新築やリノベーションで“板張り”の内装が流行中。 天井・壁に取り入れるメリットやおすすめ商品を紹介
「板張り」と聞くと、昔の住宅などをイメージする方が多いかもしれません。しかし、近年は住宅や店舗、公共施設にてこの板張りを取り入れる事例が増えてきています。では、何故今再注目されているのでしょうか?
そこで、今回は「板張り」について、メリットとデメリットや取り入れるメリットや関連法規、おすすめ商品について詳しく解説します。内装デザインや設計に板張りを取り入れたい方は、ぜひ皆さん参考にしてください。
・板張りには、デザイン面でもメリットの他に、機能面や施工面でも利点が多い。
・イメージ通りのデザインにするためには、板材の樹種選びも重要。
Contents
最近再注目されている“板張り”とは?クロス・塗装との違いは?
「板張り」とは、壁や天井に板材そのものを仕上げ材として施工する手法を言います。一般的には、「羽目板(はめいた)」と呼ばれる細い材料を連続して施工するのが一般的で、住宅に用いられるフローリングもその一種です。
日本古来から住宅や店舗などの様々な建物に施工されているため、現在でもその名残として和室天井に取り入れられる建物を見かけることが多いでしょう。さらに、最近では洋風建築においてもフローリングと同じ幅で、床から壁、壁から天井と連続的に貼り、空間にまとまりと繋がりを持たせるデザインが流行しています。
「板張り」は、長年の間、高級志向や本物志向の方から一定の支持があり、クロス張りの壁や塗装壁が普及した現代においても、積極的に採用されているのです。
では、具体的にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?それぞれ詳しく説明します。
メリット
板張りには、デザイン的・機能的なメリットがあります。
- 自然素材の持つ温かみ
- 高級感
- 天然木本来の調湿・保湿機能
- 汚れが落としやすい
- 部分的な張り替えが可能
- 施工中の乾燥期間が不要
まず、自然素材ならではの“温かみ”は大きなメリットです。単調なインテリアの中にも部分的に板張りを加えるだけで、空間が引き締まるだけではなく、柔らかい印象や高級感をかもし出します。
メリットはデザイン面だけではありません。まず、天然木の持つ調湿・保湿機能によって、快適な空間づくりの一役を担うことができる点が挙げられます。ただし、部屋の広さに対する板張り面積によって、期待できる効果は異なります。
そして、クロスや塗装の壁とは異なり、汚れがついた時には拭き取りやすく、細かいキズが付きにくいのも利点です。そのため、人がよく触れる場所や汚れやすい場所を板張りにするケースは多く見られます。商品によっては、耐摩耗や耐汚、耐キズ塗装が施されているものもあり、病院や学校などの施設にも採用されています。
ただし、表面の保護塗装の種類によっては、汚れが取りやすいとは限りません。オイル塗装は、逆に汚れが染み込んで取れなくので注意しましょう。また、メラミン化粧板やシート化粧板などのプリント板材と比べれば、どうしても傷はついてしまいます。しかし、それが経年変化として楽しめるのは、天然木ならではの魅力と言えます。
万が一、深いキズや取れない汚れがついた場合でも、部分的な張り替えができる点もポイントです。クロスや塗装の場合、部分的な補修をすると目立ってしまう場合が多いですが、板張りなら周りと違和感なく部分取り替えができます。また、工程ごとに乾燥期間を設ける必要がなく、現場の室温や湿度に影響を受けづらい点は、施工面で大きなメリットと言えるでしょう。
デメリット
デザイン面・機能面・施工面においてメリットの多い板張りですが、採用する前に知っておかなくてはいけない注意点もあります。
- コストがかかる
- 施工技術が必要
- 補修は簡単ではない
- 無垢板の場合は、木割れする可能性がある
まず、1日に広面積を施工できて材料費も安価なクロス張りや塗装と比べると、板張りは間違いなくコストがかかります。ただし、耐用年数はクロス・塗装と比べると格段に長いため、長期的視点で考えれば決して損ではありません。また、予算に応じて板張りとその他の仕上げ材をミックスすることもおすすめです。
美しく仕上げるためには、それなりの施工技術が必要という点も忘れてはいけません。特に、板材と板材の間に隙間を開けて施工する「目透かし張り」や、ヘリンボーンなどの「模様張り」の場合には、材料の特性を理解した熟練した技術が必要です。
そして、クロスや塗装とは異なり、補修が簡単ではないという点にも留意しましょう。板張りにキズが付いた場合には、木部補修のプロに依頼するか、板材ごと張り替えなくてはいけません。ただし、メリットとして紹介した通り、部分張り替えでも他と違和感なく取り替えができます。
そして、板張りを検討する際に最も知っておかなくてはいけないのが「木割れ」です。無垢板を使用する場合には、室内の極端な寒暖差や湿度差によって、材料が伸縮して、反ったり割れたりする可能性があります。そこでおすすめなのが、「突板化粧板」です。突板化粧板は、薄く削り出した天然木突板を表面に貼り、基材には伸縮しにくい合板などを用いているため、無垢材よりも格段に施工性や意匠性が安定します。
板張りは法の規制を受ける?省令準耐火構造や内装制限との関係は?
