木材の価格高騰はいつまで続く?歴史的円安との関係や今後の推移について解説
コロナ禍が始まり、建築業界を苦しめているのが「木材の価格高騰」。
それに追い討ちをかけるように発生したのが歴史的な“円安”です。
物価上昇など日常生活に影響も出ておりますが、建築業界もやはり同様に打撃を受けているのが事実。
そこで、今回は「木材価格の高騰」と「円安」の関係性、今後の推移についてお話しします。
プロジェクトにおける材料選びの参考にしてください。
●資材の価格高騰に耐えるためにも、社会情勢などの影響を受けにくい「国産材」の利用を検討しましょう。
●恩加島木材は、環境に配慮しつつ国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。
Contents
ウッドショックをきっかけに記録的な木材価格高騰へ
昨今、建築業界を震撼させている「ウッドショック」ですが、始まりのきっかけは2020年に発生した“新型コロナウイルス感染拡大”。
世界的に“ステイホーム”が定着し、アメリカを中心とした先進国で住宅需要が高まり、それに加えて、深刻なコンテナ不足や運輸停滞が相まったのです。
この現象が引き金となり、日本国内でも輸入材の価格高騰や納期遅延が発生しました。
輸入材の価格高騰に伴い、国産材に注目が集まりましたが、林業従事者の高齢化や人材不足、インフラの老朽化が原因で、木材の国産生産をすぐ拡大することは困難なのが現状です。
そのため、現在、国は国産材の利用を強く推し進めるために、人材育成や安定供給をできる体制を急スピードで整え始めています。
しかし、まだまだその効果は大きくなく、未だ建築プロジェクトの大半が輸入材へ依存している点は否めません。
解決の目処が経っていないロシア・ウクライナ情勢の影響で、輸入材の価格が以前の水準まで戻るまではまだ時間がかかると予想されています。
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|〈2022年版〉 木材の値段はこれからどうなる?グラフでわかる木材価格推移
恩加島木材工業株式会社|コラム|2021年ウッドショックがもたらした影響は?いつまで続く? 解決策や補助金について徹底解説
恩加島木材工業株式会社|コラム|日本の木材自給率はどれくらい?国の取り組みからウッドショック・世界情勢との関係まで詳しく解説
価格高騰に拍車をかけた歴史的“円安”
コロナ禍による経済低迷や、アメリカによる連続的な利上げがきっかけで、2022年3月頃から円安/ドル高の現象が続いています。
2022年初めと11月現在の相場を比較すると、なんと約30%ほど円安が進んでいることになります。
この現象は、輸入商品の価格に直接的な影響があり、既に木材の価格も上昇しています。
1ドル=110円の際に10,000円(90ドル)だった輸入木材が、1ドル=150円になると13,500円(90ドル)になるということです。
実際に、円安が急激に進んだ2022年3月には、米ドルの影響が特に大きいカナダ産木材の価格が急騰し、ロシア・ウクライナ情勢で一時的に値を上げた価格と同等にまでなってしまいました。
徐々に価格も落ち着きを取り戻しつつありますが、やはり以前の水準程度になるまでには、かなりの年月が必要になると予想されています。
円安は“国産材促進”を後押しする側面も
政府の為替介入によって、円安の進行は一時的に止まっているものの、まだまだドル高・円安であることには変わりありません。
このような状況下で、今まで以上に“国産木材”へ注目が集まっています。
これまでは、「輸入木材=リーズナブル」「国産木材=高価」というイメージが根強かったのですが、その印象が逆転しつつあるからです。
輸入材と国産材の価格差が一時的ではあるもののかなり縮まったため、導入への障壁が低くなっているとも考えられます。
日本は、世界の中でも森林資源が豊富な国であるため、まさにこの現象は経済回復における一つの“光”と言えるかもしれません。
木材の積極的利用は、“脱炭素化社会”や“持続可能な社会(SDGs)”の実現にも効果的とも言われています。
国も、この現状を契機に、「建物の木質化」や「国産材利用の促進」を進めており、建築業界もそれに追随し、中規模以上の建物の木造化や、国産材・地産材利用がトレンドになりつつあります。
〈参考ページ〉
林野庁|木材の利用の促進について
林野庁|建築物の木造化・木質化事例、参考資料
国土交通省|国の公共建築物の木造化率、9割超に!!
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|“木材利用促進法”は公共施設だけではなく民間施設にも。 概略から木材利用のメリット・補助金まで詳しく解説
恩加島木材工業株式会社|コラム|今“内装の木質化”が注目されている訳とは? その効果や取り入れるべき建築物について徹底解説
2022年の木材価格推移は?円安後はどうなった?
「輸入材が高く、国産材へ需要がシフトし始めている」という現状があるため、その分国産材の価格も高くなっていると思う人が多いでしょう。
結論から言うと、実は国産材についてはそれほど大きな価格変動は起きていないのが現状です。
2022年8月に一時的な高騰を見せているのは、先ほども紹介した「製材の輸入単価」の影響を受けているからです。
カナダ産製材が円安の影響で2022年7月に高騰し、需要が国産材へ急に移行したため、一時的な値上がりが起こったと考えられます。
ところが、翌月には元通りの水準まで戻っているのがお分かりいただけるでしょう。
実は、木材の価格は政府(林野庁)が流通量などをコントロールして、調整しているのです。
そのため、国産木材については今後も輸入材のような急激な値上がりはあまり心配しなくても良いでしょう。
ちなみに、輸入材は国際情勢の影響を強く受け、そこから伐採→製材→輸入の工程を経てから市場に出回るため、値上がりまで半年程度の“タイムラグ”がある可能性もあります。
ですから、今後も輸入材の価格高騰は継続することも考えられるため、比較的値段の上がり下がりが少ない国産材の需要が高まっているのです。
果たして輸入材の価格高騰はいつまで続く?
