〈2023年〉木材の価格高騰はいつまで続く?最近の価格動向をチャートで解説

木材の値上がりはいつまで続く

未だ建築業界を苦しめる「木材の価格高騰」。

一時よりも落ち着きを取り戻したものの、まだまだ現場へ与える影響は決して小さくはありません。

では、この苦しい状況はいつまで続くのでしょうか。

今回は「木材価格の動向」について、高騰のきっかけから今までの経緯、最新の推移まで詳しく解説します。

価格上昇を打破するヒントも紹介していますので、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
●2021年から木造価格が高騰した理由は、コロナ禍によるウッドショックや原油高、円安などが関係しています。
●木材価格は2022年前半でピークアウトし、徐々に下落しています。
●恩加島木材は、環境に配慮しつつ国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。




木材価格はなぜ高騰した?

木材高騰の原因は

2021年初めより一気に値上がりした木材ですが、その原因は一体何なのでしょうか。

実は、価格高騰をもたらしたきっかけは一つではありません。

いくつかの原因が度重なったことで、木材の値上がりを引き起こしたとされています。

考えられる主な原因は3つです。

コロナ禍がきっかけで起こった第三次ウッドショック

2021年からの木材値上がりや運輸の停滞を引き起こした一番の原因が、新型コロナウイルス感染拡大による「第三次ウッドショック」です。

世界的な経済的不安から建築需要は一時停滞したものの、その後アメリカや中国などの大国を中心に“STAY AT HOME(ステイ・アット・ホーム)”で住宅の改築・新築を検討する人が増えました。

それにより、大国の木材買い占めが起こり、需要集中による運搬コンテナ不足、さらに感染拡大による林業・製材業の稼働率低下や、物流ルート停滞・縮小が相まって、木材価格が一気に上昇したのです。

第三次ウッドショックの経緯

(引用:引用:公共財団法人 森林文化協会

ロシア・ウクライナ情勢がきっかけの原油高

ウッドショックによる価格高騰が一時落ち着きを見せた頃、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。

それによって、原油価格が一気に高騰してしまったのです。

その理由は、大産油国であるロシアが各国への原油供給を停止することを懸念したことによる供給不安が原因とされています。

原油高によって、輸入材の価格が高騰しただけではなく、国産材も電気料金値上がりなどの影響を受けてしまいました。


歴史的な円安

新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷を脱却するために、2022年からアメリカによる連続的な利上げが行われました。

それにより、2022年3月頃から円安/ドル高の現象が続き、11月には150円間近にまで到達し、輸入材の価格に大きな影響を及ぼしました。

2022年米ドル対円相場
(「七十七銀行|為替相場情報」のデータを元に作成)


2022年3月と同年11月を比べると、29%も上昇していることが分かります。

つまり、円安前と後では、10,000円(約90ドル)だった材料が、13,320円(1ドル=148円)になってしまうということです。

木材の半分以上を輸入材に頼っている日本にとって、この影響は決して小さくありません。

2023年4月時点では1ドル=135円前後で落ち着きつつありますが、未だ円安以前と比べるとその差は大きいのが現状です。


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2021~2022年の木材価格を振り返る

経済産業省の行った調査では、輸入材・国産材ともに2021年初めごろから一気に値上げしたことが分かります。

特に輸入材の価格上昇は大きく、木材・木製品・林産物の輸入物価指数は、2020年12月と2021年12月を比較すると約73%、製材は135%も上昇しています。

2021年12月から2022年の初めには価格のピークアウトが見られ、徐々に下落していますが、2022年中は高騰前と比べると高水準が続きました。

ただし、価格下落はヨーロッパ材による影響が大きく、アメリカ産の輸入材は高水準のまま横ばいに止まりました。(参考:経済産業省

製材の輸入物価指数

(引用:経済産業省


では、国内市場はどのような動きを見せたのでしょうか。

国産材も輸入材の高騰と比例して、丸太の価格が上昇しました。

値上がりの原因は、輸入材高騰によって国産材へ需要が一気に移ったことが考えられます。

ただし、その値上げ幅は輸入材と比べても小さく、製材や合板も同様です。

輸入製材の2021年12月時点における輸入物価指数が前年比+132%だったのに対して、国産製材は前年比+65%程度に止まりました。

(引用:経済産業省


国産材の価格も輸入材同様に2022年に入るとピークアウトし、徐々に価格は高騰前に近づきつつあります。

しかし、今後の輸入材価格の動きによって、再び上昇する可能性はゼロではありません。


2023年・木材価格の動向は?

