“森林経営管理制度”をわかりやすく解説。問題点から建築デザインとの関係性について
日本は世界が誇る「森林大国」ですが、その森林の経営が高齢化や人員不足などの問題で危うくなってきています。
そこで政府が設けたのが「森林経営管理制度」です。
しかし、まだまだ一般の方への認知度が低い点は否めません。
今回は「森林経営管理制度」の基礎知識やメリット・デメリット、建築との関係性について詳しく紹介します。
「ウッドインテリアを取り入れたい」「本物の“木”にこだわった材料を使いたい」とお考えの方は、是非参考にしてください。
●建築に国産材を積極的に取り入れることで、林業・製材業の繁栄を後押しすることができます。
●恩加島木材は、環境に配慮しつつ国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。
Contents
森林経営管理制度(森林経営管理法)とは?制定の背景は?
森林経営管理制度は森林経営管理法とも呼ばれ、手入れの行き届いていない放置された森林を、市町村が森林所有者から委託を受けて経営管理できる制度です。
林業に適した森林は、市町村がその地域の林業経営者に運営を再委託できるようになるため、資源を有効活用できる取り組みとして注目されています。
この制度が設けられた背景には、「所有者不明・共有者不明森林の増加」が大きく関わっています。
森林の多い地域の過疎化や少子高齢化が深刻化している中、相続時に所有者移転登記がなされていないなどが原因で、森林所有者の一部もしくは全てが不明な森林が増えているのです。
また、所有者が分かっていても森林付近に在住しておらず、実質放置されているケースも少なくありません。
所有者の分からない森林もしくは放置されている森林は、適切な経営管理やメンテナンスがなされないため、どんどん荒廃するだけではなく、地滑りなどの自然災害も生み出してしまいます。
この事態を解消すべく設けられたのが「森林経営管理制度」で、荒廃した森林を市町村が代わって運営・維持できるようになりました。
今まで放置されていた人工林の中には、日照などの自然条件がよく、林業経営に適したところも少なくありません。
しかし、制度ができる前は、個々の所有者が整備を行わなくてはならず、非効率でした。
制度を利用すれば、経営管理を集積・集約でき、より効率的に利益を生み出すことができるようになるという訳です。
市町村が森林の経営管理を取りまとめ、効率的な路網整備(森林作業道整備)や林業への活用を展開できるようになりました。
この制度の最終目的は、人工林をフル活用して林業経営を維持するだけではなく、林業・製材業を成長産業化することです。
政府が進めている「木材利用」「国産材活用」との相乗効果が期待されています。
〈関連コラム〉
今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説
“木材利用促進法”は公共施設だけではなく民間施設にも。 概略から木材利用のメリット・補助金まで詳しく解説
国が推進してる〈ウッドチェンジ〉とは?取り組みの概要から“建築”ができることについて
“森林経営管理制度”のメリットは?デメリットや問題点はある?
林業・製材業の発展や自然資源の活用を目的とした「森林経営管理制度」の具体的なメリットとはどのような点でしょうか?
また、デメリットや問題点はあるのでしょうか?
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット
- 森林所有者は、市町村に山の管理を委ねられる
- 自ら管理する場合も市町村のサポートが受けられる
- 放置された山林が正しく管理運営され、資源を有効活用できる
- 地滑りや山滑り、土石流などの自然災害や、林道崩壊などの二次災害を防げる
- 林業従事者は再委託された山林を活用し、より広い場所で植林・伐採が行える
- 所有権が集積・集約化されるため、効率的な作業道が整備でき、人件費や燃料費削減につながる
- 集約化された広範囲の山林で林業経営ができるため、より多くの人材を採用でき、高齢化・人材不足の解決につながる
デメリット・問題点
- 森林経営計画に基づき伐採・植林がされるため、その時の気分で気ままに伐採することが出来ない
- 山林所有者と林業者・市町村との間に意見のズレが生まれる可能性がある
- どうしても短いスパンで収益に直結しやすい「短伐期間伐施業」に偏りがちで、樹径の太い銘木を育てる人が減る可能性がある
そのため、「短伐期間伐施業」と「長伐期間伐施業」をバランスよく運営していくことが課題とされています。
建築デザインで林業・製材業を後押しすることが重要
「森林経営管理制度」の根本には、日本が世界に誇る森林資源の有効活用、ひいては林業・製材業の繁栄があります。
しかし、いくら森林が正しく運営管理されたとしても、そこから伐採された木々が使われなくては意味がありません。
日本の製材業における出荷額の割合を見てみると、「建築」に関わるものが半数を占めていることが分かります。
つまり、「建築」が木材利用をさらに進めることで、林業・製材業の繁栄につながり、将来的な国産材のコストダウンや更なる流通量増加も期待できるということです。
では、どのように建築へ木材を取り入れれば良いのでしょうか。
最近は、中規模以上の木造事例も増えていますが、どうしても法規面やコスト面における導入のハードルは高いのが実情です。
そこでおすすめなのが、「内装の木質化」。
インテリアデザインに国産材や地域材(地産材)を取り入れることで、確実に木材自給率アップにつながります。
また、その建物の社会的意義のアピールや企業イメージアップなどの多面的なメリットも生み出す点にも注目してみてください。
ウッドインテリアを取り入れたい方は、ぜひご検討ください。
〈関連コラム〉
ウッドインテリアを取り入れて長く愛される建物に。 メリット・おすすめデザインや人気の樹種を紹介
公共施設・商業施設に欠かせない不燃材料。防火性能や突板練付不燃板について解説
建築基準法で定められた“内装制限”とは? 概略や緩和から「木」を取り入れる方法まで詳しく解説
恩加島木材の豊富な突板化粧板ラインナップ 厚さと基材の種類を紹介
恩加島木材は高品質な突板製品を取り扱っています
私たち“恩加島木材工業”は、1947年に創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使って、良質でバラエティに富んだ内装材を提供し続けてきました。
常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に突板を選定しています。