公共施設や店舗の内装に「板張り」を採用する際に、設計士の方やデザイナーの方が気になるのが関連法規や法令でしょう。そこで、検討する前に知っておくべき関連法規や省令を紹介します。
内装制限との関係
「内装制限」とは、建築基準法(第35 条の2、施行令第128 条の3 の2 項から第129 条まで)にて、特定の施設(特定建築物)において壁・天井の仕上げを制限することを言います。材料を不燃材料や準不燃材料、難燃材料にすることで、火災時の延焼や煙・有毒ガスの発生を遅らせて、爆発的に延焼するフラッシュオーバーを回避することを目的としています。内装制限を受ける建築物は、主に下記のような施設です。
- 劇場・映画館・集会場など
- 病院・ホテル・児童福祉施設など
- 店舗・展示場・飲食店など
- 自動車車庫など
では、これら内装制限のある施設には「板張り」は採用できないのでしょうか?
該当する特殊建築物の場合でも、天井や壁を板張りにすることは可能です。ただし、どの板材でもいいという訳ではありません。あくまでも、不燃認定や準不燃認定、難燃認定を受けている材料に限ります。ですから、内装制限が関わる現場の場合には、材料選定には十分気を付けましょう。
〈関連コラム〉
下記コラムでは、内装制限や不燃材料・難燃材料について詳しく解説しています。是非合わせてご覧ください。
恩加島木材工業株式会社|コラム|公共施設・商業施設に欠かせない不燃材料。防火性能や突板練付不燃板について解説
省令準耐火構造との関係
木造住宅の設計・デザインをする際に関係するのが「省令準耐火構造」です。建築基準法内で定められた準耐火構造とは異なり、独立行政法人住宅金融支援機構が定める構造に当てはまる構造の住宅を指します。「外部からの類焼防止」「各室の防火」「他室への延焼遅延」が主な目的です。
認定を受けるための主な条件は、以下の3点です。
- 外壁および軒裏天井が防火構造である
- 屋根材が不燃材料であり、建築基準法上の準耐火構造であること
- 室内の天井・壁が、火災時に15分以上耐えられる性能を持っていること
上でもお話しした通り、これらはあくまで建築基準法で定められている訳ではなく、建築主が任意で実行する省令ですが、認定を受ければ住宅ローンの審査時に有利になったり、火災保険料や地震保険料が安くなるなどのメリットがあります。そして、何よりも火災に強い木造住宅が実現します。
では、板張りの場合でも「省令準耐火構造」の認定は受けられるのでしょうか?
実は、省令内で仕様が定めれられているのは、あくまで天井や壁を構成する構造体や下地材のみで、仕上げ材に関する規定はありません。つまり、板張りでも認定が受けられます。
〈関連ページ〉
省令準耐火構造の仕様概要は、下記ページをご覧ください。
住宅金融支援機構|省令準耐火構造の仕様の概要 (戸建て木造軸組工法)
住宅金融支援機構|枠組壁工法を用いた住宅の省令準耐火構造の仕様
板張りを「後悔」してしまう方も。その理由は?解決方法はある?
