造作建具でこだわりのデザインに。既製建具との違いやメリット・おすすめ面材まで解説
インテリアデザインの良し悪しを左右する要素はいくつもありますが、内装材や家具と合わせて忘れてはいけないのが、ドアや扉です。
プランによっては視野の大きな面積を占める場合もあるため、そのデザイン性はポイントとなります。
デザインや納まりにこだわりたい場合におすすめなのが、「造作建具」。
そこで、今回は「造作建具」の基礎知識から、おすすめの仕上げ面材まで詳しく紹介します。
「トータルデザインにこだわったインテリア空間に仕上げたい」そのようにお考えの方は、是非参考にしてください。
●仕上げの面材によって雰囲気や特徴が異なりますので、適切な材料を選びましょう。
●恩加島木材は、環境に配慮しつつ国内外から多数の天然突板を仕入れ、高品質な製品をご提供しています。
Contents
造作建具・既製建具の違いは?
そもそも「建具」とは、建築用語では空間を仕切り、開け閉めできるドア・障子・襖・扉・窓などを総称する言葉です。
大きく「造作建具」と「既製建具」に分けられます。
〈造作建具〉
プランに合わせて採寸を行い、専門業者が一からオーダーメイドで製作します。
枠は別途必要で、現場にて設置・建て付け調整をします。
〈既製建具〉
建材メーカーなどが工場にて規格に沿って大量生産する建具です。
ドア・扉本体と、枠やハンドルその他のパーツが全てセットになっており、現場では取り付けのみをします。
日本では元々“造作建具”が主流でしたが、近年はハウスメーカーの台頭や建築の規格化が進み、工場で同じドアを大量生産する“既製建具”が一般的になりました。
しかし、デザインやディテールにこだわる現場では、やはり“造作建具”を取り入れるケースは少なくありません。
造作建具のメリット・デメリット
建築の設計やデザインに携わる方にとって、決して無視できない“造作建具”ですが、具体的にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット
- 現場に合わせてサイズを細かく設定できる
- 建物利用者に合わせて使いやすく設計できる
- 素材やデザインにもこだわれて、選択肢も多い
- 床・壁・天井・家具などとトータルコーディネイトしやすい
造作建具最大のメリットは、“設計・デザインの自由度が高い”という点です。
既製品のような規格サイズに捉われず、現場に合わせた設計ができます。
既製建具も特注サイズのオーダーはできますが、大抵は設計範囲に制限があるため注意しましょう。
建物利用者に合わせて細かい設定ができる点も魅力です。
ドアハンドルの高さや丁番の種類、枠の納まりなど、意匠面だけではなくバリアフリー・ユニバーサルデザインの観点からも自由度が高いため、小学校や病院などの施設でも造作建具を採用するケースは少なくありません。
また、店舗やホテルなど高いデザイン性が求められる空間においても、床・壁・天井・家具などとの統一性を重視して、同じ面材を使った造作建具が多く採用されています。
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デメリット
- オーダーメイドなので、納期が長くコストが割高
- 機械による製作ではなく、手作業も交えるため、細かいデザイン表現が難しい場合がある
造作建具は、現場に合わせて一から設計・デザイン・製作を行うため、どうしても納期がかかってしまいますし、手間がかかるためコストは割高です。
また、サイズによっては材料ロスが多く出てしまうことも否めません。
そして、ほぼ全ての工程を機械に頼る既製建具とは異なり、人の手が加わることの多い造作建具においては、装飾的なデザインや細かい納まりが表現しきれない場合もあります。
造作建具・既製建具どちらを選ぶべき?
では、建物の設計・デザインをする際に、造作建具と既製建具のどちらを選べば良いのでしょうか?
ここでは、ケースごとにどちらがおすすめかを改めて紹介します。
〈既製建具がおすすめ〉
- 納期が迫っている・工期が短い
- 工事の効率性を重視する
- 予算が厳しい
- マンションやオフィスなど同じ建具が大量に必要
〈造作建具がおすすめ〉
- デザインにとことんこだわりたい
- 表面材にこだわりたい
- オリジナリティのある空間にしたい
- 統一感があってまとまりのあるデザインにしたい
既製建具・造作建具どちらが良い悪いではなく、設計主旨や予算、工期などに合わせて適切な方法を選ぶことが重要だということです。
そのため、ほとんどの現場では、それぞれを適材適所に組み合わせて採用しています。
造作建具の仕上げで使われる材料は?