木材の価格動向2023

2022年になると、輸入材・国産材共に微減のフェーズに入りましたが、高騰前の価格とは未だ開きがあります。

では、2023年はどのような価格動向が予想されているのでしょうか。

まず、国産材の全国平均価格を見てみましょう。

2021年4月から上昇した価格は、2022年5月にピークアウトし、少しずつではありますが下落しています。

2023年に入ると、価格高騰前(2021年3月)の156%程度まで戻り、今後も当面は徐々に下落が続くと予想されています。

(「林野庁|モクレポNo.18」のデータを基に作成)

では、輸入材価格はどうでしょうか。

2021年4月から値上がりした輸入製材は、同年10月に一度ピークアウトしたものの、ロシア・ウクライナ情勢が始まり原油高が起こると、再びピーク時同様の価格まで戻ってしまいました。

しかし、その後徐々に下落傾向になり、2023年1月時点では値上がり直後の価格にまで戻っています。

構造用集成材や合板の価格も下降傾向にあり、2023年1月の製材輸入平均単価(総輸入額/総輸入量)は、2022年1月と比べると86%となっています。

(引用:林野庁|モクレポNo.18


国産材・輸入材ともに、“高騰前の価格に戻った”とはまだまだ言えませんが、下降傾向であることは間違いありません。

楽観視できる状況ではありませんが、悲観的になる必要もないでしょう。

今後も社会情勢やアメリカ・中国などの住宅市場、円安の状況を注視しつつ、価格の動向を見ていくことが重要です。

ポイント
化粧板の基材となる合板の価格はピーク時から下降しましたが、突板はまだまだ値上がり前の価格とは差があり、円安の影響で事業社が減少しているのが現状です。
そのような現状においても、私たち“恩加島木材”は、長年培ったネットワークを活かし、全力で材料確保と安定供給に努めています。


木材価格の高騰は「輸入材依存から国内産利用への転換期」

国産材

2021年の木材価格高騰は、建築業界へ大きなダメージを与えました。

特に輸入材による影響は大きく、価格だけではなく納期遅延や供給不安定によって、工期延長などの問題も引き起こしたのです。

そこで、大手ゼネコンをはじめとして、輸入材依存からの脱却が始まりました。

2022年の輸入量を見てみると、丸太は前年比−5%、製材は+1%、合板は+4%、集成材は+7%だったのに対して、2023年の丸太輸入量は、前年比-1%、製材は-49%、集成材は-52%と、軒並み減少しています。

(引用:林野庁|モクレポNo.18


その理由は、輸入材と比べて国産の構造用木材や下地用合板は政府(林野庁)が流通量をコントロールして、価格調整しており、スギ・ヒノキの価格変動が大きくないからです。

ただし、最近は北海道産など良質な丸太の価格が高騰しており、仕上げに使われる材料は値上げが予想されます。

しかし、それも輸入材の価格変動リスクと比べると、現場原価に与える影響は少ないと言えるでしょう。

輸入材ではなく国産材を積極的に利用するメリットは、以下の6点です。

  • 世界情勢に伴う資材価格高騰の影響を受けにくい
  • 運輸におけるエネルギー負荷が少ないため、原油高の影響が小さく環境問題解決に寄与できる
  • 国内や地域の経済発展に繋がる
  • 工期に合わせて確実に材料を入手できる可能性が高い
  • 高品質な木材を安定して入手しやすい
  • 地産材(地域材)を使えば、その土地に根付いた愛される建物になる


森林が国土の約2/3を占める日本において、その豊富な資源を活用しない手はありません。

政府も国産材利用を強く推し進めており、木材自給率は12年連続で増加しています。

2021年にはついに木材自給率が41.1%、建築用製材に限ると48.0%に達しました。(参考:林野庁|モクレポNo.18

今後さらに国産材の利用が進めば、価格がより安定することも期待できますし、為替の影響や世界情勢に大きく左右されることなく、現場運営が行えるようになるでしょう。

環境的・経済的・社会的意義の大きい「国産材利用」を、是非ご検討ください。

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恩加島木材の取り組みや今後の目標

私たち“恩加島木材”は、地球環境や森林維持のために様々な取り組みを行っており、国産材の積極的な利用はもちろん、製造工程の自然エネルギー活用など、トータルCO2排出量の削減に努めています。