板張りはメリットがたくさんあるものの、じっくり検討せずに採用してしまうと残念ながら「後悔」や「失敗」と感じてしまうケースも少なくありません。その一番の理由は、圧迫感や暗さを感じてしまうという点です。
しかし、材料選びや施工場所のポイントさえ押さえれば、解決してしまうことも多くあります。主なポイントは以下の3つです。
- 色味が明るく、節や木目の主張が少ない材料を選ぶ
- アクセントとして部分的に導入する
- 異素材とバランス良く組み合わせる
シックなデザインにしたいがために暗い色合いの樹種、節や木目が目立つ樹種を選ぶと、圧迫感を強く感じてしまう可能性があります。特に、狭いスペースに施工する際には要注意です。壁全面など広範囲を板張りにしたい場合や、トイレなどの狭小スペースに施工する場合には、明るい色で節や木目の主張が少ない樹種を選びましょう。
最近は、アクセントウォール部分や下がり天井部分など、部屋のアクセントとして板張りを取り入れるのもトレンドです。クロスや塗装、左官壁など、その他の素材とバランス良くミックスすることで、板張りの難点となる“見た目の重さ”を軽減できます。
天井や壁におすすめの樹種
私たち恩加島木材では、常時400束もの豊富な突板レパートリーを在庫しています。ここでは、その中でも天井や壁の板張りにおすすめの樹種を紹介します。是非材料を選ぶ際の参考にしてください。
床材との“つながり空間”におすすめ
床材と繋がりを持たせて、空間をトータルコーディネイトできるのも板張りの魅力です。木質フローリングによく用いられる樹種を選べば、一体感が生まれます。
和風建築におすすめ
下記の5つは、和室の天井や床の間の壁材などによく用いられる樹種です。白木に近い自然な色味が特徴で、お好みで木目がまっすぐなものや、曲線を描くものを選びましょう。
洋風建築におすすめ
洋風建築建築の場合には、色が薄いものから濃いものまで、デザインのテイストによって様々な樹種をお選びいただけます。当社の取り扱い樹種の中でも、下の6つは特に人気の高いです。
個性的にしたい場合におすすめ
個性的なデザインがご希望の方には、下の4つがおすすめです。特徴的な色味や木目が魅力で、部分的に取り入れるだけでも目を引きつけます。
恩加島木材の取り組み
私たち恩加島木材では、国内各地の地産材利用も積極的に行なっております。また、突板の流通市場に頼らずに原木市場や製材所から直接仕入れて、自社で選木・加工・販売することも可能です。原産地を日本国内に限定した樹種を常時取り扱っているほか、地産材を利用した突板も数多くご注文いただいております。その建物の社会的価値を高めるためにも、ぜひ国産材を使った突板製品をご検討ください。
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
〈関連ページ〉
下記ページでは、当社が常時取り扱っている国産材を使った突板のラインナップや納入実績を紹介しています。ぜひご覧ください。
まとめ|板張りを取り入れて高級感と温もりのある建物に
天然木の持つ高級感や温もりのあるを生かした板張りは、インテリアをワングレード上のデザインにしてくれます。また、耐久性が高く部分張り替えできる点は、多数の方が利用する施設においても、メリットとなるでしょう。近年は、住宅・施設問わず、様々な場所に板張りが採用されており、デザインのトレンドでもあります。ぜひ、他の建物との差別化を謀りたい場合や、温かみのあるインテリアデザインにしたい場合には、板張りを取り入れてみましょう。その際、天然木練付化粧板でしたら、無垢材のような風合いを残しつつも施工安定性が高いのでおすすめです。
私たち恩加島木材では、様々な樹種の天然木練付化粧板を製造販売しております。また、化粧板に限らず、ルーバー・リブパネルやフローリング材、有孔ボードなどとのトータルコーディネートも可能です。統一性のある洗練されたデザインをご希望の際には、ぜひに一度恩加島木材にご相談ください。
〈関連ページ〉
当社の納入実績は下記ページをご覧ください。
恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします
「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問や要望にお応えします。随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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