設計・デザインの自由度が高い“造作建具”ですが、ご予算や取り付ける場所に合わせて仕上げ面材を選ぶことができます。
ここでは、主な材料を6つ紹介します。
オレフィンシート・オレフィン化粧板
オレフィンとは、ポリプロピレンやポリエチレンなどを主原料とした表面材で、基材にパーティクルボードや合板を貼り合わせたものがオレフィン化粧板です。
耐水性に優れているため、キッチンの扉面材などに使われます。
色柄は、プリントで表現するため、バリエーションが豊富です。
塩化ビニル(PVC)を含んでいないため、環境配慮型の材料としても注目されています。
メラミン化粧板
メラミン樹脂やフェノール樹脂を紙に含浸させて何枚も重ね、高温高圧でプレスして作る“高圧メラミン化粧板”と、表面にのみ樹脂を染み込ませた紙を使い、基材にはパーティクルボードや合板を用いる“低圧メラミン化粧板”があります。
どちらも色柄はプリントなので、デザインバリエーションが豊富です。
また、高圧メラミン化粧板は、表面が固く、耐汚染性・耐候性・耐水性に優れているため、公共施設や水回りのカウンター材やパーテーションなどに使われます。
ポリエステル化粧板
様々な色柄をプリントした化粧紙をパーティクルボード・合板に貼り付け、表面にポリエステル樹脂を塗布した化粧板で、安価な点がメリットです。
ただし、表面強度はほとんどなく、傷がつきやすく耐久性も低いため、あまりドアには使われません。
稀に収納扉などに使われることがありますが、すぐに摩耗して表面の色柄が落ちてしまうため、採用する際は注意しましょう。
無垢材
無垢材とは、天然木をそのままカットして表面加工などを施したもので、メラミン化粧板やオレフィン化粧板のように印刷された木目ではないため、本物ならではの風合いをデザインに取り入れられます。
また、触り心地が柔らかい点も人気のポイントです。
ただし、どうしても材料は重いですし、温度や湿度によって伸縮や反りが発生しやすいという注意点もあります。
木目に沿って割れやすいため、細かい加工が難しい点も考慮しましょう。
コストが高めで同じ木目の材料を大量に入手することは難しいため、いくつものドアを作るというよりは、“一点もの”の建具におすすめです。
定期的なオイル塗装などが必要な場合もあるため、ある程度お手入れができる場所に取り入れてみてください。
突板化粧板
突板化粧板は、天然木を仕上げに使った唯一の化粧板です。
突板は、天然木を0.2~0.3mm程度のシート状にスライスしたもので、表面材としては薄いため触り心地は無垢材と比べると硬いものの、軽量で品質が安定しやすいという特性があります。
また、基材には合板などを用いるため、伸縮や反り・木割れなどのリスクを軽減でき、細かい加工も可能な上に、低コストなのも魅力です。
その他の化粧板は色柄をプリントするため、どうしても本物の質感は表現できませんが、突板化粧板の表面は、まさに“天然木そのもの”。
無垢材のような風合いを保ちつつも、軽量で伸縮・反りを抑えられるという特徴からも、本物志向の方におすすめの化粧板です。
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格子ドア・リブパネルも人気
日本古来から伝わる美しい“格子戸”の人気が再燃しています。
洋風建築に取り入れられるケースも多く、通風・採光に優れていながらも、適度に人の視線を遮り、空間を緩やかに分けられる点が魅力です。
また、凹凸のある見た目が高級感漂うリブパネルを用いた建具も、商業施設を中心に多く採用されています。
無垢材でも製作することはできますが、やはり湿度・温度の変化による変形が気になるという方も多いでしょう。
そこでおすすめなのが、突板を用いた格子(ルーバー)材・リブ材です。
寸法安定性が高く軽量なので、施工面でのメリットもあります。
一味違う建具を設計・デザインに取り入れたい方は、ぜひ格子(ルーバー)ドアやリブパネルもご検討ください。
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恩加島木材は高品質な突板製品を取り扱っています
私たち“恩加島木材工業”は、1947年に創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使って、良質でバラエティに富んだ内装材を提供し続けてきました。
常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に突板を選定しています。
0.2mmという極薄にスライスされた突板は気温や湿度により、生き物のように大きく変化します。
その小さな変化を感じながら、熟練した職人が手作業でそれを貼り合わせていくのです。
貼り合わせた突板はその日の環境に合わせて、樹種ごとにプレス時間、温度、圧力を細かく調整し、高圧ホットプレス機で圧着し、化粧板などの製品となり、お客様の元へと届きます。
木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。
内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせないと言っても過言ではありません。
輸送過程での二酸化炭素排出量を大きく削減できる地産材(地域材)の取り扱いもございますので、ウッドインテリアをご検討中の方は、ぜひ一度“恩加島木材工業”の製品をご覧ください。
KDパネルとは
KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板です。
天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。
恩加島木材工業が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。
PANESSE(パネッセ)
天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを実現。
樹種も40種類以上からお選びいただけますし、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。
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リブパネル・ルーバー
最近トレンドのリブパネルやルーバーも、その他化粧板と同じ樹種で製造しております。
リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。
ルーバーも同様で、精度の高い高意匠ルーバーとして人気商品となっています。
基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物にもご採用いただけます。
リブパネルはHPより規格書もダウンロードできますので、是非ご検討ください。
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用途を問わず様々な施設にご採用いただいております
恩加島木材の突板製品は、建物の用途を問わず様々な施設にご採用いただいております。
ホームページでは随時、施工事例や納入実績を紹介していますので、気になる方はぜひ併せてご覧ください。
恩加島木材の取り組みや今後の目標
私たち“恩加島木材”は、地球環境や森林維持のために様々な取り組みを行っております。
再生エネルギーの導入
自社工場への141kw太陽光発電システム(および蓄電池を導入いたします。
(2023年6月、稼働決定)
持続可能な製品の開発製造
植林木を利用した突板の開発を進めています。
地産材の積極的利用
日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
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まとめ|造作建具で洗練された空間に
建具は、人が空間を見たときの第一印象に関わる部位です。
そのため、やはりデザインにはこだわりたいですよね。
そこでおすすめなのが、「造作建具」。
既製建具では納まらないプランを実現できますし、床や壁、天井などと合わせたトータルコーディネイトも可能となります。
プリントされた化粧板を使うのも良いのですが、木の質感にこだわりたい方には、「突板化粧板」がおすすめです。
“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。
製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。
「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
〈日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”
建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。
天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。
しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。
- 重い
- 割れやすい
- 高コスト
- ビスが効かない
それらの問題を解決したのが、「恩加島木材の不燃突板複合板」です。
天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。
日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。
恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします
「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。
随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。