心材・辺材に違いはある?それぞれの役割や特徴について解説
皆さんは、設計やデザインを検討する際に、木の素材について詳しく考えたことはありますか?
実は、同じ一本の木でも、材料を切り出す場所によって特性が異なります。
特徴が大きく異なるのが、「心材」と「辺材」です。
耐久性や色味などの違いを知っておくことで、より理想に近い材料を選べます。
そこで、今回は「心材」と「辺材」の違いについて、構造面だけではなく、耐久性や色味など様々な観点から詳しく解説します。
「温もりのあるウッドインテリアデザインを実現させたい」「本物の“木”にこだわった材料を使いたい」そのようにお考えの方は、是非参考にしてください。
●「心材」と「辺材」とでは、含水率や強度、色味、耐久性の違いによって、適切な用途も異なります。
●恩加島木材は、環境に配慮しつつ国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。
Contents
心材・辺材とは?
木は中心から近い部分と樹皮に近い部分とで呼び名が異なります。
下の写真の通り、木の中心(髄)に近い部分が「心材」、樹皮に近い部分が「辺材」です。
単に名称の違いだけではなく、構造にも違いがあるのですが、それを解説する前にまずは木の成長する仕組みを見てみましょう。
木の根が地中から吸い上げる水分は、幹の外周にある辺材を通って、枝や葉に伝わります。
そのため、樹木の成長に伴い樹皮のすぐ内側の形成層でどんどんと幹が作られ、段々と太くなっていくのです。
辺材は“水の通り道”と“養分を蓄える”部分なのですが、幹が太くなるにつれて役割を終えて、心材に代わっていきます。
つまり、辺材は“生命活動が活発”であり、心材は“生命活動を終えた”部分ということです。
ただし、心材は全ての木材に含まれるという訳ではありません。
〈芯持ち材〉
樹心、つまり芯を含みその周辺の心材を切り出した木材で、幹の細い木からは芯持ち材しか取れません。
〈芯去り材〉
芯を避けて心材・辺材を切り出した木材で、幹の太い木から取れます。
エゾマツやトドマツのように一部の樹種は、心材と辺材の区別がほとんどないものもありますが、木材を選ぶ際にはそれぞれの違いを理解した上で判断しなくてはいけません。
心材と辺材の明確な違いは?それぞれの含水率・強度・色味・耐久性・用途は?
では、心材と辺材にはそれぞれどのような違いがあるのでしょうか?
ここでは、建築に関わりの深い「含水率」「強度」「色味」「耐久性」「用途」について、詳しく見ていきます。
含水率
辺材は根から水を吸い上げて枝や葉まで運ぶ“道”であり、さらに養分を溜め込んで木部を太くしていく役割を担っています。
一方、心材は辺材としての役割を終えた部分なので、生命活動はしていません。
そのため、辺材は水分量が多く、心材は少ないという特徴を持ちます。
針葉樹の生材(生木)でそれぞれの含水率を比べてみると、辺材は100〜200%なのに対して、心材は40〜50%程度しかありません。
ただし、スギなどの一部の樹種は、心材にも多く水分を含んでいるものもあり、「黒心材」と呼ばれています。
黒心材は断面が乾きづらく色味が良くないため、あまり好まれず合板などにしか活用されてきませんでしたが、最近は乾燥技術の進歩によって無垢板材としても使われるケースも増えてきています。(参考:農林水産省|黒心材の可能性を探る)
強度
辺材と心材で強度に違いはありませんが、一般的には含水率が高いほど強度は弱く、乾燥材ほど強いため、生材の状態では強弱の差はあります。
ただし、建築に使われる木材は必ず生材の状態から乾燥させるため、同じ含水率になれば強度はさほど変わらないというのが基本的な考え方です。
強度を判断するのであれば、未成熟材と成熟材を比較してみましょう。
一般的に、樹心から15年輪までが「未成熟材」、それ以降が「成熟材」と呼ばれます。
「未成熟材」は仮道管長が短く、強度も弱いなどの特徴があります。
針葉樹構造材では、「未成熟材」の強度は「成熟材」よりも小さく、曲げ強さで 50~90%、曲げヤング係数で 45~75%程度となる記述もあります。
広葉樹における未成熟材の強度低下は針葉樹ほど大きくないと言われています。
(引用:長野県|木材強度の論争(前編)「辺材」と「心材」、「心持ち材」と「心去り材」、どっちが強い!?)
