【2025年建築基準法改正】重要ポイントを簡単まとめ|構造計算・リフォーム・木造化と防火規定
2022年に、2025年施行の建築基準法改正案が決議されました。
今回の改正は、2000年の改正と同様に根本的な変更点がいくつもあります。
そこで、2025年に改正される建築基準法の変更点を詳しく解説します。
● 改正された建築基準法では、大規模建築物の耐火規定から既存住宅の改修に関する規定まで、幅広い変更が盛り込まれています。
● 恩加島木材は、産地にこだわった良質な突板を用いて、内装制限の対象部位にもご採用いただける高品質で多彩な突板製品をご提供しています。
Contents
- 1 2025年に建築基準法・建築物省エネ法が大幅改正
- 2 改正建築基準法ポイント①「四号特例の縮小」
- 3 改正建築基準法ポイント②「構造計算が必要な木造建築物の規模変更」
- 4 改正建築基準法ポイント③「大規模建築物における防火規定変更」
- 5 改正建築基準法ポイント④「中層建築物以上の別棟部耐火性能基準変更」
- 6 改正建築基準法ポイント⑤「既存住宅における高さ制限・建蔽率・容積率の特例」
- 7 改正建築基準法ポイント⑥「用途変更に伴う住宅採光規定見直し」
- 8 改正建築基準法ポイント⑦「既存不適格建築物における現行基準適用一部免除」
- 9 大規模建築物・内装制限対象建築物にも採用される“恩加島木材”の突板製品
- 10 まとめ|2025年の建築基準法改正は大きな変化
2025年に建築基準法・建築物省エネ法が大幅改正
2022年6月に「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」が制定され、それに伴い、建築基準法も改正されます。
実際に施行されるのが、2025年4月からの予定です。
2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%削減(2013年度比)を実現させるために効果的な施策として期待されています。
今回の改正の背景には、省エネ法の改正があるため、あくまでも環境負荷を減らすための内容変更となります。
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改正建築基準法ポイント①「四号特例の縮小」
今回の改正で最も建築業界で話題となっているのが、「四号特例の縮小」です。
建築確認検査における“審査省略制度”の対象範囲が狭まります。
四号特例の対象が狭まると、これまで審査の不要だった木造2階建住宅や平屋建て(建築面積200㎡以上)においても、構造規定や省エネ基準の適合性が審査されることになります。
また、屋根や外壁、階段や間取りなどの構造や外観に関わる部分を半分以上変更する大規模改修(リフォーム・リノベーション)でも確認申請が必要になる点もポイントです。
この改正点の目的は、省エネ基準の適合建築物増加促進だけではありません。
太陽光発電などの省エネ設備を設置することで建物の重量化は避けられないため、より構造安全性の基準をチェックするためでもあります。
改正建築基準法ポイント②「構造計算が必要な木造建築物の規模変更」
政府は、森林資源の活性化、炭素の固定量増加などを目的に、“中規模以上建築物の木造化・木質化”を進めています。
また、家の断熱性を高めるために、分厚い断熱材を床下や天井裏に入れるケースが増え、階高が高くなる傾向が強まっています。
この状況を踏まえて、今回の改正では、簡易的な構造計算(許容効力度計算)で建築できる建物高さが高く変更されました。
(建築基準法) | 簡易的な構造計算で建築可能な高さ範囲 |
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【現行】 | 高さ13m以下かつ軒高9m以下 |
【改正後】 | 階層3以下かつ高さ16m以下 |
ただし、一方で大空間のある木造建築物が増えているため、高度な構造計算が必要な延べ床面積の引き下げが行われた点もチェックポイントです。
(建築基準法) | 木造建築物で構造計算が必要となる延べ床面積 |
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【現行】 | 延べ床面積500㎡超 (2階建ての場合) |
【改正後】 | 延べ床面積300㎡超 |
改正建築基準法ポイント③「大規模建築物における防火規定変更」
政府は、国内における森林資源の活用や、炭素固定量の増加を目的に、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(通称:都市の木造化推進法)」を軸として、大規模建築物の木造化を進めてきました。
この動きを踏まえて、今回の改正では床面積3,000㎡を超える建築物を木造構造にする場合、柱や梁などの構造木材を“表し(あらわし)”にできるように変更されました。
(建築基準法) | 大規模建築物における木造構造部の仕様 |
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【現行】 | 露出している壁や柱などを耐火構造にするか、3,000㎡ごとに耐火構造体で区画分けすること |
