国が推進してる〈ウッドチェンジ〉とは?取り組みの概要から“建築”ができることについて
突然ですが、皆さんは「ウッドチェンジ」という言葉を聞いたことはありますか?
日本の森林がもつ可能性をさらに発揮させるために始まった取り組みです。
しかし、残念ながら、あまり一般の方にその内容が広まっていないのが現状でしょう。
そこで、今回は「ウッドチェンジ」の概略や、関連する補助金などについてお話しします。
是非、皆さんの設計やデザインの参考にしてください。
●「ウッドチェンジ」の取り組みの中でも、建築の木造化や内装の木質化は重要視されています。
●恩加島木材は、環境に配慮しつつ国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。
Contents
「ウッドチェンジ」とは?
日本は、その国土のの67%、2/3が森林である世界でも有数の“森林大国”です。
特に、戦後に造成された人工林は森林全体の約40%を占めており、今まさに利用期を迎えています。
その貴重な人工森林資源を生かすために重要視されているのが、「伐って、使って、植えて、育てる」の“森林循環(サイクル)“。
木材として加工するためにある程度木を伐採し、また植林することで、森は活性化するとされています。
林野庁では、この“森林サイクル”を促進させる目的で、2005(平成17)年から建築の木造化・木質化や、木製品化の拡大を図る取り組みを行なっています。
その一環として、広く国民にアピールしているのが「ウッドチェンジ」です。
ウッド・チェンジとは、身の回りのものを木に変える、木を暮らしに取り入れる、建築物を木造・木質化するなど、木の利用を通じて持続可能な社会へチェンジする行動を指します。
引用元:林野庁|ウッド・チェンジロゴマークの使用について
「鉄筋コンクリート造や鉄骨造から木造に変えてみる」
「ウッドインテリアを取り入れてみる」
「家具など手に触れるものを木製にする」…
林野庁では、このような木材利用の事例や意義を普及させるために、「ウッドチェンジ協議会(民間建築物等における木材利用促進に向けた協議会)」を発足し、官民が連携して活動を行なっています。
戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎える中で、豊富な森林資源を循環利用し、林業の成長産業化を実現するためには、木材の最大の需要先である建築物における木材利用を促進することが重要である。このため、本会(民間建築物等における木材利用促進に向けた協議会)では、幅広い関係者が参画し、民間建築物等における木材利用の促進に向け、課題の特定や解決方策の検討、先進的な取組の発信、木材利用に関する情報共有を行うことにより、木材が利用しやすい環境づくりに取り組むことを目的とする。
引用:民間建築物等における木材利用促進に向けた協議会(通称「ウッド・チェンジ協議会」)規約
木材、特に国産材の利用が進むことで、日本の森林は健やかに育ち、さらにその成長の過程で多くの二酸化炭素を吸収します。
また、他の建材と比べても、製造・加工過程で使われる化石燃料が少ないため、二酸化炭素排出量も抑制できる点も重要なポイント。
つまり、“ウッドチェンジ”が広まれば広まるほど、脱炭素社会の実現が近づくということです。
「公共建築物等木材利用促進法」の内容にも注目
近年では、建築工法や建材製造の技術革新が進んでおり、中高層建築物の木造化も少しづつですが増えています。
この背景には、2021(令和3)年に改正された「公共建築物等木材利用促進法」が大きく関係します。
この法律によって、それまでは対象が公共建築物のみであった“木材利用促進”が、一般建築物にまで拡大されました。
法律の中では、以下のような取り組みについての記載があります。
- 林業・木材産業に関わる事業者は、建築用木材等の適切かつ安定的な供給を確保するべく努める。
- 木造建築物の設計・施工に関わる技術の普及促進や人材育成、建築用木材・木造建築物の安全性に関する情報提供を行う。
- 木材利用を進めていくために、国や自治体と施主である事業者が「建築物木材利用促進協定」を締結し、協定締結事業者に対して、資金補助などの支援を行う。
- 強度・耐火性に優れた建築用木材の製造技術及び製造コスト低廉化技術の開発・普及の促進を行う。
(参考:林野庁|公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律 概要)
これら取り組みは法律の制定によって後押しされ始め、日本の“ウッドチェンジ”は大きく前進したと言っても良いでしょう。
〈関連ページ〉
WOOD CHANGE|会いに行こう。木と過ごす、いろんな時間に!
「木づかい運動」との違いは?