再生エネルギーの導入

自社工場への太141kw陽光発電システムおよび蓄電池を導入いたします。
(2023年6月、稼働決定)

持続可能な製品の開発製造

植林木を利用した人工突板の開発を進めています。

地産材の積極的利用

日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)


「建築デザインに環境への配慮を反映させたい」「長く愛され続ける建物にしたい」そのようにお考えの方は、ぜひ私たち”恩加島木材工業”の突板製品をご採用ください。


〈関連ページ〉

恩加島木材工業株式会社|製品案内|原産地(日本)

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創業70年の技術と経験が創る“恩加島木材”の突板化粧板製品

内装仕上げに木材を使う場合は、“突板化粧板”をおすすめします。

無垢材は施工時の含水率と時間が経過した状態の含水率の変動によって、反りや木割れが起きてしまうリスクは避けられません。

一方、突板化粧板は寸法安定性の高い合板などを基材にするため、施工性も高く湿度変化によって変形する心配が少ないのです。

実は、突板の原料は水分を多く含む生材(なまざい)。

柔らかい生材を薄くスライスしてから含水率10〜15%にまで乾燥させて基材と張り合わせることで、美しい木目を表現できます。

私たち“恩加島木材工業”は、1947年に創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使って、良質でバラエティに富んだ内装材を提供し続けてきました。

突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しています。

0.2mmという極薄にスライスされた突板は気温や湿度により、生き物のように大きく変化します。

その小さな変化を感じながら、熟練した職人が手作業でそれを貼り合わせていくのです。

貼り合わせた突板はその日の環境に合わせて、樹種ごとにプレス時間、温度、圧力を細かく調整し、高圧ホットプレス機で圧着し、化粧板などの製品となり、お客様の元へと届きます。

木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。

内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせないと言っても過言ではありません。

輸送過程での二酸化炭素排出量を大きく削減できる地産材(地域材)の取り扱いもございますので、ウッドインテリアをご検討中の方は、ぜひ一度“恩加島木材工業”の製品をご覧ください。

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KDパネルとは

KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板です。

天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。

恩加島木材工業が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。

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PANESSE(パネッセ)

天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを実現。

樹種も40種類以上からお選びいただけますし、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。

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リブパネル・ルーバー

最近トレンドのリブパネルやルーバーも、その他化粧板と同じ樹種で製造しております。

リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

ルーバーも同様で、精度の高い高意匠ルーバーとして人気商品となっています。

基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物にもご採用いただけます。

リブパネルはHPより規格書もダウンロードできますので、是非ご検討ください。

▶︎製品の詳細はこちらから


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用途を問わず様々な施設にご採用いただいております

恩加島木材の突板製品は、建物の用途を問わず様々な施設にご採用いただいております。

ホームページでは随時、施工事例や納入実績を紹介していますので、気になる方はぜひ併せてご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|納入実績

恩加島木材工業株式会社|施工事例

一口メモ
世界的に著名な建築家・隈研吾氏が主宰する隈研吾建築都市設計事務所が設計した「和歌山県・有和中学校」新校舎にも、当社突板製品が採用されました。




まとめ|国産材利用も視野に入れて価格変動のリスクを軽減しましょう

2021年に急騰した木材価格ですが、2023年に入り輸入材・国産材共に、加工傾向が強いです。

ただし、高騰前に戻るにはもう少し時間がかかりそうですし、世界情勢によっては、再び値上がりする可能性もゼロではありません。

価格変動によるリスクを少しでも軽減するためには、国産材の積極的利用を視野に入れる必要があるでしょう。

最近は国産材でも取り扱い樹種が増えており、内装仕上げ材のレパートリーも徐々に増えてきています。

国産材を建物に取り入れたい方は、ぜひ私たち“恩加島木材”へご相談ください。

長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただきます。

製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。

「環境に配慮した製品を取り入れたい」「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。




日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。

不燃突板複合板大臣認定取得





恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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