カラマツ材の特徴|見た目・耐久性・価格や欠点を詳しく解説
日本固有の樹種である「カラマツ」ですが、木材に加工されるとどのような特徴になるのか、あまり知られていません。
そこで、今回は「カラマツ材」の特徴やマツとの違い、メリット・デメリットについて、木材のプロが詳しく解説します。
ウッドインテリアの材料をご検討中の方は、是非参考にしてください。
● カラマツは乾燥による変形リスクが大きいため、内装仕上げに用いる場合は品質安定性の高い「突板化粧板」がおすすめです。
● 恩加島木材は、産地にこだわった良質な突板を用いて、高品質で多彩な突板製品をご提供しています。
Contents
日本固有種“カラマツ”の分布地域と生産量|マツとの違い
カラマツは日本固有の樹種で、中部地方の寒冷地、特に高標高地帯を中心に生息しています。
日本アルプスや、富士山、奥日光、上高地などの観光地にも生息しているため、一度は見かけたことのある方も多いでしょう。
日本で生息する針葉樹の中で唯一の落葉樹なので、「落葉松」と呼ばれることもあります。
人工林としてカラマツの植林が始まったのは、第二次世界大戦後です。
長野県産の苗木が、北海道や東北地方へ運ばれ、復興造林として管理され始めました。
現在では、日本国内において計画植林が行われている人工林約1,020万haのうち、カラマツは約97万haと、およそ10%を占めています。(参考:林野庁|樹種別齢級別面積)
日本国内の人工林で育てられている樹種は、スギやヒノキのイメージが強いかもしれませんが、近年はカラマツ材が合板に加工されて需要が高まっているため、その生産量は増加を続けているのです。
2016年の国産材生産量の樹種別割合を見てみると、スギ・ヒノキに続き、カラマツが三番目に多い11%を占めています。(参考:林野庁|林業の動向)
これまで合板はラワンやシナなどの輸入材から主に作られてきましたが、近年、政府主導の国産材利用促進が進む中、カラマツ合板の流通量が増えたことも一因と言えるでしょう。
主に製材用・合板用へ加工されるため、建築には欠かせない樹種と言って間違いありません。
ちなみに、カラマツと聞くと松(マツ)と似ていると思われがちですが、生物学的には全く異なる特性です。
一般的にマツと呼ばれるアカマツは、カラマツと違って常緑樹で、本州から四国・九州まで、日本のほぼ全域に生息します。
カラマツ材の特徴|集成材・合板・床材・壁材・天井材に利用する際のポイント
カラマツは紅葉が美しい樹種で、観光資源として天然林を活用している地域もありますが、建築材料としてもとても人気です。
では、カラマツ材の特徴を詳しく紹介します。
木目・色味・触り心地
カラマツ材の心材(中心に近い部分)は褐色で、若い木は比較的色が淡く、樹齢が増すほど濃い色へ変化する点が特徴です。
一方、辺材(樹皮に近い部分)は、黄白色と表現されます。
カラマツの木はまっすぐ伸びますが、旋回木理(木目が螺旋状になる特性)を持つため、木目はあまりまっすぐではありません。
また、春から夏にかけて成長スピードが早まるため、春材(早材)と呼ばれる木目幅が広い部分と、秋材(晩材)と呼ばれる木目が詰まった部分の差が明瞭な点はアカマツと大きく異なる特徴と言えるでしょう。
木肌は比較的荒く、内装仕上げ材として使う場合は、丁寧な研磨が必要です。
比重・強度・耐久性・耐水性
カラマツの気乾比重(木材を乾燥させた時の重量・体積を水と比較した値)は、0.40~0.60程度で、針葉樹の中でも重くて硬い部類に入ります。
油分が多く含まれるため、弾力性があり耐水性・耐久性が高く、腐朽に強い点がメリットです。(参考:長野県林業総合センター|カラマツ材の強度特性について、一般財団法人 日本木材総合情報センター)
特に老齢期に入ったカラマツは「天カラ」と呼ばれ、木割れや変形が少なく、ヤニもほとんど出ないため、銘木として高値で取引されます。
木材価格
日本の人工林に多く植林されるスギやヒノキの価格と比較すると、カラマツは若干リーズナブルな点もポイントです。
素材価格は、1980年以後ピークアウトしましたが、2004年以降はカラマツ合板の需要が高まったことで、若干ではありますが上昇傾向が見られます。
良質なカラマツを多く産出している長野県産材は、スギの価格を上回り、ヒノキ材と同等の価格で取引されています。(参考:長野県|長野県の木材市況(令和5年12月))
カラマツ材の欠点・デメリット
カラマツは油分が多く耐水性・耐久性に優れ、硬くて丈夫な点がメリットです。