「ウッドチェンジ」の一環として行われているのが「木づかい運動」です。
「ウッドチェンジ」は国が主導の大規模な取り組みなのに対して、「木づかい運動」は国民を巻き込んだ身近な取り組みと言って良いでしょう。
林野庁では、木材を利用することの意義を皆さんに知っていただき、暮らしの中に木材製品を取り入れることで、日本の森林を育てていく運動として、「木づかい運動」を展開しています。
また、その一環として、子どもから大人までを対象に、木材や木製品との触れ合いを通じて木材への親しみや木の文化への理解を深めて、木材の良さや利用の意義を学んでもらうための活動である「木育」についても推進しています。
引用:林野庁|木づかい運動でウッド・チェンジ!
具体的には、木製品の普及活動や、木育の推進、木の価値を高める優れた建築・空間や製品、活動や仕組み、研究等を表彰する「ウッドデザイン賞」実施など行われています。
〈関連ページ〉
林野庁|使ってみよう!行ってみよう!木を見直そう!木づかいブック
木づかい.COM|木づかい運動
ウッドデザイン賞
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|“木育”とは?その目的やサスティナブル社会との関連性は? メリットから補助金について徹底解説
“建築”が取り組めるウッドチェンジとは?
ウッドチェンジの中でも、特が力を入れられているのが「建築」への木材利用促進です。
建物への木材の利用は、施主となる事業者と設計施工する建設会社の双方がその目的や意義を理解しなくてはいけません。
施主にとっては、快適な空間づくりや建物への愛着が実現し、さらにSDGsの形成や、建物への愛着心の向上に加えSDGsへの貢献、ESG投資の実現、CSR(企業の社会的責任)の向上をもたらします。
建設会社にとっても、今後より進むであろう木造化・木質化へ向けた技術開発や効率性の向上に向けた情報蓄積などのメリットがあります。
では、具体的に「建築」ができる“ウッドチェンジ”にはどのようなことがあるのでしょうか?
主に実行されている取り組みは以下の4つです。
- 低層小規模建築物の木造化
- 中規模ビルの木造化
- 高層ビルの木造化
- 内装での積極的な木材利用
しかし、残念ながら中規模ビル・高層ビルの木造化は、一部の事業者が実験的に行なっているケースが多く、まだまだ広く一般的になっているとは言えません。
そこで注目されているのが、内装における木材利用です。
建物の用途や規模に関係なく比較的簡単に取り入れることができ、取り組みの中でも最も導入の障壁が低いと言えるでしょう。
近年では、病院や学校などの公的施設から、ショッピングモールやホテルなどの商業施設に至るまで、「内装の木質化」が進んでいます。
〈参考ページ〉
林野庁|民間建築物等における木材利用促進に向けた協議会(ウッド・チェンジ協議会)
(具体的な取り組み事例が見られます。)
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|ウッドインテリアを取り入れて長く愛される建物に。 メリット・おすすめデザインや人気の樹種を紹介
自治体の取り組みや関連する補助金・補助事業は?
「ウッドチェンジ」を推し進めるために、国や自治体はいくつもの補助事業を立ち上げています。
ここではその一部を紹介します。
建築物木材利用促進協定
「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の中で決められた取り組みです。
建築物における木材利用を促進するために、国や自治体と施主である事業者が協定を組み、協定締結事業者は国や自治体から必要な支援を受けられます。
【協定締結のメリット】
<建築主となる事業者>
- ホームページに公表されることやメディアに取り上げられること等により、当該事業者の社会的認知度が向上するだけでなく、環境意識の高い事業者として、社会的評価も向上します。
- 木材利用による炭素固定など環境保全への貢献は、ESG投資など新たな資金獲得につながる可能性があります。
- 国や地方公共団体による、財政的な支援を受けられる可能性が高まります。(例:一部予算事業における加点等優先的な措置)
<林業・木材産業事業者>
- 信頼関係に基づくサプライチェーンが構築できます。
- 事業の見通しができるようになり経営の安定化が図られます。
- 林業・木材産業が環境保全に資するという国民理解の醸成が進みます。
<建設事業者>
引用:林野庁|建築物木材利用促進協定
- 信頼関係の構築による安定的な需要の確保が期待できます。
- サプライチェーンの構築による安定的な木材調達ができます。
- ホームページに公表されることやメディアに取り上げられること等により、技術力のアピールができ社会的認知度も向上します。
全国各地の補助事業
全国の都道府県や市町村では、ウッドチェンジ・木づかい運動に関わる補助事業を行なっています。
- いばらき木づかいチャレンジ事業
- 宮城県産材利用各種補助事業
- いわて木づかい住宅普及促進事業
- 長野県木づかい空間整備事業
- ちばの木の香る街づくり推進事業
- 大阪府木づかいCO2認証制度
- いしかわの森で作る住宅推進事業
上記事業はほんの一例なので、建築物の木造化・木質化や、地産材(地域材)の利用を検討している場合は、利用できる補助事業がないか事前に確認してみましょう。
恩加島木材は“内装の木質化”に関わる高品質の製品を取り扱っています
私たち“恩加島木材工業”は、1947年に創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使って、良質でバラエティに富んだ内装材を提供し続けてきました。
常備在庫はおよそ400束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に突板を選定しています。
0.2mmという極薄にスライスされた突板は気温や湿度により、生き物のように大きく変化します。
その小さな変化を感じながら、熟練した職人が手作業でそれを貼り合わせていくのです。
貼り合わせた突板はその日の環境に合わせて、樹種ごとにプレス時間、温度、圧力を細かく調整し、高圧ホットプレス機で圧着し、化粧板などの製品となり、お客様の元へと届きます。
木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。
内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせないと言っても過言ではありません。
