〈“セン(栓)”の木材〉性質・木目・カラーの特徴とよくあるQ&Aを解説
柔らかい雰囲気と明るく品のある木目が特徴の「セン」ですが、その特徴はあまり知られていません。
「どんなメリット・デメリットがあるか知りたい」「設計デザインに取り入れたいが経年変化が気になる」という方も多いでしょう。
そこで、今回は「セン(栓)」の木材としての特徴や、メリット・デメリット、その他多くの方が気になる疑問について解説します。
ウッドインテリアの材料をご検討中の方は、是非参考にしてください。
● セン材のデメリットを解消できるのが、「天然木突板化粧板」です。
● 恩加島木材は、産地にこだわった良質な突板を用いて、高品質で多彩な突板製品をご提供しています。
Contents
セン(栓)の特徴は?硬さはどのくらい?
「セン」は、落葉広葉樹の一種で、産地によって以下のような名称で呼ばれています。
- センノキ(線木)
- ハリギリ(針桐)
- ヤマギリ(山桐)
- ボウダラ
- ツブ
日本では、北海道から沖縄までの全国に生息し、そのほか、ロシア(サハリン)や朝鮮半島、中国の一部も分布地域です。
特に日本産のセン材は、ヨーロッパなどへも輸出されており、良質な木材としてその地位を確立しています。
では、セン材の特徴を詳しく紹介します。
軽くて軟らかく加工性が高い
セン材は、気乾比重が「0.50〜0.54」と軽く、柔らかくて加工しやすい点が一番の特徴です。
水の比重が「1㎠=1g」なので、気乾比重が1以下であれば水に浮くということです。
気乾比重は、針葉樹で「0.3〜0.5」、紅葉樹で「0.5〜0.7」程度なので、“セン”は、広葉樹の中でもとても軽い樹種に分類されます。
軽くて加工しやすいだけではなく、比重が軽い割には強度が高いため、家具の材料や建築内装材、その他工芸品の材料として活用されています。
全体的に白褐色で上品な木目
センは、木材の中でも色合いが明るく、繊細な木目が特徴です。
樹皮に近い辺材は「淡黄白色」、中心付近の心材は「淡灰白色」と表現されるますが、その境界は不明瞭で、グラデーションのように色が変化します。
年輪幅が狭いので、狭い面積で用いる場合も、木目がバランスよく見える点も人気のポイントです。
手触りは少々粗いですが、研磨によって美しい光沢が現れます。
木目がケヤキに似ていることから「ニセケヤキ」とも呼ばれ、着色してケヤキの代替え樹種として活用されるケースも少なくありません。
リーズナブルな価格
センは、木材の中でも比較的価格がリーズナブルな点も魅力です。
奈良県が公表している資料によると、国産広葉樹ですとカシやブナ、ナラ、クリと同じ価格帯です。(参考:奈良県|樹種ごとの原木単価と末口径、 材長)
国内での生息面積が広い杉ほどではないものの、木目が似ているケヤキよりもかなり安く手に入ります。
ジャパニーズアッシュと呼ばれるがアッシュとは別の樹種
セン材は、主にヨーロッパへ輸出されており、「ジャパニーズ・アッシュ」と呼ばれています。
そのため、アッシュ(タモ)の一種と思われがちですが、センとタモは生物学的に全く異なる樹種です。
セン | ウコギ科ハリギリ属の落葉広葉樹 |
タモ | モクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹 |
アッシュのようが硬く、強度や弾力性が高いため、家具材や内装仕上げ材だけではなく、建具材やスキー板など耐久性が求められるものに用いられます。
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セン材のデメリットと解決方法は?
センの強みは「柔らかく加工性が高い」という点ですが、逆に「キズが付きやすい」点がデメリットです。
また、温度や湿度変化の影響を受けやすく、無垢材は反りなどの変形が起こるため、取り扱いが難しい樹種でもあります。
しかし、やはり木の風合いを残すためには天然素材にこだわりたいですよね。
そこでおすすめなのが、「突板化粧版」です。
さらに表面へ塗膜の厚いUV塗装を施せば、細かい擦りキズが防げるため、店舗や学校、その他公共施設へも多く採用されています。
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内装材におすすめの“天然木突板化粧合板”
突板化粧板とは、天然木を0.2~0.3mm程度のシート状にスライスした“突板”を合板などに接着した内装建材です。
● 材料の軽量化が実現でき、施工効率性アップにつながる。
● 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。
● 希少価値があり高価な材料でも、無垢材より木材量を減らせるため、安価な上に、安定して材料を入手しやすい。
● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。
● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる材料の変色も抑えられる。
● 貼り合わせる基材種類によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。
無垢材の風合いを活かしながらも、コスト面・性能面のメリットをプラスした内装材こそ「突板化粧板」です。
セン材のようにキズが付きやすく変形リスクの高い樹種においても、長く美しさをキープできます。
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セン突板化粧板のラインナップ|板目・柾目
恩加島木材では、セン材を含めた常時40種以上の樹種を取り揃えています。
そのため、豊富な樹種から設計デザインのイメージに合う木目やカラーをお選びいただける点が、私たちの強みです。
では、弊社製品の特徴をご紹介します。
PANESSE(パネッセ)
こちらは、天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップをご用意しています。
樹種もは40種類以上から選定可能で、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。
セン材は、「柾目」「板目」をご用意しています。
リブパネル・ルーバー
弊社では、PANESSEと同じ樹種ラインナップで、最近トレンドのリブパネルやルーバーもご用意しています。
リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。
ルーバーも同様で、高意匠ルーバーとして多くの現場でご好評いただいています。
基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物へもご採用いただけます。
天然木突板シート
木口や細かい部分、曲部には、突板化粧板と同様に天然木突板を用いた「突板シート」をご採用ください。
こちらも、PANESSEの化粧板と同じ樹種をご用意しています。
特殊複合紙の表面に0.2mm厚さの突板を貼り合わせた総厚0.4mmの化粧シートで、板状の材料では対応しきれない部分の施工におすすめです。
国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材料であるため、内装制限のある施設にもお使いいただけます。
詳しくは、納入実績・施工実績・最新トピックスをご覧ください。
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セン突板化粧板に関するよくあるQ&A|経年変化やお手入れ方法
セン材は、その美しい木目から、内装材として人気の高い樹種です。
施工後の経年変化やお手入れ方法まで知っておけば、施工後のトラブルを防げます。
では、多くの方が気になる点についてお答えします。
セン突板化粧板の厚さはどのくらい?