【改正後】 | 火災時に周囲に大規模な危害が及ばぬ処置をすれば、木材の“あらわし”による設計が可能 (仕様例:大断面の木材部材の採用、防火区画の強化、延焼を抑制できる構造計画) |
この改正点によって、大規模建築物における内装木質化のハードルが下がり、デザインのレパートリーが増えると期待されています。
改正建築基準法ポイント④「中層建築物以上の別棟部耐火性能基準変更」
今回の改正では、年々建築事例が増えている木造の中層建築物における耐火性能基準が合理化されました。
階層が5以上9以下の最下層部分に接する別棟は、90分間の耐火性能があれば木造構造の建築が可能になります。
(建築基準法) | 大規模建築物における別棟低層部木造化 |
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【現行】 | 低層部(階層3以下)についても高層部(階層4以上)と一体的に防火規定を適用し、建築物全体として耐火性能が要求される |
【改正後】 | 高い耐火性能のある壁などで離隔距離を取り渡り廊下で別棟として区画分けすれば、低層部分の木造以下が可能となる |
改正建築基準法ポイント⑤「既存住宅における高さ制限・建蔽率・容積率の特例」
リフォーム・リノベーション時の屋根(屋上)の断熱化や太陽光発電設備の設置に伴い、新築時よりも建物高さが高くなるケースが増えています。
また、日除けのための庇を設置したことで建蔽率の上限に抵触してしまうケースが増えることも想定されています。
この現状を踏まえて、建築基準法上の規定が省エネ改修の弊害にならないように、「高さ制限・建蔽率・容積率の特例許可制度」が追加されました。
(建築基準法) | 既存住宅における高さ制限・建蔽率・容積率の特例 |
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【現行】 | ●第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域やその他高度地区において、原則として都市計画法で定められた高さ制限を超えてはいけない ●都市計画区域内において、原則として定められた建蔽率・容積率を超えてはいけない |
【改正後】 | ●第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域やその他高度地区において、屋外に面する部分の改修工事によって高さ制限を超える場合、構造上やむを得ない建築物に対して特例許可制度を追加 (改修例:屋根の断熱改修、省エネ設備の屋上設置) ●都市計画区域内において、屋外に面する部分の改修工事により、建蔽率・容積率の上限を超える場合、構造上やむを得ない建築物に対して特例許可制度を追加 (改修例:外壁の断熱改修や通気層増設、日射遮蔽を目的とした大きな庇設置) |
改正建築基準法ポイント⑥「用途変更に伴う住宅採光規定見直し」
コロナ禍において、既存建物の用途(業態)変更を希望する事例が増えましたが、建築基準法における採光面積の確保(第28条「居室の採光及び換気」)に伴う改修費用が障壁となり、計画が実行されないケースが多くありました。
そこで、今回の改正では、既存ストック建築物の有効活用を目的として、一定の条件をクリアすれば最低採光面積が緩和される規定が追加されました。
(建築基準法) | 既存建築物の用途変更における必要最低採光面積の緩和 |
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【現行】 | 採光に有効な部分の面積(=窓面積)は、住居は床面積の1/7以上、学校等では1/5〜1/10以上確保しなくてはいけない (採光規定の対象外である事務所やホテルから住居などに用途変更する場合は、必要最低採光面積の確保が必須) |
【改正後】 | 住居において、採光に有効な部分の面積は原則として1/7以上必要だが、一定の条件下では1/10以上まで緩和される (例:開口部からの採光量に匹敵する照明設備の設置) 「ホテルから住居へ用途変更(コンバージョン)した場合でも、条件をクリアすれば窓追加工事による採光面積確保が不要な可能性がある」 |
必要最低採光面積の緩和条件はただいま検討段階とのことで、照明器具の設置などはあくまでも予定条件に過ぎません。
今後、決定次第、告示にて明記される予定です。
改正建築基準法ポイント⑦「既存不適格建築物における現行基準適用一部免除」
既存ストック住宅の増加や空き家問題が深刻化する中、現行の建築基準法にそぐわない建物、いわゆる「既存不適格建築物」も増えています。
接道義務(建築基準法第43条第1項)の違反や、道路内建築制限(建築基準法第44条第1項)へ不適格な古い建物を省エネ改修や耐震改修したくても、現行法に適合させることが現実的に不可能で、リノベーションを断念せざるを得ない事例が多発しているのです。
この状況を踏まえて、古い既存住宅などの省エネ化・長寿命化を促す目的で、一部の既存不適合建築物に対して、現行基準を適用しない規定が盛り込まれました。
(建築基準法) | 既存不適格建物に対する現行基準適用免除 |
