“建てる”前に知っておくべき建築廃材の再利用とは?リサイクル方法や恩加島木材の取り組みを解説

日本の建築は、今まで時代に合わせて建物のを建てては壊す、いわゆる “スクラップ・アンド・ビルド”を繰り返してきました。

しかし、昨今は地球環境保護を目的とし、建物の長寿命化と共に建築廃材の再利用が進められています。

では、具体的にはどのように建築廃材は生まれ変わっているのでしょうか?

そこで、今回は建築廃材の再利用についてその重要性から具体的な活用方法まで詳しく解説します。

私たち“建築”に携わる人として、これから必ず知っておかなくてはいけません。

是非、今後の設計・デザイン業務の参考にしていただけると幸いです。

このコラムのポイント
●建設発生木材は、様々な方法で再利用・再資源化されています。
●恩加島木材は、地球環境や森林保全のための取り組みを常に意識し実行しております。
●恩加島木材は、国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。




建築廃材ついても「3R」がキーワードに

1970年に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が制定されて50年以上経つ現代において、家庭ごみなどの一般廃棄物は着実に減少傾向にあります(2008年には5000万トンを下回り、2017年には4300万トンにまで減少)。

しかし、一方で産業廃棄物の中で建設業から排出された廃棄物の量は、微減しているものの劇的な減少は見られないのが現実です。

(「環境省・産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度〜令和1年実績)について」データを元に作成)


この現状と世界的な“SDGs(持続可能な開発目標)”の潮流を踏まえ、近年は建築廃棄物の排出量大幅削減や建設リサイクルの推進が活発化しています。

その取り組みのおかげで、建設業から排出される廃棄物の一部は、確実に再資源化され、総量の縮減化が進んできています。

1995年時点では、調査対象となる建設廃棄物の再資源化率が58%に対して、2002年には全国値が初めて90%を越え、2018年にはついに97.2%にまで上昇しました。

引用:国土交通省|建設リサイクル推進計画2020(案)~「質」を重視するリサイクルへ~


今後も、国や地方自治体だけではなく、建材メーカー・設計・施工全ての業者が引き続き3R(発生抑制=Reduce・再使用=Reuse・再生利用=Recycle)を意識した取り組みを継続実行することで、循環型社会の構築が可能となるのです。



建設発生木材の再利用方法は?

建設時に発生する廃棄物は、主に下の5つに分類されます。

  • アスファルト・コンクリート塊
  • 建設発生木材
  • 建設汚泥
  • 建設混合廃棄物
  • 建設発生土


その中でも、私たち“恩加島木材”と深く関わりがあるのが「建設発生木材」。

2000年以前は、建設発生木材の約7割は焼却処分もしくは最終処分されていましたが、2010年頃から徐々に再利用される割合が増えてきました。

引用:静岡県建設廃木材リサイクルシステム研究会


今後は、既設木造建築物の解体廃材だけではなく、新築時の端材や、建材製造時の端材なども再利用化が期待されています。

では、具体的にはどのような方法で再利用されているのでしょうか?

製紙用パルプ

建設発生木材の中でも、材木の端材など未使用のものは、製紙用パルプ(チップ)として再利用されます。

特に、針葉樹や広葉樹が使われ、私たちの生活に欠かせないトイレットペーパーなどに生まれ変わるのです。

ただし、紙の繊維原料の約6割は古紙、製紙用パルプは33.9%(日本製紙連合会調べであるため、残念ながら今後建設発生木材がさらに積極的に製紙用パルプとして再利用される兆しはありません。


MDF

MDF(Medium Density Fiberboard:ミディアム・デンシティ・ファイバーボード)とは、中密度繊維板や中質繊維板とも呼ばれる木質パネルの一種で、木材を粉状にしたものを圧縮整形したものです。

ドアや家具に使われる化粧板の基材として使われており、建物の内装には欠かせません。

近年は、建築解体材や製材端材などの建設発生木材を再利用する取り組みが積極的に行われています。

引用:日本繊維版工業会|木質ボードは木材資源のマテリアルリサイクルから生まれます



バイオエタノール化

地球温暖化対策の一環として、カーボンニュートラルであるバイオマス利用の重要性は世界中で強く認識されていますが、特にバイオエタノールは今後化石燃料の代替え品として高く期待され、今やその存在は決して小さくはありません。