ただし、一方で、松ヤニを多く含むため、製紙パルプ用へは利用しづらく、重くて硬いので、建築資材としても取り扱いや加工が難しい点は否めません。
また、まだ樹齢の若い木は、伸縮率が特に高く、乾燥に伴う割れや反りが出やすい点が問題視されてきました。(参考:一般財団法人 日本木材総合情報センター)
ところが、近年は乾燥技術や加工技術が発展し、合板だけではなく内装仕上げ材としても多く活用されています。
ただし、無垢材は施工場所の温度・湿度環境の影響を受けやすいので、ねじれなどが起こりやすい点には注意してください。(参考:長野県|カラマツの旋回木理と材質)
取り扱いや品質の見極めが難しいカラマツを内装材として使う場合におすすめなのが、「突板化粧版」です。
● 材料の軽量化が実現でき、施工効率性アップにつながる。
● 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。
● 希少価値があり高価な材料でも、無垢材より木材量を減らせるため、安価な上に、安定して材料を入手しやすい。
● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。
● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる材料の変色も抑えられる。
● 貼り合わせる基材種類によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。
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カラマツを用いた内装材は“恩加島木材”にご相談を
突板化粧板とは、天然木を0.2~0.3mm程度のシート状にスライスした“突板”を合板などに接着した内装建材です。
無垢材の風合いや質感を残しながらも、施工性・品質安定性を備え、コスト面でも無垢材より有利です。
カラマツ材のように重くて硬く変形リスクの高い樹種においても、長く美しさをキープできる点が一番の強みと言えます。
恩加島木材では、国内より良質なカラマツの突板を仕入れ、高品質かつレパートリー豊富な突板化粧板・突板複合板を製造販売しております。
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PANESSE(パネッセ)
天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップをご用意しています。
樹種はカラマツを含んだ40種類以上から選定可能で、内装制限の対象部位にも採用いただける認定商品もご用意しています。
リブパネル・ルーバー
弊社では、PANESSEと同じ樹種ラインナップで、最近トレンドのリブパネルやルーバーもご用意しています。
もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場で組立している高精度・省施工型の製品です。
基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物へもご採用いただけます。
天然木突板シート
木口や細かい部分、曲部には、突板化粧板と同様に天然木突板を用いた「突板シート」をご採用ください。
こちらも、PANESSEの化粧板と同じ樹種をご用意しています。
特殊複合紙の表面に0.2mm厚さの突板を貼り合わせた総厚0.4mmの化粧シートで、板状の材料では対応しきれない部分の施工におすすめです。
国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材料であるため、内装制限のある施設にもお使いいただけます。
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まとめ|カラマツを使った内装は突板化粧板がおすすめ
カラマツ材は、粘り強く丈夫な点がメリットですが、一方で乾燥による変形が起こりやすいため、無垢材では取り扱いが難しい点が欠点です。
そのため、メンテナンスが行き届きにくい公共施設などでは、なかなか採用しにくいケースも少なくありません。
そこでおすすめなのが、「突板化粧板」です。
天然木の風合いを表現できる上に、施工性・品質安定性やコスト面において、無垢材と比べても決して引けをとりません。
表面に細かいキズがついたり、温度や湿度によって反りや歪みが発生したりするリスクを抑えられます。
「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。