0.2mmという極薄にスライスされた突板は気温や湿度により、生き物のように大きく変化します。
その小さな変化を感じながら、熟練した職人が手作業でそれを貼り合わせていくのです。
貼り合わせた突板はその日の環境に合わせて、樹種ごとにプレス時間、温度、圧力を細かく調整し、高圧ホットプレス機で圧着し、化粧板などの製品となり、お客様の元へと届きます。
木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。
内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせないと言っても過言ではありません。
輸送過程での二酸化炭素排出量を大きく削減できる地産材(地域材)の取り扱いもございますので、ウッドインテリアをご検討中の方は、ぜひ一度“恩加島木材工業”の製品をご覧ください。
KDパネルとは
KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板です。
天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。
恩加島木材工業が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。
PANESSE(パネッセ)
天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを実現。
樹種も40種類以上からお選びいただけますし、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。
〈関連コラム〉
恩加島木材の豊富な突板化粧板ラインナップ 厚さと基材の種類を紹介
樹種別の特徴や木目のトレンドは?恩加島木材の人気樹種や選び方のポイントを解説
リブパネル・ルーバー
最近トレンドのリブパネルやルーバーも、その他化粧板と同じ樹種で製造しております。
リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。
ルーバーも同様で、精度の高い高意匠ルーバーとして人気商品となっています。
基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物にもご採用いただけます。
リブパネルはHPより規格書もダウンロードできますので、是非ご検討ください。
〈関連コラム〉
天然木の風合いを生かした“ルーバー”と“リブパネル” 特徴や不燃対応について徹底解説
突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介
用途を問わず様々な施設にご採用いただいております
恩加島木材の突板製品は、建物の用途を問わず様々な施設にご採用いただいております。
ホームページでは随時、施工事例や納入実績を紹介していますので、気になる方はぜひ併せてご覧ください。
恩加島木材工業株式会社|納入実績
恩加島木材工業株式会社|施工事例
恩加島木材の取り組みや今後の目標
私たち“恩加島木材”は、地球環境や森林維持のために様々な取り組みを行っております。
再生エネルギーの導入
自社工場への141kw太陽光発電システムおよび蓄電池を導入いたします。
(2023年6月、稼働決定)
持続可能な製品の開発製造
植林木を利用した突板の開発を進めています。
地産材の積極的利用
日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
〈関連ページ〉
恩加島木材工業株式会社|製品案内|原産地(日本)
〈関連コラム〉
今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説
“建てる”前に知っておくべき建築廃材の再利用とは?リサイクル方法や恩加島木材の取り組みを解説
“人工突板”は天然木由来の建材。基礎知識やウッドショックとの関連性について解説
“間伐材の利用”がSDGsのカギを握る?現状の問題点やメリット・デメリットについて解説
まとめ|森林経営管理制度は林業・製材業・建設業が共存繁栄できる仕組み
森林経営管理制度は、放置され荒廃しつつある森林を市町村主導で適切に維持管理するための制度です。
これは一見、林業・製材業を守るためだけの取り組みに感じるかもしれませんが、国産材が豊富に市場へ出回ることは、建築・建設業にとってもメリットです。
高品質な木材を安定して国内から仕入れることができれば、コストダウンや質の良い空間の実現につながります。
ですから、ぜひ建築デザインに国産材を積極的に取り入れてみてください。
そこで“恩加島木材”がおすすめするのが、「突板製品」です。
“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。
製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。
「環境に配慮した製品を取り入れたい」「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
〈日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”
建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。
天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。
しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。
- 重い
- 割れやすい
- 高コスト
- ビスが効かない
それらの問題を解決したのが、「恩加島木材の不燃突板複合板」です。
天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。
日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。
〈関連ページ〉
恩加島木材工業株式会社|各種認定
恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします
「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。
随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
〈関連ページ〉
カタログ請求や見積依頼、お打合せ依頼等は下記ページよりお問い合わせください。
恩加島工業株式会社|お問い合わせ