通常、サトウキビやトウモロコシなどの穀物だけではなく、家畜糞尿や下水汚泥、廃油などを発酵させて作りますが、それと併せて、近年は建築発生木材を原料とする事例が増えています。

地方自治体によっては、木材からバイオエタノールを生成するための専用プラントを建設しており(例:北秋田市)、今後もその動きは活発化することが期待できるでしょう。

サーマルリサイクル

サーマルリサイクルとは、廃棄物を単に焼却処理するのではなく、焼却時に発生する熱エネルギーを回収し、発電や暖房、温水などに再利用するシステムのことです。

バイオマス燃料とも呼ばれ、国を上げて推進しています。

既に一部の自治体では、樹木伐採時に発生した枝や葉などの林地残材、製材工場などから発生する樹皮・木屑、建築解体材などを焼却し、公共施設の電力をまかなったり、温水プールの温度調節に再利用しています。


その他

ここまで紹介した方法以外にも、割合は少ないものの下記のように再利用されている事例もあります。

  • 堆肥の原料
  • 法面緑化材
  • 雑草防止剤(再生木質マルチング材)
  • 家畜の敷料(敷きわら,寝わら) …


これ以外にも、様々な分野への再利用技術の研究開発は進んでおり、さらなる再資源化率上昇が期待できます。



「建設リサイクル法」で再利用が義務付けられている?

建築廃材の再利用は、国が強く推し進めている方針ではありますが、実は全ての関連企業に義務付けられている訳ではありません。

2000年に制定された「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」では、廃材のリサイクルが義務付けられているのは以下に該当するケースのみです。

  • 建築物の解体工事では床面積80㎡以上
  • 建築物の新築又は増築の工事では床面積500㎡以上
  • 建築物の修繕・模様替え等の工事では請負代金が1億円以上
  • 建築物以外の工作物の解体工事又は新築工事等では請負代金が500万円以上


つまり、小規模の建設現場や建材生産時、樹木伐採時についても規定は一切ありません。

しかし、今後さらなる再資源化を進めるためには、“建築”に係る多くの企業が意識改革を行い、同じ目標に向かって努力することが重要でしょう。



恩加島木材の取り組みや今後の目標

私たち“恩加島木材”は、地球環境や森林維持のために様々な取り組みを行っております。

再生エネルギーの導入

自社工場への太陽光発電システムおよび蓄電池の導入を目指しています。
(2023年、本格導入予定)

持続可能な製品の開発製造

植林木を利用した突板の開発を進めています。

地産材の積極的利用

日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)


〈関連ページ〉
下記ページでは、当社が常時取り扱っている国産材を使った突板のラインナップや納入実績を紹介しています。ぜひご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|製品案内|原産地(日本)

〈関連コラム〉
地産材についてさらに詳しく知りたい方は、下記コラムも合わせてご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|コラム|今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説



まとめ|建築廃材の再利用は確実に地球環境を守れます

環境

「ゴミを減らそう」これは日本のみならず世界中の共通認識ではありますが、一般ゴミと比べても建築廃材を含む産業廃棄物の量は未だに膨大で、今後も減量化に向けて課題は山積みです。

つまり、建築廃材の縮減化や再資源化が地球環境に与える影響は計り知れません。

「義務化されていない=リサイクルしなくていい」という考えではなく、“建築”に携わる全ての人が廃材への意識を変え、積極的に再利用するように働きかけることはとても重要でしょう。

私たち恩加島木材は、今できること”を着々と実行し、将来にわたって日本の資源である“森林”を守り続けることを目標にしております。

環境に配慮した突板製品・化粧板製品をご希望の際には、ぜひに一度恩加島木材にご相談ください。

〈関連ページ〉
当社の納入実績は下記ページをご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|納入実績


日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ15mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板複合板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。

不燃突板複合板大臣認定取得


一口メモ
世界的に著名な建築家・隈研吾氏が主宰する隈研吾建築都市設計事務所が設計した和歌山県「有和中学校」新校舎の建物モックアップにも採用されました。





恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

〈関連ページ〉 カタログ請求や見積依頼、お打合せ依頼等は下記ページよりお問い合わせください。
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