“ESG投資”とは?基礎知識をわかりやすく解説。建築との関係性についても

ESG投資とは

突然ですが、皆さんは「ESG投資」という言葉を聞いたことはありますか?

欧米諸国をはじめとした国々で積極的に取り組まれている投資手法です。

しかし、まだまだ日本においてはそれほど浸透・認知されていません。

そこで、今回は「ESG投資」の基礎知識から成り立ちや、建築との関連性についてお話しします。

「社会的意義の大きな建物にしたい」「環境に配慮した建築プロジェクトを実現させたい」そのようにお考えの方は、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
●ESG投資とは、「環境」「社会」「企業統治」を投資判断の際に重要視する手法で、その企業の中長期的持続可能性を判断します。
●ESGを意識した建築デザインにすることで、その建物のサスティナビリティや社会的意義がアピールできます。
●恩加島木材は、環境に配慮しつつ国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。




“ESG投資”とは?日本ではいつから広まった?

ESG投資の変遷

ESGとは、「環境(Environment)」・「社会(Social)」・「企業統治(Governance)」の略語で、投資先が社会に対してへどのような取り組みをしているかを評価した上で、投資先を選定するのが「ESG投資」です。

これだけ聞くと、慈善活動や寄付、援助のようなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、相当の投資リターンを追求することで事業として成立させる点が大きな違いです。

昨今話題のSDGsとも関わりが深く、サスティナブル投資(サスティナブルファイナンス)の一種として認知されています。

社会全体を見据えて長期的な発展の“持続可能性(サスティナビリティ)”に着目した投資戦略であり、財務状況などの通常見る評価項目に加え、地球環境に対する取り組みや社会貢献度も見て投資するかどうかを判断します。

短期的な収益を見据えるというよりも、中長期的な安定したパフォーマンスを目的とした投資であり、今や世界の“スタンダード”になりつつあります。

では、このESG投資はどのような経緯で世界中に広まっていったのでしょうか。

今までの変遷について見ていきましょう。

1920年代 

アメリカにて宗教上などの理由により、タバコや酒類、ギャンブル産業などへの投資が禁止されました。

それまでの営利のみを目的とした投資から、社会的意義を備えた投資という選択肢が増えたきっかけと言われています。

1990年代

先進諸国をはじめとした国々で、社会問題や環境問題への意識が高まり、ESGの理念が浸透し始めました。

2006年 国連PRIが発足

国連PRI(国連責任投資原則)が採択され、投資にESGの視点を取り入れることを機関投資家の原則として位置付けました。

これにより一気にESG投資が広まったのです。

2014年 金融庁が「責任ある機関投資家の諸原則」発表

世界から遅れを取り、日本でも投資においてESGを原則とする「責任ある機関投資家の諸原則」が発表されました。

機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティ(ESG 要素を含む中長期的な持続可能性)の考慮に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、「顧客・受益者」(最終受益者を含む。以下同じ。)の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を意味する。

(引用:金融庁

これによって、日本国内でも一気にESG投資の認知度が上がり、一般の方へも浸透し始めました。

ESG評価の高い企業は、CSR(企業の社会的責任)への意識があるとされ、社会的意義や成長持続性がある企業として評価されます。


海外ではSDGs実現へ向けた取り組みのうちの一つとしてスタンダードな手法とされています。

また、投資を受ける企業も、ESGへの貢献度が投資判断に影響することが当たり前という考え方が浸透しています。

しかし、日本においてはまだまだ投資する側・投資を受ける側双方の意識が追いついておらず、ESG投資やサスティナブル投資への意識が低いのが現状です。

【運用資産全体に占めるサステナブル投資の割合】

(引用:日経ESG|サステナブル投資への意識、日本と世界で差

【サステナブルファンドに魅力を感じるか】

(引用:日経ESG|サステナブル投資への意識、日本と世界で差

しかし、人・建物が長寿命化している現代においては、ESGを意識した取り組みをしている企業に資金が集まる傾向が強いため、日本においても投資をする側だけではなく、投資を受ける企業もESGを意識した経営戦略が必要となるでしょう。

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建築の関係性は?ESG投資を意識した建築デザインとは?

では、“建築”と“ESG”には、具体的にどのような関係があるのでしょうか。

国土交通省は、建築(不動産)とESG投資の関係性を以下のように示しています。

「E(環境)」

  • 住居の省エネ対策の向上
  • 再生可能エネルギーの活用

「S(社会)」

  • 健康的・快適な生活の実現
  • 災害への対応
  • エリアマネジメント
  • 少子高齢化へ対応したデザイン

「G(ガバナンス)」

  • 環境対策などの情報開示と透明性
  • ダイバーシティの実現

ESGを建築設計や建築デザインに取り入れることで、その建物の社会的価値が向上し、投資対象として高く評価される可能性が高まります。

(参考ページ:国土交通省|我が国不動産へのESG投資の促進に向けて


ESGを踏まえた建築デザインの例としては、以下のような方法が挙げられます。

・建築物(中高層建築物)の木造化

年々、中高層建築物の木造事例が増えていますが、木材の利用は「環境負荷の軽減」につながります。

特に、産地を国内に限定した国産材の利用は、日本の森林資源活性化や林業・製材業の繁栄、地方経済の発展へ直結するため、政府も積極的に取り組んでいます。

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・内装の木質化

法律の未整備やコストなどの関係で、中規模以上の建築物を木造にするハードルはまだまだ高いのが現状で、実現するのは決して容易ではありません。

そこでおすすめなのが、「内装の木質化」。

特定建築物であっても使用できる木質内装材もあるため、建物用途問わず採用しやすい点がメリットです。

ポイント
私たち“恩加島木材”は、不燃・難燃認定を受けた天然木突板製品を数多く製造しています。



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・省エネ設備や再生エネルギー設備の導入

平成27年に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(通称:建築物省エネ法)」が制定されて以降は、大規模建築物の省エネは実質義務化されています。