つまり、「心材」か「辺材」かで強度を区別するのではなく、「未成熟材」と「成熟材」で区別をするのが正しいと言うことです。
ただし、一般的には建築用木材として製材される場合は、心材よりも辺材の方が成熟材の占める分量が多いため、「辺材の方が強い」と言われることが多いでしょう。
色味
ほとんどの樹種において、心材は赤っぽい色をしているため「赤身」と呼ばれ、辺材はそれよりも白っぽいので「白身」と呼ばれます。
赤身の水分量が多いと黒ずみ「黒心」と呼ばれることもあり、製材業者は丸太の断面の色合いを見て、競り落とします。
耐久性
辺材の方が含水率が高いため、腐朽しやすく虫にも食べられやすいです。
木材を腐らせる腐朽菌にとっては、含水率150%以上が繁殖しやすい環境と言われています。(参考:日本建築士会連合会|木材と腐朽)
一方、キクイムシやナガシンクイムシ、シバンムシなど木材を食べる虫も、乾燥して硬い心材よりも水分を含んで柔らかい辺材を好みます。
含水率や硬さの違いだけではなく、心材(赤身)は辺材(白身)よりもカンフルなどの防虫成分樹種成分を多く含み、木材として住宅に使われる際もシロアリ被害を受けにくいと人気です。
用途
ここまで、強度や色味、耐久性などを比較しましたが、それらの特徴を総合すると、適した用途が見えてきます。
心材 | 含水率が低く腐朽・虫害のリスクが低いが、色味が悪いものもある。乾燥していて細かな加工をすると割れやすい。 →柱・梁などの「構造部材」に適している |
辺材 | 含水率が高く腐朽・虫害のリスクはあるものの、木目が美しい →「仕上げ材」に適している |
ただし、樹種によってこの特性が当てはまらない場合もあるため、適切な材料を選ぶためには、豊富な知識を持つ会社に相談することが重要です。
その後、程よく乾燥することで、化粧板にする際の材料変形や変質を抑えることができ、良質な仕上げ材ができるのです。
このように、突板化粧板は心材を使うことが多いですが、“恩加島木材”では、心材と辺材、つまり白身と赤身のコントラストを活かし、個性的なデザインの突板も製造しております。
“天然木では表現できない”一味違う木目を求める方は、ぜひご検討ください。
〈おすすめコラム〉
突板でデザインの幅が広がる。「突板」のメリットから無垢材などとの違いまで解説
木目ラインナップが豊富な“恩加島木材”の突板化粧板
私たち“恩加島木材工業”は、1947年に創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使って、良質でバラエティに富んだ内装材を提供し続けてきました。
突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しています。
0.2mmという極薄にスライスされた突板は気温や湿度により、生き物のように大きく変化します。
その小さな変化を感じながら、熟練した職人が手作業でそれを貼り合わせていくのです。
貼り合わせた突板はその日の環境に合わせて、樹種ごとにプレス時間、温度、圧力を細かく調整し、高圧ホットプレス機で圧着し、化粧板などの製品となり、お客様の元へと届きます。
木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。
内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせないと言っても過言ではありません。
輸送過程での二酸化炭素排出量を大きく削減できる地産材(地域材)の取り扱いもございますので、ウッドインテリアをご検討中の方は、ぜひ一度“恩加島木材工業”の製品をご覧ください。
KDパネルとは
KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板です。
天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。
恩加島木材工業が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。
PANESSE(パネッセ)
天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを実現。
樹種も40種類以上からお選びいただけますし、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。
〈関連コラム〉
恩加島木材の豊富な突板化粧板ラインナップ 厚さと基材の種類を紹介
樹種別の特徴や木目のトレンドは?恩加島木材の人気樹種や選び方のポイントを解説
リブパネル・ルーバー
最近トレンドのリブパネルやルーバーも、その他化粧板と同じ樹種で製造しております。
リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。
ルーバーも同様で、精度の高い高意匠ルーバーとして人気商品となっています。
基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物にもご採用いただけます。
リブパネルはHPより規格書もダウンロードできますので、是非ご検討ください。
〈関連コラム〉
天然木の風合いを生かした“ルーバー”と“リブパネル” 特徴や不燃対応について徹底解説
突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介
用途を問わず様々な施設にご採用いただいております
恩加島木材の突板製品は、建物の用途を問わず様々な施設にご採用いただいております。
ホームページでは随時、施工事例や納入実績を紹介していますので、気になる方はぜひ併せてご覧ください。
恩加島木材の取り組みや今後の目標
私たち“恩加島木材”は、地球環境や森林維持のために様々な取り組みを行っており、国産材の積極的な利用はもちろん、製造工程の自然エネルギー活用など、トータルCO2排出量の削減に努めています。
再生エネルギーの導入
自社工場への太141kw陽光発電システムおよび蓄電池を導入いたします。
(2023年6月、稼働決定)
持続可能な製品の開発製造
植林木を利用した人工突板の開発を進めています。
地産材の積極的利用
日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
「建築デザインに環境への配慮を反映させたい」「長く愛され続ける建物にしたい」そのようにお考えの方は、ぜひ私たち”恩加島木材工業”の突板製品をご採用ください。
〈関連ページ〉
〈関連コラム〉
今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説
“人工突板”は天然木由来の建材。基礎知識やウッドショックとの関連性について解説
まとめ|心材・辺材の特徴を理解して材料選びに活かしましょう
同じ木から切り出された木材でも、心材と辺材とでは色味も特徴も異なります。
そのため、見た目だけで材料を選ぶのではなく、必ずそれぞれの特徴を知っておきましょう。
仕上げ材を選定する場合は、木目や色合いの美しい「辺材」がおすすめです。
しかし、含水率が高く乾燥が不十分な無垢材を使うと、施工後に時間が経ってから変形や木割れを起こすリスクがあります。
そこで“恩加島木材”がおすすめするのが、「突板製品」。
施工性や寸法安定性と、無垢材の持つ“木本来”の質感の両方を兼ね備えている点が強みです。
“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。
製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。
「環境に配慮した製品を取り入れたい」「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
〈日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”
建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。
天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。
しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。
- 重い
- 割れやすい
- 高コスト
- ビスが効かない
それらの問題を解決したのが、「恩加島木材の不燃突板複合板」です。
天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。
日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。
恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします
「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。
随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。