意外と知らない“森林認証制度”とは?メリット・デメリットやSDGsとの関連性についても
皆さんは、「森林認証制度」という言葉を聞いたことはありますか?
実は、日頃の生活にも大きく関わりがあり、オフィスで使う鉛筆やコピー用紙、封筒などにもこの「森林認証マーク」が付いているものもあります。
しかし、意外とその詳細を知らない方も多く、認知度は残念ながらまだまだ高くありません。
そこで、今回は「森林認証制度」についての基礎知識から、消費者にとってのメリット・デメリットについて詳しくお話しします。
「地球環境に配慮した木材を取り入れたい」「SDGsへの企業活動を拡大したい」とお考えの方は、是非参考にしてください。
●森林認証制度を受けた製品を積極的に採用することで、環境問題や人権問題の解決に寄与できます。
●恩加島木材は、環境に配慮しつつ国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。
Contents
“森林認証制度”とその目的とは?FSC・PEFC・SGECの違いは?
“森林認証制度”とは、供給者・消費者どちらでもない第三者機関が、「森林経営の持続性」と「環境保全への配慮」などについて、森林やその経営組織を審査・認定する制度です。
認証された森林から産出された木材やその関連商品に認証マークを付けることで、供給者が明確に差別化でき、消費者は自らの意思でそれを選択して購入できます。
つまり、サスティナブル(持続可能な)森林経営や環境保全活動を積極的にサポートできるということです。
中には、さらに規定の多いCoC認定を設けている制度もあり、林産物加工において全ての作業工程で、認証木材と非認証木材を分けることが義務付けられています。
これには伐採業者、加工業者、製造業者、流通業者、印刷業者、小売業者などが含まれ、徹底した製品管理が行われています。
(参考:Forest Stewardship Council JAPAN|CoC認証)
そんな“森林認証制度”ですが、審査・認定団体の違いによって主に3つの認証プログラムがあります。
それぞれ運営団体や認証条件や異なりますが、その全ての軸は「SDGs実現に向けた環境保全や継続的な森林運営」です。
FSC認証
こちらは1993年に発足した国際団体「森林管理協議会(Forest Stewardship Council)」が審査及び認定を行なっています。
「森林の管理が環境や地域社会に配慮して適切に行われているかどうか」を公平に評価し、規定をクリアした森林やそこから生み出された製品を認証します。
認定条件は森林資源の保全に留まらず、従事する労働者の人権や、地域環境への配慮など、多岐にわたります。
2021年9月時点では、世界中で日本国土の約6倍相当の2億2800万haもの森林が認定を受けており、日本国内では約42万haほどの認定森林が存在しています。
〈関連ページ〉
Forest Stewardship Council JAPAN|FSC認証の広がり
PEFC認証
FSC認定制度に追随するように1999年に設立されたPEFC(「汎欧州森林認証制度:Pan European Forest Certification Schemes)による認定制度です。
各国が独自で行なっている各種森林認証制度との一貫性や適合性を重視しており、持続可能な森林管理のための統一的制度を実施しています。
認定には世界で信頼性の高いISO(国際標準化機構)の規定を用いており、認定を受けた森林は世界的にも高評価を受けています。
2022年時点で、加盟国は55カ国にも上っており、認証林面積は312,620,995ha、Coc認証まで取得している森林は13,043件です。
日本では、2,194,175haもの認証林があり、審査が厳しいCoc認証件数は、加盟国55カ国中第7位(507件)にも及ぶ数を誇ります。
〈関連ページ〉
PEFC認証林・CoC認証 国別認証実績表
SGEC認証
こちらは、日本独自の森林認証制度で、2002年に発足した一般社団法人 緑の循環認証会議(SGEC:Sustainable Green Ecosystem Council)が審査及び認証を行なっています。
持続可能な森林経営基準を設けるだけではなく、日本特有の生態系や自然環境、社会情勢を踏まえ、森林の所有構造や人工林管理、林業経営の実情を考慮して審査されます。
2014年に先ほど紹介したPEFCへ加盟し、2015年からは相互承認が可能となっています。
2019年時点での認証森林面積は約203万ha、CoC認証取得件数は547件です。
消費者にとってのメリット・デメリットは?