それに加え、求められている基準よりもさらに高い性能を持たせることで、ESGへの取り組みを社会へアピールできます。

太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーを活用するための設備や、省エネ性の高い設備を設計に取り入れることで、建物の持続可能性が高いと判断されるはずです。

・災害に強い防災設計

耐震性の高い構造設計だけではなく、万が一の時に備えた備蓄機能、周辺住民などの避難先受け入れなど、多方面から“災害に強い”仕様にすることで、その建物の社会貢献度をアピールできます。

・バリアフリーやユニバーサルデザインの導入

「誰にとっても使いやすい設計デザイン」は、少子高齢化が進み多様性が広がる現代において重要なポイントです。

スロープや昇降機などの物理的移動手段だけではなく、表示サインやカラー選定など、その対象は広範囲に渡ります。

ポイント
最近は、バリアフリー・ユニバーサルデザインの観点からの木材利用も進んでおり、健康面や安全面でのメリットも注目されています。


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・周辺環境に溶け込んだデザイン

周辺環境に溶け込んだファサードデザインは、その建物の持続可能性を左右します。

ランドスケープも含めた総合的な設計デザインが必要です。

・環境配慮型建築材料の選定や積極的利用

木材は、紙や木質ペレットへの再利用が可能なサスティナブル建材として認知されていますが、まだまだリサイクルされている廃材はごく一部です。

しかし、一部のメーカーでは間伐材や植林材などを使った建材の開発が進んでいますし、建築廃材を利用するケースも徐々に増えてきています。

これらを積極的に利用することは、ESG投資における有利な判断材料となるだけではなく、一般の方に対する企業イメージ向上にもつながるでしょう。

ポイント
“恩加島木材”では、成長サイクルの早い植林木を利用した「人工突板」の開発や、間伐材利用に取り組んでいます。


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恩加島木材は“内装の木質化”に関わる高品質の製品を取り扱っています

私たち“恩加島木材工業”は、1947年に創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使って、良質でバラエティに富んだ内装材を提供し続けてきました。

常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に突板を選定しています。

0.2mmという極薄にスライスされた突板は気温や湿度により、生き物のように大きく変化します。

その小さな変化を感じながら、熟練した職人が手作業でそれを貼り合わせていくのです。

貼り合わせた突板はその日の環境に合わせて、樹種ごとにプレス時間、温度、圧力を細かく調整し、高圧ホットプレス機で圧着し、化粧板などの製品となり、お客様の元へと届きます。

木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。

内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせないと言っても過言ではありません。

輸送過程での二酸化炭素排出量を大きく削減できる地産材(地域材)の取り扱いもございますので、ウッドインテリアをご検討中の方は、ぜひ一度“恩加島木材工業”の製品をご覧ください。

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KDパネルとは

KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板です。

天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。
恩加島木材工業が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。

▶︎製品の詳細はこちらから

PANESSE(パネッセ)

天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを実現。

樹種も40種類以上からお選びいただけますし、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。

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リブパネル・ルーバー

最近トレンドのリブパネルやルーバーも、その他化粧板と同じ樹種で製造しております。

リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

ルーバーも同様で、精度の高い高意匠ルーバーとして人気商品となっています。

基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物にもご採用いただけます。

リブパネルはHPより規格書もダウンロードできますので、是非ご検討ください。

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用途を問わず様々な施設にご採用いただいております

恩加島木材の突板製品は、建物の用途を問わず様々な施設にご採用いただいております。

ホームページでは随時、施工事例や納入実績を紹介していますので、気になる方はぜひ併せてご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|納入実績
恩加島木材工業株式会社|施工事例

一口メモ
世界的に著名な建築家・隈研吾氏が主宰する隈研吾建築都市設計事務所が設計した「和歌山県・有和中学校」新校舎にも、当社突板製品が採用されました。




恩加島木材のESGに対する取り組みや今後の目標

私たち“恩加島木材”は、地球環境や森林維持のために様々な取り組みを行っております。

再生エネルギーの導入

自社工場への141kw太陽光発電システムおよび蓄電池を導入いたします。
(2023年6月、稼働決定)

持続可能な製品の開発製造

植林木・間伐材を利用した突板の開発を進めています。

地産材の積極的利用

日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)


〈関連ページ〉
恩加島木材工業株式会社|製品案内|原産地(日本)

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まとめ|長期的に使い続けられる建築を目指すならESGを意識しましょう

今や、ESGへの貢献度は投資や融資先を選定する上でとても重要なポイントです。

そのため、その建物を持続可能にするためにも、ぜひ設計やデザインをする際にはESGを意識してみてください。

そこで“恩加島木材”がおすすめするのが、「内装の木質化」や「国産材・地産材の利用」です。

“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。

製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。

「環境に配慮した製品を取り入れたい」「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。




日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。

〈関連ページ〉
恩加島木材工業株式会社|各種認定





恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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