輸送過程での二酸化炭素排出量を大きく削減できる地産材(地域材)の取り扱いもございますので、ウッドインテリアをご検討中の方は、ぜひ一度“恩加島木材工業”の製品をご覧ください。
KDパネルとは
KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板です。
天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。
恩加島木材工業が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。
PANESSE(パネッセ)
天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを実現。
樹種も40種類以上からお選びいただけますし、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|恩加島木材の豊富な突板化粧板ラインナップ 厚さと基材の種類を紹介
恩加島木材工業株式会社|コラム|樹種別の特徴や木目のトレンドは?恩加島木材の人気樹種や選び方のポイントを解説
リブパネル・ルーバー
最近トレンドのリブパネルやルーバーも、その他化粧板と同じ樹種で製造しております。
リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。
ルーバーも同様で、精度の高い高意匠ルーバーとして人気商品となっています。
基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物にもご採用いただけます。
リブパネルはHPより規格書もダウンロードできますので、是非ご検討ください。
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|天然木の風合いを生かした“ルーバー”と“リブパネル” 特徴や不燃対応について徹底解説
恩加島木材の取り組みや今後の目標
私たち恩加島木材では、その材木がどのように伐採されたかをしっかりと自分達の目で確認しております。
突板の流通市場に頼らずに原木市場や製材所から直接仕入れて、自社で選木・加工・販売することも可能です。
原産地を日本国内に限定した樹種を常時取り扱っているほか、地産材を利用した突板も数多くご注文いただいております。
そのほかにも、環境に配慮した様々な取り組みを行なっています。
再生エネルギーの導入
自社工場への太陽光発電システムおよび蓄電池の導入を目指しています。
(2023年、本格導入予定)
持続可能な製品の開発製造
植林木を利用した「人工突板」の開発を進めています。
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|“人工突板”は天然木由来の建材。基礎知識やウッドショックとの関連性について解説
地産材の積極的利用
日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
〈関連ページ〉
下記ページでは、当社が常時取り扱っている国産材を使った突板のラインナップや納入実績を紹介しています。ぜひご覧ください。
“WOOD COLLECTION 2023”に出展します
“恩加島木材工業”は、2023年1月に開催される「WOOD COLLECTION 2023」に出展します。
このイベントは、国産木材の普及や価値を見出してもらうことを目的とており、日本全国から集まった企業が、木材製品や技術の展示を行います。
「“木”を生かした設計・デザインをしたい」「木製品の最新情報やトレンドを知りたい」という方は、ぜひご来場ください。
〈関連ページ〉
WOOD COLLECTION 2023(公式ページ)
製品の規格書がダウンロードできるようになりました
この度、人気の「リブパネル」について、ホームページから詳細が分かる規格書がダウンロードできるようになりました。
随時、その他の商品につきましてもダウンロードできるようになりますので、是非材料検討の参考にしてください。
〈関連ページ〉
恩加島木材工業株式会社|リプパネル・ルーバー
まとめ|「建築」でウッドチェンジを応援しましょう
“ウッドチェンジ”は、日本の森林資源を持続可能な状態に維持し続けるためには欠かせません。
また、二酸化炭素排出量の削減にも寄与できることも分かっています。
取り組みの中でも、最も重要視されているのが「建築の木造化・木質化」。
内装に木材を積極的に使うことは、建物の用途や規模に関わらず、すぐに取り組みやすいでしょう。
そこで“恩加島木材”がおすすめするのが、「突板製品」です。
“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。
製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。
「高品質でデザイン性の高い内装材を探している」「地域に根付く環境的に意義のある建物にしたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
〈関連ページ〉
恩加島木材工業株式会社|納入実績
〈日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”
建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。
天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。
しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。
- 重い
- 割れやすい
- 高コスト
- ビスが効かない
それらの問題を解決したのが、「恩加島木材の不燃突板複合板」です。
天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。
日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。
恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします
「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。
随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
〈関連ページ〉
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