環境的にとても意義のある「森林認証制度」ですが、消費者にとっては具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
メリット
認証商品を購入する一番のメリットは、「環境破壊や人権侵害に加担しなくて済む」という点でしょう。
非認証製品の全てがそれに当てはまる訳ではありませんが、森林からどのように伐採されたかも分かりませんし、違法伐採による木材を使っている可能性は否めません。
一方、認証商品は、国際的に認知されている団体からの“お墨付き”があるため、安心して利用できます。
また、企業にとってはCSRを全うする一つの手段にもなり、「環境配慮」や「社会的便益性の発揮」「継続的な経済活動の維持」をアピールできるため、他社との差別化が図れます。
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|“クリーンウッド法”をわかりやすく解説|目的や国産材利用促進との関係性は?
デメリット
認証製品は、製造過程や販売過程において、認定を受けるためのステップを踏んでいるため、どうしても価格が高い傾向にあります。
また、審査に時間がかかるため、中小企業ではどうしても認定取得のハードルが高いのが現実です。
「非認証製品=品質が低い」という訳ではないため、コストを重視する場合には認証製品を購入することはデメリットになってしまう可能性は否めません。
しかし、それ以外のデメリットは“全くない”と言っても過言ではなく、環境への配慮と天秤に掛ければ、価格はさして重要なポイントではないと考えることもできるでしょう。
恩加島木材の取り組みや今後の目標
私たち“恩加島木材”の主力商品である突板製品において、まだまだ森林認定を受けている製品は少なく、違法伐採していないかどうかを確認している程度に留まっているのが現状です。
しかし、そのような現状の中、当社が製造販売している「突板練付化粧板・KDパネルシリーズ」は、国内でも数少ないFSCの認定商品です。
また、当社は森林認証製品の製造開発以外にも、地球環境や森林維持のために様々な取り組みを行っております。
再生エネルギーの導入
自社工場への太陽光発電システムおよび蓄電池の導入を目指しています。
(2023年、本格導入予定)
持続可能な製品の開発製造
植林木を利用した突板の開発を進めています。
地産材の積極的利用
日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
〈関連ページ〉
下記ページでは、当社が常時取り扱っている国産材を使った突板のラインナップや納入実績を紹介しています。ぜひご覧ください。
〈関連コラム〉
地産材についてさらに詳しく知りたい方は、下記コラムも合わせてご覧ください。
恩加島木材工業株式会社|コラム|今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説
“WOOD COLLECTION 2023”に出展します
“恩加島木材工業”は、2023年1月に開催される「WOOD COLLECTION 2023」に出展します。
このイベントは、国産木材の普及や価値を見出してもらうことを目的とており、日本全国から集まった企業が、木材製品や技術の展示を行います。
「“木”を生かした設計・デザインをしたい」「木製品の最新情報やトレンドを知りたい」という方は、ぜひご来場ください。
〈関連ページ〉
WOOD COLLECTION 2023(公式ページ)
まとめ|環境と人権を守るための“森林認証制度”
ひと昔前までは、建物の設計デザインに伴って製品を選ぶ場合、重視されていたのが「デザイン」や「コスト」だったはずです。
今でもその傾向は変わっていませんが、それに加えて「環境配慮」や「SDGs」も大切なキーワードとなっています。
今や、建築は”意匠性が高く快適”というだけではいけない世の中になりつつあるのです。
建材を検討する際には、ぜひ地球環境やSDGsに配慮した製品を選んでください。
そこで“恩加島木材”がおすすめするのが、「突板製品」です。
“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。
製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。
「環境に配慮した製品を取り入れたい」「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
〈関連ページ〉
恩加島木材工業株式会社|納入実績
〈日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”
建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。
天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。
しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。
- 重い
- 割れやすい
- 高コスト
- ビスが効かない
それらの問題を解決したのが、「恩加島木材の不燃突板複合板」です。
天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。
日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。
恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします
「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。
随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
〈関連ページ〉
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