恩加島木材のセン突板化粧板は、基材の種類によって厚さが異なります。
【基材の種類】 | 厚さ(単位:mm) |
不燃材 | 6/9/12/15/18/21/24 mm |
難燃材 | 15 mm |
MDF | 2.5/4/5.5/6/7/9/12/15/18/21/24/30 mm |
合板 | 2.5/4/5.5/6/9/12/15/18/21/24/30 mm |
シート材 | 0.4〜1.2 mm |
現場の納まりや仕様に合わせて、適切なものをお選びください。
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セン突板化粧板の経年変化は?
セン材は、柔らかいため使い込むほどに夏目(夏に育つ柔らかい部分)と冬目(冬に育つ硬い部分)の差が凹凸になって現れてきます。
また、光に当たり続けることで色が濃くなっていく点もポイントです。
そのため、部分的に直射日光の当たりやすい場所では、色の違いがはっきりと出てしまうため注意してください。
※「ザ・ファインタワー大手前」では、実際に日焼け防止塗装を施した材料をご採用いただきました。
製品の用途やご希望の質感に合わせて、最適な塗料や塗装方法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
セン突板化粧板はどうやってお手入れする?
セン突板化粧板は、無塗装の状態では無垢材と同じく水拭きするのには適していません。
日常的な軽い汚れは、硬く絞った布巾で拭き取る程度に留めましょう。
しつこい汚れが付いてしまった場合は、水で薄めた中性洗剤を使うこともできますが、変色する可能性もあるため、まずは目立たないところで試してください。
水気が残らないようにすぐ乾拭きする点がポイントです。
屋外や紫外線を多く受ける場所やには、定期的なオイル塗装もおすすめです。
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まとめ|変形しやすいセン材は突板化粧板がおすすめ
セン材は、上品で繊細な木目とカラーと加工性の高さが長所ですが、一方でキズがつきやすく変形のリスクがあるという短所がある点は無視できません。
そのため、無垢材ではメンテナンスの観点から採用できないケースもあります。
そこでおすすめなのが、「突板化粧板」です。
天然木の風合いを表現できる上に、表面に細かいキズがついたり、温度や湿度によって反りや歪みが発生したりするリスクを抑えられます。
「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。
随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
恩加島木材の取り組み
私たち“恩加島木材工業”は、1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使い、良質でバラエティに富んだ内装材を作り続けてきました。
突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定。
木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。
当社では、地球環境を守るために、以下の取り組みを行っています。
国産材・地域材の利用
産地を限定した国産材・地域材を積極的に用いて、日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るために取り組んでいます。
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
金沢サッカー場内装(石川県産材利用)
鳥取県立美術館(鳥取県産材利用)
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間伐材の利用
森を豊かにするためには、適切な間伐が必要不可欠です。
弊社では、杉・桧の小径間伐材からスライスされた突板をバランスよく配置して美しい突板化粧板を製造。
森の活性化・林業の利益化向上・廃棄物の削減などの観点から、SDGs実現に向けた取り組みとして間伐材の積極的利用を行っています。
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人工突板の開発・製造
「人工突板」と聞くと、どうしても自然由来の素材を連想しにくいかもしれませんが、こちらも天然木材から作られた建材です。
間伐材や短期間で成長する植林樹木などの小径材を活用します。
森林の木々をこまめに伐採・植林するサイクルは、森を健康に保つためにも非常に重要なポイントです。
サスティナビリティの高い建築物を目指す方は、ぜひ“豊かな森を守る”人工突板のご採用をご検討ください。
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自社工場での自然エネルギー活用
2023年10月より、自社工場へ太陽光発電システム(141kW)および蓄電池を導入し、再生可能エネルギーの創出や脱炭素化への貢献を目指します。
〈日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”
建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。
天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。
しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。
- 重い
- 割れやすい
- 高コスト
- ビスが効かない
それらの問題を解決したのが、「恩加島木材の不燃突板複合板」です。
天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。
日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。