 1370 | 390 | 0.65 |
「スギ」 | 560 | 280 | 0.38 |
「キリ」 | 520 | 250 | 0.19〜0.30 |
上の表を見ると、引張強度が高い樹種ほど比重が重いことが分かります。
つまり、一般的には「強度の高い木は重い」ということです。
そのため、木材の強度を求めると、施工効率や加工容易性は下がってしまいます。
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まとめ|高強度木材は重くて硬い
木材の強度は、保存環境の温度や湿度、木材の品質、形状によって変化しますが、基本的には「強度が高いほど重くて硬い」のが大前提です。
そのため、強度を求めると、施工効率が落ちてしまったり、細かい加工ができなかったりするかもしれません。
そのため、見た目の仕上がりを左右する内装木材には、品質安定性が高く施工しやすい「突板化粧板」がおすすめです。
内装制限の対象部分にも使える不燃・難燃認定商品もありますので、「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひ恩加島木材の突板製品をご検討ください。
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。