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【現行】 | 大規模修繕や増改築工事においては、建築確認申請が必要で、既存不適格建築物については根本的な改善が必要(=実質不可能) |
【改正後】 | 市街地環境へ大きな影響を与えないと認められる大規模な修繕・模様替えをする場合は、現行基準を適用しない (例:建築基準法上の道路とは接していないが、その他の利用可能な道路と接している建物、通行上支障がない庇が道路内に出ている建物) |
接道義務違反の土地は再建築不可ですが、今回の改正によって、大規模リノベーションによって古い空き家を再利用できる可能性が高まることとなりました。
大規模建築物・内装制限対象建築物にも採用される“恩加島木材”の突板製品
今回の改正で、大規模建築物の耐火に関する規定が見直されましたが、基本的な内装制限の決まりは変わりません。
内装制限の対象部位にナチュラルウッドを採用する場合、不燃薬剤を浸透させた不燃木材を使うケースも多いでしょう。
ところが、時が経つとともに薬剤が染み出して表面で結晶化する“白華現象”が発生します。
そこでおすすめなのが、「天然木突板化粧板」です。
表面材として用いられている突板は、天然木を薄くスライスしたシート状の材料で、不燃薬剤は全く使用していないため、白華現象は起きません。
ただし、極薄の突板でも“天然木そのもの”なので、本物の風合いや質感を表現できます。
“恩加島木材”は、国内外より良質な突板を仕入れ、不燃・難燃認定されている突板製品を製造販売しています。
弊社の不燃突板複合板は、日本初・大臣認定取得商品です。
● 材料の軽量化が実現でき、施工効率性アップにつながる。
● 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。
● 希少価値があり高価な材料でも、無垢材より木材量を減らせるため、安価な上に、安定して材料を入手しやすい。
● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。
● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる材料の変色も抑えられる。
● 貼り合わせる基材種類によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。
無垢材の風合いを活かしながらも、コスト面・性能面のメリットをプラスした内装材こそ「突板化粧板」。
その中でも、高強度な「突板不燃複合板」は、天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。
また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。
内装制限の対象となる部分にも、安心してご選定いただけますので、ぜひ採用をご検討ください。
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PANESSE(パネッセ)
弊社オリジナルの天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップをご用意しています。
樹種は40種類以上から選定可能で、国産材・地産材のご注文も承っておりますので、産地にまでこだわりたい方におすすめです。
リブパネル・ルーバー
弊社では、PANESSEと同じ樹種ラインナップで、最近トレンドのリブパネルやルーバーもご用意しています。
リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。
基材は不燃(ダイライト、エースライトなど)やアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)からお選びいただけますので、内装制限のある建物へもご採用いただけます。
天然木突板シート
木口や細かい部分、曲部には、突板化粧板と同様に天然木突板を用いた「突板シート」をご採用ください。
こちらも、PANESSEの化粧板と同じ樹種をご用意しています。
特殊複合紙の表面に0.2mm厚さの突板を貼り合わせた総厚0.4mmの化粧シートで、板状の材料では対応しきれない部分の施工におすすめです。
国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材料であるため、内装制限のある施設にもお使いいただけます。
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まとめ|2025年の建築基準法改正は大きな変化
2025年施行予定の改正建築基準法では、既存住宅から大規模建築物まで広範囲における規定が変更されました。
全てに共通しているのが、建物の“省エネ化”です。
中規模以上の公共施設・商業施設にウッドインテリアを採用したい方におすすめなのが、「突板化粧板」です。
内装制限の対象部分にも使える不燃・難燃認定商品もあります。
「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひ恩加島木材の突板製品をご検討ください。
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。