木材の等級がデザインを左右する?基礎知識から突板との関係まで詳しく解説
突然ですが、皆さんは木材の等級について知っていますか?
実は、住宅や公共施設の建築に用いられる木材は、いくつかのグレードに分類されており、適材適所に使い分けられています。
そこで、今回は「木材の等級」についての基礎知識から、私たち“恩加島木材”が突板に選んでいる木材の品質について詳しくお話しします。
「高品質の木材を使いたい」とお考えの方は、是非参考にしてください。
●高価になりがちな高い等級の木材でも、突板製品なら比較的リーズナブルです。
●恩加島木材は、国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。
Contents
木材の等級はどうして必要なの?
そもそも、木材を等級分けする目的は、その品質を客観的に評価するため。
なぜなら、木材は自然が生み出したものであるため、その品質にはバラ付きがあるためです。
それを公平に評価して消費者に提示するには、その“指標”が必要となります。
また、公的な機関が等級を明確にすることで、価格の違いにも信憑性が出ます。
ですから、日本ではいくつかの公的機関がそれぞれ独自の評価基準を設けて、世の中に流通する木材を等級分けしているのです。
実は等級(グレード)には種類がある?
木材と言っても、その使用目的は建築だけに限りませんし、樹種も様々です。
ですから、用途や樹種に合わせた指標でそれぞれのクオリティを公平に評価しなくてはなりません。
日本では、公的には主に2つの判断基準が設けられており、それぞれ目的や評価方法は異なります。
JAS(日本農林規格)
こちらは、「日本農林規格等に関する法律」に基づき主に建築に使われる製材の性能を評価する指標です。
具体的な判断基準は「強度品質」と「見た目の美しさ」で、それぞれのグレードに合わせて等級分けされます。
「目視等級材」とは、節や丸みなど強度に関して目視で判断する方法で、甲種は曲げ性能、乙種は圧縮強度を判断する基準となります。
一方「機械等級材」は、測定機械によって曲げヤング係数を測って分類します。
見た目の良し悪しも目視で判断され、それぞれの等級によって用途が異なり、比較的低い等級のものは杭や隠れる部分に、高い等級のものは人の目に付きやすい造作部に使われます。
〈参考ページ〉
農林水産省|製材の日本農林規格
AQ(優良木質建材等認証)
こちらは、公益財団法人 日本住宅・木材技術センターが認定している基準で、製材者でも施工者でもない第三者機関として客観的に木材の品質を評価します。
発足の目的は、次々と増えている新しい木質建材を正当に評価することです。
JAS規格に規定されていない新しい木質建材は、良質な製品であっても客観的な評価を得なければ市場での流通に供することが難しい状況にあります。AQは新しい木質建材等の品質性能等について客観的な評価を行うことで、消費者に安全性及び居住性に優れた製品を提供することを目的としています。
引用:公益財団法人 日本住宅・木材技術センター|優良木質建材等認証
JASによる評価基準ができた当時は、木材と言えば材木を整形したものはほとんどでしたが、近年は技術の進歩や環境面への配慮から、集成材や合板等といった人の手が加わった建材が増えています。
これらを安心して施工するために、このAQ制度ができたのです。
幅広い対象製品があり、それぞれ細かい認定基準が決められています。
〈主な対象製品〉
■ 高耐久機械プレカット部材
木造建築の構造材(乾燥処理製材・集成材)に、あらかじめ工場で継手や仕口の加工を施した製材で、一部は防腐や防蟻処理もされています。
■ 乾燥処理機械プレカット部材
木造建築物の構造材(乾燥処理製材・集成材)に、あらかじめ工場で継手や仕口の加工を施した製材。
■ 保存処理材
防腐剤や防蟻処理剤が加圧注入されている製材。
■ 屋外製品部材
製材に屋外製品部材として耐水加工や防腐。防蟻処理を施したもの。
■ 防腐・防蟻処理構造用集成材
構造用集成材に防腐・防蟻処理剤を加圧注入したもの。
■ 防蟻処理材
防蟻処理剤を加圧注入した製材。
■ 接着剤混入防腐・防蟻処理合板
接着剤に防腐剤や防蟻処理剤が混入されている合板や複合フローリングなど。
■ 防腐・防蟻処理合板
合板や複合フローリング等に防腐剤や防蟻処理剤が加圧注入されているもの。
〈参考ページ〉
一般社団法人 全国木材組合連合会|AQ認証制度とはどのようなものですか
突板にはどんなグレードの木材が使われる?
では、フローリングや化粧板に使われる「突板」には、どのような木材が使われているのでしょうか?
まず、第一条件として「まっすぐな丸太である」とう点が挙げられます。
これは、品質というよりも生産性を踏まえたポイントで、芯材は使えないため芯を除いた時にできるだけ長い幅を確保できる丸太を選べば、1本からより多くの突板がスライスできるためです。
また、節の量も突板の品質に影響を及ぼします。
なぜなら、突板は厚さ0.2mmが基準となっており、節が多いと品質にムラが出やすいためです。
ただし、無節のように最上級に品質の高い木材を選ぶ必要はありません。
なぜなら、突板を化粧板やフローリングに加工する際には、バランスを見て突板を並べ美しい木目を表現するからです。
私たち“恩加島木材”には、気温・湿度によって目まぐるしく変化する突板の特性を知り尽くした“職人”が在籍しています。
天然木の風合いを最大限に活かすためにも、木目の向きやバランスへの配慮は欠かせません。
また、貼り合わせた突板はその日の環境に合わせて、樹種ごとにプレス時間、温度、圧力を細かく調整し、高圧ホットプレス機で圧着しています。
つまり、熟練した経験や知識こそが“高品質な突板製品”を生み出すのです。
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介
恩加島木材の取り組み “国産材・地産材の積極的利用”
私たち恩加島木材では、国内各地の地産材利用も積極的に行なっており、その材木がどのように伐採されたかをしっかりと自分達の目で確認しております。
突板の流通市場に頼らずに原木市場や製材所から直接仕入れて、自社で選木・加工・販売することも可能です。
原産地を日本国内に限定した樹種を常時取り扱っているほか、地産材を利用した突板も数多くご注文いただいております。
その建物の社会的価値を高めるためにも、ぜひ国産材を使った突板製品をご検討ください。
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
〈関連ページ〉
下記ページでは、当社が常時取り扱っている国産材を使った突板のラインナップや納入実績を紹介しています。ぜひご覧ください。
〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説
まとめ|高品質の木材を内装に使うなら“突板製品”がおすすめ
木材の等級を決める基準はいくつもありますが、どの指標においても等級の高い木材はどうしても高価になってしまいます。
そこで“恩加島木材”がおすすめするのが、「突板製品」です。
美しい木目や色艶のいい材木を内装デザインに活かしたくても、無垢材ではどうしてもコストが高くなってしまうでしょう。
しかし、良質の木材を薄くスライスした突板を使えば、低コストでも意匠性を確保できます。
“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。
製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。
統一性のある洗練されたデザインをご希望の際には、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。
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恩加島木材工業株式会社|納入実績
〈日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”
建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。
天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。
しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。
- 重い
- 割れやすい
- 高コスト
- ビスが効かない
それらの問題を解決したのが、「恩加島木材の不燃突板複合板」です。
天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。
日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。
恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします
「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?
恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。
随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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