2021年後半から高騰を続けている輸入材ですが、日本銀行のデータによると、合板と丸太は2022年以降も上昇を続けています。
しかし一方で、集成材と製材木は2021年12月の数値(集成材135%・製材木132%)を最後にピークアウトし、下落傾向が見られます。
しかし、上記グラフの通り、今後もまだまだ集成材・製材木が以前より高価格であることは変わりません。
つまり、2023年以降も建設業界に与える影響は決して小さくはなく、この状況が新築住宅の建設棟数にも顕著に表れることが懸念されています。
実際に、2018年には年間で約94.2万棟もの新築住宅が建てられていたのに対して、コロナ禍が始まった2020年には81.5万棟、2021年は85.6棟までにしか回復していません。
コロナ禍の終息は近づきつつあるものの、ロシア・ウクライナ情勢や円安の状況は変わりなく、現時点では価格高騰が終わりを告げる時期を見極めるのは時期早々と言えるでしょう。
〈参考ページ〉
経済産業省|いつまで続くウッドショック;価格の高止まりが需要に影響?
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|〈2022年版〉 木材の値段はこれからどうなる?グラフでわかる木材価格推移
木材の価格高騰を乗り越えるカギは“国産材利用”にあり
ここまで、円安と木材価格の変動についてお話ししましたが、総じて言えることは「今こそ積極的に国産材を利用をするべき」ということです。
国産材利用には、いくつものメリットがあります。
- 世界情勢に伴う資材価格高騰の影響を受けにくい
- 運輸におけるエネルギー負荷が少なく、環境問題解決に寄与できる
- 国内の経済発展に繋がる
- 工期に合わせて確実に材料を入手できる可能性が高い
- 高品質な木材を安定して入手しやすい
- 正しく管理・運営された森林が活性化する
- 世界的に問題となっている違法伐採や森林減少が食い止められる
- 地産材(地域材)を使えば、その土地に根付いた愛される建物になる
豊富な森林資源があるにも関わらず、今までその多くを輸入材に頼ってきた日本の建築業界にとって、まさに「国産材の積極的利用」が大きな課題となっています。
環境的・経済的・社会的意義の大きい「国産材利用」を、是非前向きに検討してみてください。
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説
恩加島木材工業株式会社|コラム|世界の“森林減少”が深刻。原因や実状・建築でできる対策について解説
恩加島木材の取り組みや今後の目標
私たち恩加島木材では、国内各地の地産材利用も積極的に行なっており、その材木がどのように伐採されたかをしっかりと自分達の目で確認しております。
突板の流通市場に頼らずに原木市場や製材所から直接仕入れて、自社で選木・加工・販売することも可能です。
原産地を日本国内に限定した樹種を常時取り扱っているほか、地産材を利用した突板も数多くご注文いただいております。
そのほかにも、環境に配慮した様々な取り組みを行なっています。
再生エネルギーの導入
自社工場への太陽光発電システムおよび蓄電池の導入を目指しています。
(2023年、本格導入予定)
持続可能な製品の開発製造
植林木を利用した「人工突板」の開発を進めています。
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|“人工突板”は天然木由来の建材。基礎知識やウッドショックとの関連性について解説
地産材の積極的利用
日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
〈関連ページ〉
下記ページでは、当社が常時取り扱っている国産材を使った突板のラインナップや納入実績を紹介しています。ぜひご覧ください。
“WOOD COLLECTION 2023”に出展します
“恩加島木材工業”は、2023年1月に開催される「WOOD COLLECTION 2023」に出展します。
このイベントは、国産木材の普及や価値を見出してもらうことを目的とており、日本全国から集まった企業が、木材製品や技術の展示を行います。
「“木”を生かした設計・デザインをしたい」「木製品の最新情報やトレンドを知りたい」という方は、ぜひご来場ください。
〈関連ページ〉
WOOD COLLECTION 2023(公式ページ)
製品の規格書がダウンロードできるようになりました
この度、人気の「リブパネル」について、ホームページから詳細が分かる企画書がダウンロードできるようになりました。
随時、その他の商品につきましてもダウンロードできるようになりますので、是非材料検討の参考にしてください。
〈関連ページ〉
恩加島木材工業株式会社|リプパネル・ルーバー
まとめ|木材の価格高騰に惑わされないためにも「国産材利用」を検討しましょう
輸入材は、社会情勢や経済状況の影響を直接受けやすく、その時々によって価格が大きく変動します。
大量の木材を使う大規模プロジェクトほど、その煽りを受けてしまうでしょう。
そこでおすすめなのが、「国産材の利用」です。
比較的価格が安定しているため、大幅な予算アップのリスクを軽減できます。
また、環境的・社会的意義も大きいため、“末長く愛される建物”にするためにも効果的と言えるでしょう。
そこで“恩加島木材”がおすすめするのが、「突板製品」です。
“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。
製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。
「国産材を内装にも取り入れたい」「地域に根付く建物にしたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
〈関連ページ〉
恩加島木材工業株式会社|納入実績
〈日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”
建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。
天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。
しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。
- 重い
- 割れやすい
- 高コスト
- ビスが効かない
それらの問題を解決したのが、「恩加島木材の不燃突板複合板」です。
天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。
日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。
恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします
「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。
随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
〈関連ページ〉
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